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進捗共有で損をしないために

周りの人を見ていて、「進捗共有で損をしているな」ということがよくあります。


私は、週次でタスク決めと進捗共有をするような機会が多く、自分が進捗共有をすることも、誰かから進捗共有を受けることも、誰かが誰かに進捗共有をするのを横から見ているような機会が多くあります。

その場面で、進捗はちゃんと出せているのにも関わらず、共有の仕方に問題があるがために、報告相手にその成果が伝わっていないという状況をよく目にします。こういう時に「損をしているな」と思います。


なので今回は、上手い進捗共有をするために考えていることを言語化したいと思います。




進捗共有で損する人

まず、進捗共有で損してるな〜、と感じるのはどういう人かを具体的に説明します。前提として、ちゃんとアウトプットは出せていることを想定しています。

王道なのは、進捗共有をする際に、伝える情報が不足していて、共有相手から詰められてしまうパターンです。

もちろん場合によりますが、「あの件はどうなっているの?」「ネクストはどうするの?」「他のやり方は試したの?」などの質問が相手から多く飛んでくるようであれば、伝える情報が不足していると考えてよいでしょう。


情報が不足している場合、相手の質問に対して「後出し」で回答していくことになります。この「後出し」というのが非常にマズいと思っています。

「後出し」で情報を出してしまうと、相手からすると「自分が聞かなかったら進まなかったのでは」と感じてしまう要因になり、評価を落とすことになります。

実際には、質問されたことも事前に考えられていたとしたら、それを「後出し」してしまったことによって評価を落としてしまう。これは非常にもったいないことだと思いませんか?


「進捗共有のための進捗共有」

なぜこういう進捗共有になってしまうのかというと、多くの場合「進捗共有のための進捗共有」をしてしまっているからです。

分かりやすい例は、直前に準備をしているパターンです。

何となく毎週定例で進捗を共有する機会があるから、定例会議の15分前に1週間のやったことを思い出して、箇条書きで列挙していくのです。そして、定例会議が始まったら、それを上から順番に読んでいく、、、

…と、こういう進捗共有をしてしまう人がとても多いです。


これは、「進捗共有のための進捗共有」に他なりません。こういうパターンでは、上述したような情報が不足している共有をしてしまう可能性が高くなります。

あ〜、もったいないですね!


進捗共有で達成したいこと

つまり、「進捗共有のための進捗共有」をしてはいけません。

では、何のために進捗共有をするのでしょうか。


私は大きく3つぐらいの目的があると思っています。

1. 詰まっている箇所や課題に対するアドバイスを得るため
2. 自分のアウトプットに別の人の視点を入れてより良くするため
3. マネージャーの不安を減らすため

順に説明します。


1. 詰まっている箇所や課題に対するアドバイスを得るため

第一の目的は、進捗共有をすることによって、相手から課題解決に向けたアドバイスを引き出すことです。

課題を解決するために有識者に質問する際には、ある程度現状の共有をする必要があります。例えば、コードを書いていて何かのエラーが出た場合は、「何をしようとしていて」「何をして」「何が起きたのか」などの情報を提供する必要があるでしょう。

これが進捗共有であり、これらの共有をする目的は、相手から課題解決に向けたアドバイスを引き出したいからです。

これは当たり前のことを言っていると思いますが、「何のために」をしっかり意識するということが重要なのです。


2. 自分のアウトプットに別の人の視点を入れてより良くするため

先ほどの例は、「マイナスをゼロにする目的」でしたが、これは「ゼロをプラスにする目的」と言えます。

特段、自分の作業に課題が発生している訳ではないのですが、自分のアウトプットに他の人の視点を入れて、より良いものに仕上げたいという目的です。


この場合も、クリティカルな改善アイデアをもらう際には、「成果物はどういうもので」「どういう意図で作っていて」「違和感を感じているポイントはどこか」などの情報を提供する必要があります。

これもまた進捗共有と言えるでしょう。相手から良い改善アイデアを引き出すために、必要な情報を相手に提供することが重要です。


3. マネージャーの不安を減らすため

3つ目は少し毛色の違った内容ですが、進捗共有をする目的として、「マネージャーの不安を減らすため」という目的があると思っています。

マネージャーというのは、チームのアウトカム・アウトプットに対する品質責任を負っています。そして、品質を下回ってしまうようなリスクは早期に検知して、対策を講じる必要があります。

この前提に立つと、進捗共有というのは、「品質が下回ってないか」「品質が今後下回るリスクはないか」を明らかにするための作業と言えるでしょう。フランクに言うと、「マネージャーの不安を減らすため」です。


したがって、進捗共有では、「全体の想定タスクはどれぐらいで」「現状どこまで進んでいて」「課題は何があって」「今後のタスク進捗の不確実性はどれぐらいか」などの情報を提供すると良いです。これらの情報があることで、マネージャーの不安はだいぶ解消されることでしょう。


なお、「マネージャーの不安を減らす」ということは、メンバーにとってもメリットがあります。マネージャーの不安が減ると、任せられる範囲も広くなり、裁量権が増えます。つまりマネージャーの不安を減らすことと、自分の自由は表裏一体とも言えます。


目的を意識して進捗共有を設計する

進捗共有というのは手段であり、目的ではありません。

上記に挙げたような目的を強く意識することが、良い進捗共有につながります。

1. 詰まっている箇所や課題に対するアドバイスを得るため
2. 自分のアウトプットに別の人の視点を入れてより良くするため
3. マネージャーの不安を減らすため


3つの目的それぞれに対して、進捗共有で優先的に出すべき情報というのは異なります。

進捗共有で出すべき情報が目的によって変わるからこそ、目的を意識することが重要なのです。多くの場合では、これら3つの目的は同時に複数必要になると思いますが、何のために何の情報を出すかは解像度高く意識しておきましょう。


進捗共有の時間をファシリテートすべきなのは、進捗共有をする側のあなたなのです。

進捗共有で達成すべきゴールを設定して、そのためにどの情報をどの順序で相手に共有して、どういう情報を相手から引き出すのか。それをデザインすることが大事です。


進捗共有のTips

それでは最後に、いくつか進捗共有のTipsを挙げていきます。

1. 不確実性について言及する
2. 疑問系で終わろう
3. 森から木
4. 作業ログを残そう
5. そもそも重要な論点を押さえて作業する


1. 不確実性について言及する

主に「マネージャーの不安を減らす」という目的において、不確実性について言及することは非常に重要です。

基本的に、マネージャーの不安というのは「不確実性に対する不安」です。

・どこかで躓くポイントはないか?
・想定より時間がかかりそうなポイントはないか?
・他部署とコミュニケーションを事前に取っておくべきポイントはないか?

など、マネージャーの頭の中では、タスクが順調に遂行するのを阻むような不確実性を取り除きたいと考えています。


したがって、これらの不確実性についてあらかじめ検討しておき、先手を打って、これらの情報を提供してしまうのがオススメです。

不確実性を取り除くことは原理的に不可能ですが、不確実性についてある程度理解できている状態にマネージャーを導いてあげることで、マネージャーの不安は少し和らぐことでしょう。


2. 疑問系で終わろう

肯定文しか存在しない進捗共有は、「進捗共有のための進捗共有」です。相手にアクションを促すことなく、相手のリアクションに全てお任せしてしまっているからです。

「これとこれをやりました!」

と言われても、受け手がどうすれば良いのかが分かりません。


繰り返しになりますが、進捗共有で達成したいことを明確にしましょう。そうすると自ずと進捗共有は疑問系で終わるようになります。

「ここで困っていますが、何かいい解決策を知っていますか?」
「こういうものを作りましたが、より良くするアイデアはありますか?」
「今後はこういうプランで進めますが、何か他に検討しておくべきことはありますか?」

など、相手にこういうアクションを取ってほしいということを明確に伝えましょう。こちらが進捗共有の主導権を握り、相手から良い情報・回答を引き出せるように進捗共有をデザインしましょう。


3. 森から木

「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、進捗共有において優先すべきは「森の話」です。

進捗共有をする相手のマネージャーは、細かい作業の話を聞きたい訳ではありません。「このタスクは予定通り終わりそうか?」「問題がありそうか?」など、全体感を気にしています。

そこで、細かいタスクの話(木の話)をしても、「結局終わるのかな、、?」というクエスチョンを相手は持ち続けたままになります。


そのため、まず最初にタスクのざっくりとした状況(森の話)を伝えるようにしましょう。つまり、「順調です!」or「ヤバいです、、、」を、進捗共有の先頭に持ってくることをおすすめします。

その後で、ヤバいのであればどうヤバいのか(木の話)を詳細に話していくという流れを取ると良いでしょう。この流れで話すことによって、相手から良いアドバイスを引き出しやすくなると思います。


4. 作業ログを残そう

私は、何かのタスクについて作業をするときは、極力何をしたかのログを残すようにしています。

メインディスプレイで作業をしているとしたら、サブディスプレイにドキュメントを開いておいて、作業したことや、実行したコマンド、疑問点や懸念、テンションが上がったこと、読んだ記事、etc… のログを取っています。


これは、明らかに進捗共有をスムーズにしてくれます。

進捗共有の難しさのひとつとして、「何をやったのか思い出せない」という点があります。思い出せないからこそ、思い出しながら進捗共有したりして、質問に対する「後出し」の進捗共有になってしまいがちです。それを解消するために、なるべくログを残しておくのがオススメです。


また、ログを残すことは進捗共有のためだけではありません。

そのタスクで得たことを、社内ドキュメントにまとめて記録しておいたり、外部用に整えてテックブログとして公開してみたり、活用方法は無限大です。

ぜひ、作業ログを残すように心がけてみてください。


5. そもそも重要な論点を押さえて作業する

進捗共有が苦手な人は、進捗共有自体が苦手なのではなく、そもそもタスクに着手する段階で、「ズレたこと」をしてしまっている場合があります。

ズレたことをしてしまったり、些末なことに時間を過度に使ってしまった結果、進捗共有する際にイケてない感じの報告しかできなくなってしまうのです。


これを回避するためには、作業設計が重要です。対象のタスクにおいて、

・特に重要な作業は何か?
・ブロッカーになりそうな作業はどれか?
・最も不確実性が高い作業はどれか?
・事前に相談しておくべきことはないか?

などを、作業する前にざっくりでも良いので、考えるクセをつけると良いでしょう。そして、特に重要なポイントはなるべく早く潰しておくことで、「あとは作業するだけ」状態に持っていくのがベストです。


進捗共有の目的の1つに、「マネージャーの不安を減らすため」という目的を挙げましたが、序盤で不確実性をなるべく下げておくことは、マネージャーの不安を減らすことにつながるでしょう。(進捗共有の話とは若干ずれていますが)


まとめ:放置されるようになろう

進捗共有が上手くなると、マネージャーから「こいつは放置しておいても大丈夫そうだな」という印象を持たれることになり、自由に動ける範囲が拡大していきます。

一方、進捗共有で損をする人は、同じことをやっていても、「何か不安だな…。こまめに進捗を確認するようにしよう…」という印象を持たれがちです。

おそらく、マイクロマネジメントされたいという人は珍しいかと思うので、自分の裁量権を増やすためにも、進捗共有という日常的に発生するイベントのスキルを伸ばしておくと良いと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


おわり


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