映画レビュー『南極物語』(1983)自然との闘いをリアルに表現
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『もののけ姫』('97)が
公開されるまで日本映画
歴代映画興行成績1位を記録
有名な作品であるにも関わらず、私自身が本作を観たのは今回がはじめてでした。
'50年代に実際にあった出来事をモチーフにしたフィクションです。
南極観測隊が調査のため、南極に降り立ちました。
1年以上、現地で過ごした彼らは日本から連れて行った樺太犬15頭を置いていかなければならなくなりました(悪天候、燃料不足のため)。
それがわかっていれば、隊員は犬を置き去りにせず、薬で楽にしてきたところですが、船に乗ってからそのことがわかったので、犬は現地に首輪で繋いだままです。
隊員たちは、後悔の念にさいなまれ、日本に帰ってからも激しいバッシングをあびます。
隊員たちが日本に帰ってからは
犬たちの映像を中心に物語が進んでいきます。
多くの犬が首輪から抜け出し、自由を手に入れました。
しかし、南極の過酷さに、中には命を落とす犬も出てきました。
この辺りの描写は、犬たちの姿とナレーションによって描かれていますが、とにかく犬たちの演技が素晴らしいのです。
雪に埋もれる犬たち、ケガをして足を引きずる犬、このような映像が実現できたのは、よほど訓練された犬たちを使ったに違いありません。
本作のすごいところは
そのほとんどがロケによる実物の映像であるところです。
撮影に時間がかかったようで、3年もの間、北極、南極での撮影を実施しました。
一部、スタジオでの撮影もありますが、それらの映像も違和感なく挿入されています(オーロラのシーンなど)。
本作を語るうえでは、音楽の魅力も外せません。
『炎のランナー』('82)、『ブレードランナー』('82)の楽曲を手掛けたことでも有名なヴァンゲリスを起用しています。
南極の雄大な雪原と神秘的な電子音は、とても相性が良く、この二つが合わさった映像は、公開から40年以上を経た今も色褪せることがありません。
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