テレビレビュー『墓場鬼太郎』(2008)悪い鬼太郎も魅力的!
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'08年に放送された
深夜アニメ版『鬼太郎』
本作が原作とするのは、『ゲゲゲの鬼太郎』が『墓場鬼太郎』というタイトルで貸本マンガとして発表されていた頃のものです。
アニメでは、はじめて鬼太郎が生まれるところが描かれ、「目玉おやじ」になる前の父親の姿が見られます。
鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男は、それぞれ初代アニメ版の声優(野沢雅子、田の中勇、大塚周夫)が担当しており、古くからのファンにはたまらないでしょう。
画風は原作の鬼太郎に近い
ダークな感じで
黒が多い、暗い画面に現代ならではの技術を駆使した個性的なビジュアルとなっています。
そのビジュアルをもっともシンプルに表したのが、オープニングです。
テーマ曲はいつもの『鬼太郎』とは異なり、電気グルーヴのオリジナル曲(『モノノケダンス』)で、原作の鬼太郎の原画にカラフルな着色をして動かした、おもしろいアニメーションに仕上がっていました。
墓場鬼太郎は人間を助けません
貸本時代の『鬼太郎』は知らないのですが、コミック誌で連載されるようになってからの『鬼太郎』でも、本作のように「人間の味方ではない鬼太郎」が描かれたことはあったようです。
通常のアニメ版の鬼太郎しか知らない方が観ると、違和感を覚えるかもしれません(特に、鬼太郎の「ケケケッ」という、いやしい笑い方)。
しかし、個人的には『鬼太郎』の本当のおもしろさは、こういうところにあると思います。
原作のマンガでも、連載される雑誌のカラーに合わせてそれぞれの鬼太郎の個性が違っていたみたいなんですよね。
長く続いたマンガでも、他のものとは違って、もともと『鬼太郎』は柔軟性のあるコンテンツだったのです。
おなじみの「悪い妖怪が出てきて鬼太郎が退治するエピソード」も多いですが、それ以外にも、まるで『笑ゥせぇるすまん』のような、人間の愚かさを描いた話もあって、そちらのエピソードも魅力的でした。
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