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C'mon C'mon|映画感想#1
はじめての映画感想文は、ホアキン・フェニックス主演の全編白黒映画「C'mon C'mon(カモン カモン)」です。ホアキン・フェニックスは大好きな俳優で、「ウォーク・ザ・ライン」、「ザ・マスター」、「her/世界でひとつの彼女」、「インヒアレント・ヴァイス」など好きな映画がたくさんあります。最近はジョーカーで有名な彼ですが、この映画はジョーカーとは違って、観終わったあとにあたたかい気持ちになれる映画です。
Prime Video
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あらすじ
ラジオ局に勤めるジャーナリスト、ジョニー(ホアキン)は取材旅行に出かけようとしていた。ところが、その矢先、ジョニーは妹(ヴィヴ)から甥のジェシーの面倒を見るよう頼みこまれ、やむなく彼を旅に同伴させることになり、彼と共に生活する中で徐々にその絆を深めていく。
(Wikipediaより カモン カモン - Wikipedia)
ジョニー(ホアキン・フェニックス)
子どもたちにインタビューを行うラジオジャーナリストで、独身。全国を旅して、子供たちのインタビューを録音して、ラジオ番組で放送している。
ジョーカーのホアキンとは全く異なる、やさしい(あるいはそうあろうと努めて振る舞っている)姿が映し出されている。
ジェシー(ウディ・ノーマン)
甥っ子のジェシーは10歳くらいで、強烈な個性(たぶんアスペルガー症候群)を持っている子どもとして描かれている。
ウディの演技が素晴らしい。演技らしさなんてなく、極めて自然。それでいて美しい見た目なところが映画を少し幻想的にしていると感じた。
感想
最初、相性最悪だった二人が徐々に心を通じ合い、最終的に信頼関係を築く、というストーリーにはなっていなくて、この子はそんなに一筋縄にいかない。きっと障がいを抱えている子を持ったら、こういうことの連続なんだと思わされるシーンの連続だった。いや、障がいのありなしは関係ないかもしれない、子育てはきっと大変なことの連続ですよね。
ジョニーは全米の子どもにインタビューし、ラジオで流す、ラジオパーソナリティを生業にしているが、皮肉なことに、子ども相手に四苦八苦し、子どものことをわかった気でいただけで、何もわかっていなかったと知らされることになる。
どうしてそんなことにこだわるの?なんで言う事を聞いてくれないの?こっちの身にもなってよ!
時に感情的になって子どもにあたってしまうのがよくわかる。
ジェシーのお父さん
ジェシーのお父さん(ポール)は精神病を患っている。(双極性障害?)
お父さんに治療を受けさせるために、ジェシーのお母さんが同行することになったので、ジョニー(ホアキン)がジェシーを預かることになった。
ジェシー自信の特性が、父から受け継いだものを示唆していて、リアリティがある設定だと感じた。
この父親(スクート・マクネイリー演)のほうも完全に、本物の病気の人にしか見えない。この演技もすごい。
好きなシーン(以下ネタバレを含みます)
ジョニー(ホアキン)とジェシーの別れが決まるシーンで、はなればなれになることに対して大丈夫だって言うジェシーに向かって、
I'm not fine. That's totally reasonable respose.
(「僕は大丈夫じゃない。それが当然の反応なんだ」)
って、ジェシーにむかって大声で言い、
C'mon men. (「いいんだよ」)
This is fucked up. And not make sense. (「メチャクチャになっていいんだ!」)
それぞれの言葉をジェシーが大声で反復した後、大声で叫び合うシーンは、観ているこっちも同調して叫び出したい気分にさせてくれて、最高だった。叫んで、地面を踏み鳴らすホアキンの姿は、「Master」で便器を蹴り割った姿に重なった。ホアキンの感情を昂らせる演技には心を動かされてしまう。
ちなみに子どもと中年男のロードムービーというと、「パリ、テキサス」や「ペーパー・ムーン」が好きな作品。
この作品もそれらと同じくらい好きになりそうな、とてもいい映画だった。