見出し画像

音楽レビュー『There's A Riot Goin' On』Sly & The Family Stone(1971)スライのスタジオ録音最高峰

’60~’70年代を代表する伝説的バンド

スライ&ザ・ファミリー・ストーンは、
スライをリーダーとする
アメリカのファンクバンドです。

’67年にデビュー、
’68年に発表したシングル
『Dance to the Music』がヒットし、
その名を広く知られるようになります。

’69年に発表した4枚目のアルバム
『Stand!』は、300万枚を売り上げ、
’60年代を象徴する作品の
一つとなりました。

順風満帆に見えたバンドですが、
その後、スライの麻薬中毒などもあり、
新しい作品の発表は遅れに遅れます。

満を持して’71年に発表された
5枚目のアルバムが本盤です。

大半の楽曲が一人で演奏された

この時代のスライは、
精神的にも病んでおり、
ライブへの大幅な遅刻、
キャンセルが相次いでいました。

本盤のレコーディングも
スタジオに一人引きこもり、
一人でオーバーダビングを繰り返し、

楽器の演奏もその大半は、
一人で録音されたものです。

前作から大きく変わった点としては、
リズムボックスの導入があります。

シングルカットされた
④『Family Affair』は、
リズムボックスを使った
最初期のヒット曲です。

本盤全体に流れる陰鬱なサウンドは、
当時の音楽シーンの中では、
異質な存在で、評論家たちの
手にもあまるものでした。

しかし、その後、
時代は変わり、
ファンクが一般化すると、
評価は一転します。

多くのアーティストが
本盤に収録された
楽曲をカバーしたり、

ヒップホップのサウンドで、
サンプリングに使われたり、

といった過程を経て、
現在では名盤の誉れが高い
作品となっています。

スライのスタジオ録音最高峰

私自身は、これまでに
本盤以前スライの作品を愛聴してきて、

好きなんだけど、
「これがファンク?」
という疑問符も感じていました。

それもそのはず、
本盤より前に発表された
スライの作品は、

どこかロックっぽい
感じもあるんですよね。

しかし、本盤は真性のファンク
という感じがします。

そう思わせるのは、
やはり、リズムボックスによる
均一なビートの影響が強いでしょう。

均一なビートと、
ルーズな歌とベース、
このズレ具合が、
強いファンク臭を感じさせます。

スライというと、
ドキュメンタリー映画
『サマー・オブ・ソウル』

’69年のハーレム・カルチャラル・
フェスティバルの
映像を観て以来、

どうしてもライブ演奏が
魅力的なバンドという印象が
強かったんですが、

スタジオ録音でも
これだけ魅力的な作品を
作っていたのは意外でした。

それ以前のスライの作品とも異なり、
ものすごくスライのパーソナルな
部分が込められた作品です。

「陰鬱」とも言われるアルバムですが、
一部の楽曲には、明るさも感じます。

オリジナル版ではラストを飾る⑫は、
ファンク&ベース好きならば、
必聴の名曲です!
(YMO もライブでカバーしていた)


【作品情報】
リリース:1971年
アーティスト:Sly & The Family Stone
レーベル:エピック・レコード

【アーティストについて】
’67~’83年に活動した
アメリカのファンクバンド。

【同じアーティストの作品】

【’71年に発表されたソウルの名盤】


サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。