映画レビュー『アイアンクロー』(2023)呪われた一家の物語
【約1200字/3分で読めます】
Netflix の配信ドラマ
『極悪女王』が流行っています
次に何を観るか迷った方には、本作をオススメします。
本作は'60~'70年代に、必殺技の「アイアンクロー」で一世を風靡した伝説のレスラー、フリッツ・フォン・エリックの家族の物語です。
主人公はフリッツの息子、
ケビン・フォン・エリック
アメリカのプロレス界では有名な「フォン・エリック・ファミリー」は、フリッツの息子や親族によって構成されています。
フリッツの息子たち(本作では5人兄弟、実際は6人兄弟だった)は、いずれもプロレスラーになったのです。
ところがこの息子たちが、次々と不審な死(病死、事故死、自殺)を遂げたため「呪われた一族」と呼ばれるようになってしまいました。
この物語では、逆境の中で次男のケビンがそれをどのようにして、乗り越えていったかが描かれています。
プロレスのシーンばかりではありません
こんなことを書くと、アクションを期待されている方には、いい印象を持たれないかもしれません。
それを承知した上で敢えて書かせもらうと、本作はプロレスのアクションがメインではなく、人生ドラマがメインの作品です。
プロレスラーの話とはいえ、家族が次々に亡くなったことを考えれば、そちらを避けて通ることはできないですよね。
私が思うに「フォン・エリック・ファミリー」の呪われたかのような、不幸な出来事の連続は、伝説のレスラーとして威厳があり過ぎた「父」に原因があったようにも思います。
本作を観ていると、アメリカの家族って、こんな感じなのかなぁと違和感を覚える部分もありました。
常に「家族」が中心なんですよね。
「家族」のために、本当に自分のやりたいことを我慢して、親の意向に沿うのが、当たり前のように描かれていて、多くの日本人にはその部分が奇妙に映るかもしれません。
もちろん、主人公のケビンは、幼い頃から父に憧れて、みずから望んでプロレスラーの道を歩んだのですが、最後に掴みとった「答え」は、意外なものでもあります。
果たして、ケビンは呪いも父親の威厳も乗り越えて、何を手にしたのでしょうか。
辛いシーンも多い作品ではありますが、決して後味の悪い結末ではありませんでした。
【同じ監督の作品】