あなたの街の桔梗
用があって降り立ったの
ハイソな街並み あの人によく似合う
ペイブメントの通り ゆっくりと歩く
日傘も差さずに
もしも、もしもあなたに出くわしたら
さりげなく左手で 髪をかき上げるわ
あなたは少しだけ目を見開いて
「おめでとう」と言ってちょうだい
私はさりげなく風の噂確かめるため
その左手に目を遣って
「おめでとう」って返すから
あなたの住む街に
見つけた桔梗の花
紛うことなき紫に色付きて
まるで動かぬ現実のよう
夏の日差しに揺れていた
あなたなしで過ごすことなど
想像もできなかったあの頃は
今は過去 そう告げるように
紛うことなき5枚の花弁
鮮やかに咲いていた
自分でも気づかない
目的もない淡い期待
打ち消して
紫色が
鮮やかに揺れていた
ペイブメントの通り
まっすぐに歩いて行くわ
よそ見もせずに
もしもあなたをみかけても
見知らぬ他人のよう
通り過ぎましょう
自分で見つけた
穏やかな
幸せにかえるため