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パターンをずらして読者の興味を惹く
【約1900字/5分で読めます】
引き続き、文章の「起承転結」の「転」について書きます。
前回の記事では、「転」を入れる必要がある文章の種類、メリットを紹介しました。
~「転」を入れる必要がある文章~
・物語
・論文
・広告のような内容
~「転」のメリット~
・おもしろさが増す(盛り上がる)
・他の視点が入り、説得力が増す
つまり、「転」には、以下の二つの特徴があるのです。
・流れを変えて、変化を与える
・客観性が増す
こう考えると、前述した「物語」「論文」「広告的な内容」以外にも、「転」の効果的な使い方ができるタイプの文章があるような気がします。
例えば、「エッセイ」的な内容の文章は、読者に「おもしろさ」を提供するものです。
そう考えると、「転」が有効でしょう。
エッセイは、自分が体験したことをもとに書いていくので、「体験したこと」の中に「転」の部分を見つけるのがいいかもしれません。
この場合の「転」とは「いつもとは違う状況」のことです。
前にも例に出しましたが、以前、私が通勤途中で見かける子どもの話を書きました。
次々と車のメーカーを言い当てる子どもを見ていたのですが、ずっと国産車が続いていたところへ、外車がやってきたという話です。
このように一つのパターンを見出すには、対象を一定の時間、観察し続けなければいけません。
一定のパターンから外れたものが「転」となるので、そこを「結」にうまく結びつけることができれば、魅力的なエッセイが書けます。
~例:エッセイにおける「起承転結」~
次々に車のメーカーを言い当てる子ども(起)
↓
国産車ばかりがやってくる(承)
↓
外車がやってきた(転)
↓
外車のメーカーも言い当てた(結)
「転」を入れるメリットは、「おもしろさ」を引き立たせるだけではありません。
文章に「客観性」を入れて、「説得力」が増すという効果もあるんでしたよね。
そういった観点からすると、「少数意見」を主張する場合にも、「転」が使えそうです。
「少数意見」は多くの人の「共感」に繋がらない可能性が高いからこそ、「転」を入れて、説得力を高める必要があるでしょうね。
例えば、私は本を読むのが好きです。
一般的に言えば、それほど変わった趣味ではありませんが、私の周りには本を読む人が非常に少ないんですね。
読まない人に向って、「この本、おもしろいんだよ!」と言っても、あまり興味を持って聴いてもらえません。
相手も本をよく読む人ならば、何も考えずに「本」の中身についてだけ話せばいいですが、「本を読まない人」に対して、「本」の紹介をする時には、工夫が必要なんです。
つまり、「興味がない人」を振り向かせるのにも、「転」が効果を発揮するのです。
~例:本を読む人を対象に本の紹介~
本の紹介・あらすじ(起)
↓
おもしろかったところ(承)
↓
見過ごされがちなポイント(転)
↓
この本から得たもの(結)
~例:本を読まない人を対象に本の紹介~
相手の関心事(起)
↓
相手の関心事を深掘り(承)
↓
関係のある本を紹介(転)
↓
相手の関心事と本の共通点(結)
後者の場合は、「一番伝えたいこと」が「転」にきています。
こういうやり方もアリですね。
特に、自分と相手の向いている方向が違う場合に有効です。
ここまで「起承転結」の「転」について書いてきましたが、わかりやすく言うと「転」は「一定のパターンからずらすこと」です。
「パターンからずらす」には、これまでにも何度か紹介してきた「5W1H」が使えます。
・いつ(When)
・どこで(Where)
・誰が(Who)
・何を(What)
・どのように(How)
・なぜ(Why)
これらを操作してどうずらすかは、以下の二つにと照らし合わせて考える必要があります。
・「起」「承」でどのような道筋で話を運んできたのか
・「結」で何を伝えたいのか
例えば、
・「起」「承」で「自分」のことを書いた
・「結」で「世間」のことを書きたい
という文脈であれば、「転」では「自分以外の人やモノ」のことを書いて、パターンをずらした方がいいですし、
・「起」「承」で「過去」のことを書いた
・「結」で「未来」のことを書きたい
という文脈であれば、「転」では「現在」や「未来」のことを書いて、パターンをずらすと、「結」とスムーズに結びつくでしょう。
何度も言いますが、「転」は必ずしも入れなければならないものではないです。
それでも、どうしても「転」を入れたい時には、「5W1H」をずらして思考してみると、「転」として入れるべきものが見つかるかもしれません。
あくまでも「結」が一番大事ですから、「結」が引き立つような「転」を入れてみてください。
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