「線」は無限の可能性を秘めている
#読書の秋2022
赤と黒のボールペンと定規を使って抽象絵画を描いています。
定規で引く直線の美しさに魅せられ虜になった理由を考えてみることにしました。
【線の魅力①】
線は、引いていくとそれが四角になったり三角になったり丸になったりと「面」を作ることができます。特別な技術は要らず誰でも表現することができるシンプルな画法が魅力的です。
【線の魅力②】
私たちが生活の中で身近にある製品は、四角・三角・丸で形成されているものが多いです。机、椅子、コップ、お皿、家など…大きく分けて全てはその3種類で解決することができます。
線を引けば、だいたいのことを描くことができるのが魅力の一つです。
【線の魅力③】
「概念」を描くことができます。
線での表現は抽象絵画でよく見かけるので、その捉え方をしている方の方が多いと思います。
例えば
・四角…正確、堅実、真面目、冷たさ
・三角…鋭利、頑固、中性
・丸…柔軟性、朗らかさ、暖かさ
など、イメージとして表現をすることができます。
それは、3種だけに限らず、ギザギザ・なみなみ、なども線で描くことができ、概念として表現することも魅力です。
以上の3つの魅力から、さらに連想する「好き」を考えてみました。
【好き】
・建築
・設計図
・タイポグラフィ
建築に関しては、面の世界から飛び出すことができる生活面・芸術面で大きな影響を与えることができる作品だと考えています。
設計図はデザインの意味があり、その図をもとに製品たちが作られていきます。この設計図も線で描かれていますよね。
タイポグラフィも、線を引くことで生まれていきます。
明朝体、ゴシック体、ロゴも同じです。あらゆるものが線から生まれ、私たちの生活に馴染んでいるから好きです。
【色】
面で表現した時に使う色は、2色で事足りると思いました。
私が赤と黒の2色で表現しているのは、「暖かさ」「冷たさ」「軽さ」「重さ」などを表現することができるからです。
抽象絵画の世界を物質的な世界とリンクさせるには、この2色で十分事足りているからと考えました。
「多角の目線」で捉えられがちな抽象絵画は、作者の意図がぼやけることがあります。より物質の世界へ近づけ、言語化することで作者の意図をしっかり掴んでもらうことが大きな狙いです。全ての線には意味があると言葉で伝えたかったからです。
そこの考えに至ったのは
ヴァシリー・カンディンスキー「点と線から面へ」です。
この本は「抽象絵画」を理論的・科学的に吟味することが描かれた本です。抽象絵画がよりリアルの世界と直結していることがわかり、ますます線で描く絵に魅力を感じました。
この本に書かれている内容に沿って絵を描いてみました。
「水平と垂直と黒と赤」
もっとも簡単な線は「水平線」
水平線は、さまざまな方向へ平らに広がっていくような冷たさをイメージさせます。それと対立する「垂直」は平が高さに変わり、冷たさは暖かさに変わります。
・水平は冷たい
・垂直は暖かい
色で例えると
・黒は水平で冷たい
・赤は垂直で暖かい
そんな、小難しい本を読みながら、それを意識して
「水平は黒」
「垂直は赤」
で描いてみました。
確かに、黒は重く
赤は黒より軽い
重いものは水平に広がり(冷たさは下に)
軽いものは垂直に高くなる(暖かさは上に)
色を、形・温度・重さで描き分けると、抽象的な絵が現実味を帯びるんじゃないかと。概念でしか伝えることができなかった抽象絵画がリアルの世界で息をした瞬間でもありました。
リアルの始まりは全て線から始まる。それを知ることで抽象絵画は面白くなるんじゃないかと、「線」に大きな可能性を感じています。
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