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書籍レビュー『脳はなにげに不公平』池谷裕二(2016)どれも3ページなので、気軽に読める


専門家が書いた一般向けの良書

池谷裕二氏の著書は、
これまでにも何冊も読んでいて、
いずれもおもしろい本ばかりです。

脳には興味があって、
池谷氏以外の著者の本も
読んだことがありますが、

一番読みやすくておもしろいのが、
池谷氏の著書なんですよね。

池谷氏と他の専門家の方の本で、
何が違うのかといえば、
それは「わかりやすさ」です。

どうしても専門家が
書いた本というのは、
マニアックな閉じた言葉に
なりがちなところがあります。

その点、池谷氏の著書は、
いずれも一般の人に向けて、
極力、平易な言葉で
書かれたものが多く、

この分野の中に限らず、
あらゆる本の中で、
読みやすさが群を抜いているのです。

どれも3ページなので、
気軽に読める

本書は『週刊朝日』で連載されていた
コラムをまとめた内容になっています。

脳科学の最新の論文をもとに、
一つのトピックスを立て、
いずれも3ページに収めた構成です。

一つの記事の短さが、
手軽に読めていいんですよね。

ちょっとした隙間の時間に、
息抜きとして読むのに最適です。

最新の論文という点で、
「難しいのでは?」
と思う方もいるかもしれませんが、

冒頭にも述べたように、

池谷氏の語り口は、
専門家に向けた
高度なものではないので
安心してください。

著者が最新の論文を読んで、
「おもしろい!」と思ったものを
家族や友人に伝えているような
親しみやすさがあるんです。

気になるトピックス

ここからは私が読んでみて、
おもしろかった記事を
いくつか挙げてみましょう。

「顔は性格を反映する」
「自分の話をすることは快感」
「上流階級ほどモラルが低い?」
「自分の評価はなぜ高くなる」
「ウソは目でバレる」
「仕入れたネタを話してスッキリ」
「ゲームがもたらす良い効能」
「外国語がペラペラになるかは遺伝子次第!?」
「「見分け」の回路 FFA のすごさ」
「”若者”でいることがうつ病に?」
「脳細胞は年をとっても減らない」
「くすぐったさはユーモアの原型」
「感情は表情よりも身体に表れる」

どれもおもしろい話
ばかりなので、
全部紹介したいくらいですが、

文字数が増えてしまいますし、
この本を読む意味も
なくなってしまうので、

今、自分が読み返さなくても、
ある程度、紹介できそうな
記事について、
概要を書きますね。

「ウソは目でバレる」

顔の表情を作る筋肉は
自分の意志で動かせる
「随意筋」です。

しかし、目のあたりの
筋肉というのは、
「不随意筋」で、

自分の意志では
うまく動かせないのだそうです。

ですから、
「作り笑いは、
 目が笑っていない」
などと言われますね。

これは科学的にも正しい見解で、
本当に相手が感じていることを
知りたければ、
目に注目するのが
いいのかもしれません。

「ゲームがもたらす良い効能」

私はゲームも好きなので、
この記事には信憑性を感じました。

というか、私自身も、
以前から似たようなことを
考えていたんですよね。

ゲームをやらない人には、
よくわからないかもしれませんが、

特に、反射神経を使う
アクションゲームをよく遊ぶ人には
共感できる話だと思います。

ゲームを遊ぶ習慣がある人は、
なんらかの作業をする際に、
能率がいい仕事をする
という話でした。

それはおもに脳の使い方が
異なっているからなんだそうです。
(もっと詳しく書きたいが、
 長くなるのでここまでにする)

本書に書かれていた話は、
おもしろい話ばかりで、
いろいろ書きたくなりますが、

この本を読んでほしいので、
あえて、書きません。


【作品情報】
初出:『週刊朝日』(2012~2013)
   単行本 2016年
   文庫版 2019年
著者:池谷裕二
出版社:朝日新聞出版

【著者について】
'70年、静岡県生まれ。
薬剤師、薬学者、脳研究者。

【同じ著者の作品】


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