映画レビュー『ドクター・スリープ』(2019)どちらが勝つか、世紀の超能力バトル
前作『シャイニング』は
こんな感じ
有名な『シャイニング』の続編です。
『シャイニング』について、
知らない方のために、
前作がどんな作品だったかを
振り返ってみましょう。
『シャイニング』は、
スティーヴン・キングの小説です。
映画版は
スタンリー・キューブリックが
監督しました。
観たことがない方でも、
主演のジャック・ニコルソンが
板のようなものの間から
顔を出した印象的なジャケットを
見たことはないでしょうか。
この写真は、もちろん、
映画のワンシーンから
取ったものです。
(木製のドアを斧で破って、
顔を出すシーン)
私は20歳の頃に、
ジャック・ニコルソンにハマり、
彼の出ている映画は
たくさん観ました。
中でも『シャイニング』は、
強烈なインパクトを感じ、
今でもその記憶は
鮮明に残っております。
キューブリック版の
『シャイニング』は、
原作から大幅に
アレンジされているそうです。
私は原作を読んだことがないので、
どれほど違うのかは
わかりませんが、
おそらく、
原作の世界観を借りた、
キューブリックの作品
という感じなんでしょうね。
舞台はコロラド州の
山上にあるホテルです。
冬の間は、雪の多い地域で、
ホテルは閉鎖されます。
そこで、主人公のジャックは、
家族とともに、
このホテルに住み込み、
管理人を務めることになりました。
ホテルには、なんらかの
怨念が沁みついており、
家族はたびたび、
奇妙な出来事に遭遇します。
その奇妙な出来事に
困惑しているうちに、
いつの間にか、
ジャックは怨念に
取り込まれてしまい、
家族を襲う殺人鬼に
変貌してしまうのでした。
おおまかに言うと、
こんなストーリーですが、
なんせ、
キューブリック監督の
作品ですから
一筋縄ではいきません。
一度観ただけでは、
よくわからないところもあり、
結末も想像の余地を残した形で
終わっていたんですよね。
いや、それでこそ、
キューブリックです。
これは、この監督の
持ち味なんですよね。
これもれっきとした
映画のおもしろさの一つです。
とはいえ、私自身も、
今回の続編を観て、
20年越しに
「そういうことだったのか!」
と腑に落ちたところが
ありました(^^;
本作は前作の
『シャイニング』から、
40年後の話になっています。
能力に悩みながらも、
それを人のために活かす
ホテルでの惨劇から40年、
ジャックの息子、
ダニー(ユアン・マクレガー)は、
父親と同じく、
アルコール依存症に
悩まされていました。
ダニーには、
昔から不思議な能力が
あったんですよね。
他人の心の声が聴こえたり、
他人には見えない
亡霊が見えたり、
(「シャイニング」とは、
この能力のことを指す)
そういった特殊な能力が
ダニーを悩ませ、
アルコールは、
その能力を抑えるための
薬でもあったのです。
ダニーは独り身で、
ニューハンプシャー州の
小さな街に移住しました。
そこでダニーは、
親切な人に助けられ、
アルコール依存の患者を
ケアするグループセラピーに通い、
ホスピスの清掃員
という職も得ます。
それぞれの場所でも、
ダニーの特殊能力が
活かされることがありました。
ホスピスには、
一匹の猫がいて、
その猫が夜に病室に入っていくと、
その夜に病室の患者が
亡くなるということが
あったんですね。
ダニーは、それを知らず、
猫についていくと、
その病室の患者は、
間もなく訪れる
「死」を恐れていました。
ダニーは、患者の側へ行き、
「怖がることはない、
眠るのと同じだ」
と優しく声をかけます。
その声を聴いて、
患者は心が和らぎ、
「死」に対する恐れが
なくなりました。
そして、患者は
ダニーのことを
「ドクター・スリープ」
と名付けます。
つまり、タイトルの
「ドクター・スリープ」とは、
主人公のダニーのことなのです。
どちらが勝つか、
世紀の超能力バトル
ダニーの特殊能力で、
他人の心の声が聴こえる
というものがあります。
ダニーはニューハンプシャーに
移住してから、
部屋にあった黒板の壁で、
遠くの誰かと
交信を続けていました。
最初は「Hello!」といった、
たわいもない挨拶から
はじまり、
その遠くの誰かとの交信が、
彼を大きな事件に
巻き込むことになるのでした。
自分が持つ能力を
良い方に使う者がいれば、
当然のように、
それを悪用する者もいます。
本作に登場する
「トゥルー・ノット」
というカルト集団が
能力を悪用する方です。
彼らは、若い命を貪り、
生き永らえる者たちでした。
最終的に、ダニーは、
このカルト集団
と対峙することになります。
似たような能力を持つ者同士、
でも、その使い方は、
180度異なります。
果たして、神が味方するのは、
ダニーなのか、
トゥルー・ノットなのか、
その結末は、
本編をご覧になってください。
冒頭にも書いたように、
前作『シャイニング』は、
内容的にはマニアックな作品でした。
しかし、本作は、
そんな前作を知らずとも
楽しめる純粋な
エンタメ作品になっています。
簡単に言ってしまうと、
超能力バトルですね。
マーベル作品を大人っぽく、
ダークなアレンジにした感じ
といったところでしょうか。
さらに、わかりやすい中にも、
前作『シャイニング』への
オマージュもふんだんに
入っており、
古くからの映画ファンも
唸らせることは
間違いありません。
【作品情報】
2019年公開
監督・脚本:マイク・フラナガン
原作:スティーヴン・キング
出演:ユアン・マクレガー
レベッカ・ファーガソン
カイリー・カラン
配給:ワーナー・ブラザース
上映時間:152分
【原作】
【前作】