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ゲームレビュー『It Takes Two』(2021)パートナーを思いやる行動が求められる新感覚のゲーム体験


注意!一人ではプレイできません

このゲームを知ったのは、

NHK のゲーム番組
『ゲームゲノム』
紹介されていたのが
きっかけでした。

まず、興味を惹いたのは、
二人じゃないとプレイできない
という点です。

二人で協力するゲームは、
昔から多くありましたが、

「二人でなければ」
プレイできない
というゲームは、
聴いたことがないんですよね。

そして、私は妻と二人暮らしで、
二人ともゲームをプレイします。

これはやらない手はないだろうと、
番組を観て、すぐに購入しました。
(丁度、半額セール期間だった)

実際にやってみて、
これははじめての
ゲーム体験に感じましたね。

年齢が1ケタの頃から
ゲームをやっているので、
かれこれ30年以上、
ゲームに親しんできました。

そんな私でも
「こんなゲームは今までなかった」
と驚かされたゲームなのです。

主人公は離婚の危機を迎えた夫婦

本作を手掛けたのは、
スウェーデンのゲームクリエイター、
ジョセフ・ファレスです。

彼は'00年代に映画監督をしており、
その後、'13年からゲームを
手掛けるようになりました。

これまでに彼が
手掛けたゲームでは
「二人プレイ」のものが
多かったようですね。

そして、映画監督だったこともあり、
それらの作品のストーリーや
映像の完成度も高かったようで、
本作もその流れを受け継いでいます。

本作の二人の主人公は、
離婚の危機に陥った夫婦です。

妻はバリバリのキャリアウーマンで、
エンジニアの仕事をしています。

夫は専業主夫で、
家事をこなしていました。

妻の仕事が忙しくなり、
家庭をかえりみず、
夫は夫で、そんな妻に甘え、
少しさぼり気味になっていたんですね。

そんなわけで、すれ違いが増え、
不仲になり、「離婚しよう」
という話になったのです。

しかし、二人には、
小さな娘・ローズがいました。

夫婦はローズにこの話を
切り出そうとしたのですが、

ローズは泣きじゃくって、
自分の部屋に
閉じこもってしまいます。

ローズは両親をあしらった
人形を作っていました。

そして、『愛の本』という
タイトルの本も持っています。

『愛の本』は、
カップルの関係を
いかに良好にするかが書かれた
ノウハウ本のようなものです。

この本を開きながら、
ローズはその上で、
両親をあしらった人形を
持っていました。

彼女の涙が二つの人形に
降り注いだ瞬間、
奇跡が起こったのです。

パートナーを思いやる
行動が求められる
新感覚のゲーム体験

泣いて話を聞いてくれない
ローズの説得を諦め、
夫婦はそれぞれの部屋で
眠ってしまいます。

やがて、目を覚ますと、
夫婦はローズが作った
人形の姿になっていました。

戸惑う二人の前に
姿を現したのが、
「Dr.ハキム」です。

Dr.ハキムは、ローズが持っていた
『愛の本』が
そのままキャラクター化した
生き物でした。

Dr.ハキムは二人が
愛を取り戻すために、
夫婦へさまざまな試練を課します。

プレイヤーは小さくなった
二人を操作しながら、
部屋の中や庭を駆け回ることに
なるんですよね。

映画で言うと、
『トイ・ストーリー』に
近い感覚ですが、

このゲームで描かれているのは、
完全に大人の世界です。

物語の中では、
夫婦が一緒に暮らしてきて、

失ってきたもの、
見ないようにしていたものが
徐々にあきらかになっていきます。

修理すると言って、
ほったらかしていた
古い掃除機、

駆除すると言って、
そのままになっていた、
蜂の巣、

いずれも敵として、
主人公たちの前に
立ちはだかるのでした。

当然のことながら、
トラブルが起こるごとに、
二人はいがみ合いますが、

二人の協力がなくしては、
乗り越えることができないのです。

このゲームは、
ここがよくできていました。

冒頭でも述べたように、
「協力プレイ」を謳った
ゲームは過去にも多くありました。

しかし、このゲームほど、
「協力プレイ」が必須の
ゲームはありません。
(そもそも一人プレイが不可)

それには、そうなる要因があって、
このゲームでは、

各ステージにおいて、
それぞれ別の能力が
与えられます。

例えば、とあるステージでは、

妻に「釘抜き」が、
夫に銃タイプの
「釘打ち」が与えられるのですが、

このシチュエーションでは、

夫が打った釘に
妻が釘抜きでぶら下がり
ステージを進んでいくミッションが
課されます。

そうすると、
夫には妻が進みやすいように、
釘を打つ位置やタイミングが
求められるんですね。

逆に、妻が、
夫のアクションを
支える場面もあります。

これまでのゲームでは、
協力プレイのゲームであっても、

どちらかが上手ければ、
クリアーできるのが
普通でした。

しかし、『It Takes Two』は、
そうはいきません。

常に二人のコンビネーションが
求められるのです。

二人の視点は
画面分割で表示されるので、
パートナーの視点が
どのようになっているのかを
確認するのも大事です。

タイミングを合わせるのに、
「もう少し右!」とか、
声を掛ける場面も出てくると
思うのですが、

自分の視点では、
「右」に見えても、
相手の視点では
「左」かもしれないのです。

こういった、これまでの
ゲームでは感じられなかった
プレイ体験ができて、
感動すら覚えました。

ストーリーそのものだけでなく、
「プレイ」そのものが
深いゲームです。

仲がいい恋人同士は
もちろんのこと、
関係が冷めきった仲の
二人にこそ、

こんなゲームを
遊んでほしいですね。

なかなか難易度の高い
ゲームではありますが、
(謎解きもアクションも
 難易度高め)

「二人」でなければ、
到達できない達成感が
このゲームにはあります。


【作品情報】
2021年発売
(Windows、PS4、PS5、
 Xbox One、X/S 版)
ニンテンドースイッチ版:2022年
ジャンル:アクションアドベンチャー
機種:PS4 ほか
発売元:エレクトロニック・アーツ
開発元:ヘイズライト・スタジオ
ディレクター:ジョセフ・ファレス

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※タイトル画像は
 公式サイトからお借りしました。

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