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依頼されたものをそのまま作ってはいけない

 

あなたは依頼されたものをそのまま作ってませんか?

 

以前、登壇したときに、「依頼されたものをそのまま作るな」という話をしました。

 
これだけ聞くと、「うんうん、確かにね。それはそうだよね」という感じかもしれないですが、いざ実践するとなると結構難しい部分もあると思うので、詳しく書いてみようと思います。
 


 

依頼と課題を分けて考えよう

依頼されたものをそのまま作らないためには、まず「依頼」と「課題」を分けて考えるクセをつけることが重要です。依頼というのは、依頼者が発した言葉そのものです。例えば、

「売上を見れるダッシュボードを作って」

と言われた場合、これが依頼になります。
 

しかし、これは「課題」ではありません。課題というのは、依頼の背後に存在していて、依頼者が依頼によって解決しようとしている問題のことです。

例えば、先ほどの例で言うと、「売上を見れるダッシュボードを作って」という依頼の背後には、

・ 上司に報告するための材料が欲しい
・ 売上がどれぐらいなのか知りたい(一度知れたらいい)
・ 施策を打った時に効果をモニタリングしたい

のように、多様な「解決したい問題」が存在しているのです。
 

もう少し踏み込んでみると、

・上司に報告するときに怒られたくないから分かりやすいものが欲しい
・調べたら出てきそうだけど、面倒だから売上を教えて欲しい

みたいな、人間の感情レベルの問題が浮かび上がってくることもあります。
 

こういったものが「課題」であり、「依頼」とは全く異なる形をしていることが分かると思います。ほとんどの場合で「依頼≠課題」なのです。
 
  

クオリティの高い依頼と低い依頼

ここまでで、「依頼≠課題」であることを説明しました。

依頼と課題がどれだけ乖離しているかは、依頼のクオリティに依存します。ストレートに言うと、依頼者の能力にも依存します。 

ここで言う「クオリティの高い依頼」というのは、課題を的確に伝えられている依頼であり、この依頼をこなした時に課題が解決するような依頼のことです。

クオリティの高い依頼をされた側は、依頼をこなすだけで課題が解決できるという楽な状態になり、特段問題はありません。依頼者に感謝しましょう。
 

しかし問題なのは「クオリティの低い依頼」が存在するということです。
これは「クオリティの高い依頼」の反対で、

・この依頼をこなしても、課題が解決しない
この依頼をこなさなくても、課題が解決する

のようなものです。
 

クオリティの低い依頼があふれているような状況で、素直に依頼をこなしているだけだとしましょう。あなたは、依頼をこなしたとしても課題を解決できないか、依頼をこなす必要がなかったものに無駄な時間を割いてしまうことになります。

これが、「依頼されたものをそのまま作るな」という考えを持っている理由です。
 

課題の解決者であれ

ここまでを整理すると、依頼のクオリティが高い場合は依頼をこなしているだけで成果が出ますが、依頼のクオリティが低い場合は成果が出しにくくなります。
  

そこで重要なのが、「依頼をこなす人」ではなく、「課題を解決する人」になるという意識を持つことです。

表面的な依頼を鵜呑みにして、依頼をやみくもに消化していくのではなく、真の課題が何かを見極めて、課題に対して適切な解決策を提示・実行できる人間になりましょうということです。
 

一人前として仕事をするのであれば、依頼のクオリティや依頼者の能力によって、依頼を受ける側の自分の成果が左右されるようなことは避けるべきだと思います。依頼がどうであれ、課題を適切にヒアリングし、適切なソリューションを考えられるのが、一人前の所作なのではと思います。
 

課題の解像度を上げる

では具体的にどうすれば良いのかというと、「課題の解像度を上げる」ということに尽きます。 

「売上を見れるダッシュボードを作って」という依頼に対して、

「あぁ、この人は売上を見れるダッシュボードが欲しいんだな」

としか考えないのは解像度が低い状態です。
 

そこで一歩踏み込んで、

「何に使うんですか?」

「売上がどれぐらいなのかを把握出来てなくて、見れるようにしたいんだ」

という会話をすれば、この依頼者が解決したい課題の片鱗が見えてきます。
 

さらに、

「今は売上をどこかで見れていますか?」

「いや、全社の売上は見れるんだけど、このサービスだけの売上が見たいんだよね」

「なるほど、ちなみに定常的にモニタリングしたいんですか?」

「そう思ってたけど、ざっくりとした規模感が単発で分かるだけでいいかもしれないな」

「では、この前Aさんが出していたこの集計が使えるかもです」

「あ、これが知りたかったんだ!ありがとう!」


 

といった具合に、相手の抱えている課題を深掘って聞いていくことで、代替案を提示することができました。「売上を見れるダッシュボード」を作るという時間のかかる作業が、「前に出した集計を渡す」という超簡単な作業へと変わりました。 

これはたまたま上手くいった例ではありますが、こういうことは日常的に起こります。少しでも無駄を無くすことの積み上げが、大きな変化になってきます。
 

まとめ

依頼に応えることは素晴らしいことですが、依頼の背後にある課題の解像度を高めることで、より省エネで成果を出しやすくなるかもしれません。
  

課題の解決者であれ!
 

おわり

 
 

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