勉強初心者に本居宣長が教えたこと3
以下の文章は『勉強初心者に本居宣長が教えたこと2』の続きです。
登場人物
先生:本居宣長(もとおり のりなが)〈享年71歳〉
生徒:春 ひみの(はる ひみの)〈高1〉
原文を参照できるよう、本文内に「岩波文庫『うい山ふみ 鈴屋答問録』本居宣長著 2007年4月13日第39刷発行」のページ番号を記載しています。
※本作に登場する宣長先生は、あくまで実際の本居宣長をイメージしたキャラクターとお考え下さい。
『うい山ぶみ』Q&A
難しい本を読むのが嫌な君へ
18~20ページ参照
ひみの
「宣長先生。親に本をもっと読めって言われたけど、読んでも正直いみわからんので嫌です」
宣長
「はっきり言うね(笑)。それで、どんな本を読んだの?」
ひみの
「歴史とか古典のぶ厚い全集をわたされて、読めって言われたから読み始めたけど、さっぱりわからない」
宣長
「本を普段読まない人にとって、ぶ厚い本は見るだけで嫌になるよね」
ひみの
「そう! あんなの読める人は変だと思う!」
宣長「……本、好きな人もいるからね」
ひみの
「あ、ごめんなさい。でもホントにぶ厚い本は読む気が無くなります。どうしても読まなきゃいけませんか?」
宣長
「もちろん歴史や古典の本はたくさん読んだ方がいい。だけど、いきなりぶ厚い本に手を出すと嫌になってしまうよね。だから最初は薄くて簡単そうな本から読み始めたらいいと思うよ。薄い本好きでしょ?」
ひみの
(先生、現代のサブカルチャーに毒されすぎじゃ……、聞かなかったことにしよう)
ひみの
「薄い本でも、わからない文字とかが出るたびに読むのが止まってしまって、言葉の語源とかも勉強しなきゃいけないのでなかなか進まないんです」
宣長
「初めのうちはあまり細かいところは気せず、だいたい理解できたらそれでいいよ。言葉の語源も面白くてつい気になってしまうけれど、やりだすとキリがないからね」
ひみの
「そんな読み方でいいんですか?」
宣長
「大丈夫、その時は難しくて意味がわからなかった部分も、読めそうな本をいろいろ読んだ後読んでみると、意外とわかるようになっていたりするからね」
ひみの
「わかるところから読んでいけば良いんですね?」
宣長
「そう! そうしているうちに、次に読むべき本や、勉強法も自然とわかるようになるはずだよ」
ひみの
「実は漢詩なんかは短いし、カッコいいから好きなんです。先生はやっぱり国学者だから、漢文とかは嫌いですか?」
宣長
「そんなことはないよ。日本の歴史や文学には中国の影響が大きいからね。正しく日本のことを理解するには中国の歴史や文学を知ることも大切なんだ。それに、私は元々漢方医だから漢文は得意だよ」
ひみの
「中国のものは全部嫌いなんだと思ってました。意外です」
宣長
「あくまで日本の精神が優先だけどね。それから、ある程度勉強が進んで来たら人に説明するつもりで勉強すると、より深く理解できるようになるよ」
ひみの
「ダイアログ勉強法ですね。塾で習いました」
宣長
「最近ではそう言うのかな。学校の他に塾まで行って大変だね」
ひみの
「そうでもないですよ」
宣長
「まあ、薄い本作る時間はあるみたいだしね」
ひみの
(なんで知ってるの?)
あとがき
ひみの
「今回から話の進め方がだいぶ変わりましたね」
宣長
「こっちの方がより分かりやすいと思ったから変えてみました」
ひみの
「私たちの紹介もできましたね。先生の年齢の所、享年って書いてるけど、どういう意味ですか?」
宣長
「知らなくて良いよ」
ひみの
「私も最初、自分のこと僕って言ってた気が……」
宣長
「あんまり詮索しない方が良いよ」
ひみの
「でも、気になります」
えんじゅ
「お前の代わりはいくらでもいるんやで?」
ひみの
「私消される!? 先生! 早くまとめましょう」
宣長
(だから言ったのに)
宣長
「まず、勉強し始めの本は薄く読みやすいものを選ぶこと、そしてわからない部分があってもあまり気にしない。たくさん読んでいるうちにわかるようになります。あと、勉強は人に説明する気でやると、より深く理解できます」
ひみの「はい終わり! さよなら!」
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