マンガレビュー『はまり道』吉田戦車(1994)懐かしいのに古びないおもしろさ
今でも大人気の兄弟も登場!
吉田戦車が'80年代末~
'90年代前半にかけて
『週刊ファミ通』で連載していた
4コママンガの単行本です。
『ファミ通』なので、
すべてのマンガのネタが
当時、流行っていたゲームが
もとになっています。
出現率が多いのは、
マリオとルイージで、
表紙にいる気持ち悪い
おっさんたちがソレです(笑)
(マリオは
『ドクターマリオ』のバージョン)
後半は『月刊アスキーコミック』で
連載していた「ニューボンボン」
というエッセイになっています。
吉田戦車のエッセイは、
はじめて読みましたが、
実体験にフィクションを絡めた
独特な味わいのある
文体になっていました。
懐かしいのに古びないおもしろさ
連載されていたのが、
'80年代末~'90年代前半
ということで、
当時、小学生だった私には
懐かしいネタばかりでした。
「ゲーム」という制限がある中で、
これだけたくさんの
4コマが描けてしまうのが、
すごいですし、
(それにしても、
当時の吉田戦車は
いろんなゲームを
楽しんでいたんだなぁ)
何より、ネタは古くても、
おもしろさは古くありません。
ゲームの未来を予言したマンガ
今でこそ、マリオとルイージ
といえば、映画にまでなって、
それぞれのキャラクターが
確立されていますが、
このマンガが
連載されていた頃は、
そんなキャラ付けは
ありませんでした。
そんな中で、作者が描いた
マリオブラザーズのイメージは、
マリオが強気な感じ、
ルイージは兄さんにすがる
いじめられっ子なイメージで、
ある意味では、
その後の公式の
マリオ・ルイージ像にも
合致するところがあるんですよね。
(本当か?笑)
先見性のあるネタも多いです。
例えば、コードが長い
コントローラーが出てくるんですが、
これはプレイステーションの時代に
実現していますし、
「やらずにすむゲーム」
というネタは、
今で言う「放置系」のゲームを
予言しているかのようです。
吉田戦車は発想は、
先の時代を
見越していたのかもしれません。
だからこそ、
おもしろさが古びない
今でも笑ってしまう
4コママンガが描けたのでしょう。
【作品情報】
発行年:1994年
初出:『週刊ファミ通』
「はまり道」
『月刊アスキーコミック』
「ニューボンボン」
著者:吉田戦車
出版社:アスキー
巻数:全1巻
【作者について】
‘63年岩手県生まれ。
’81年、『ポップアップ』でデビュー。
代表作『伝染るんです。』(‘89~’94)、
『ぷりぷり県』(‘95~'98)
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