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勉強初心者に本居宣長が教えたこと9

以下の文章は『勉強初心者に本居宣長が教えたこと8』の続きです。
最初から読む場合はこちらから『勉強初心者に宣長先生が教えたこと

登場人物
先生:本居宣長(もとおり のりなが)〈享年71歳〉
生徒:春ひみの(はる ひみの)〈高1〉
原文を参照できるよう、本文内に「岩波文庫『うい山ふみ 鈴屋答問録』本居宣長著 2007年4月13日第39刷」のページ番号を記載しています。
※本作に登場する宣長先生は、あくまで実際の本居宣長をイメージしたキャラクターとお考え下さい。

岩波文庫『うい山ふみ 鈴屋答問録』68~70ページを参照

もののあわれ

ひみの
「これまで色々教わりましたけど、結局先生が言いたいのは道を学べってことなんですね?」

宣長
「そうです。日本の古典や歴史から、古代の日本人の心を学び取って欲しいと思っています」

ひみの
「でもやっぱり、道なんていうと話が大きくてとっつきにくいですね」

宣長
「もちろん、いきなり日本人の道とは、なんて大上段に構えることはありません。道の入り口としてまずは「もののあわれ」について意識してみましょう」

ひみの
「先生がよく言ってるやつですね」

宣長
「もののあわれとは、なにかの物事に接して心が動くことを言います。感動したときに「ああ」と言葉が漏れるあの感じです。

昔のことを知るには昔の人の心を知る必要があります。
だから和歌や物語を読むことで昔の人が何に感動したのかを知ることはとても大切なんです」

ひみの
「じゃあこれからもっと古典を勉強しますね!源氏物語に興味があるんで先生解説してください」

宣長
「源氏物語はもののあわれを知るにはとてもいい本ですね。でもそれについては別の本。『源氏物語玉の小串』や『紫文要領』に書いてるのでそっちを読んでね」

ひみの
「また勉強する本が増えるのか……」

あとがき

ひみの
「あれ?先生もしかしてこれでおしまいですか?」

宣長
「はい終わりです。『うい山ふみ』をほぼ最初から最後までお話しました」

ひみの
「なんか大体、本を読めと言われ続けていたような気がします」

宣長
「国学の初心者のために書いた本だからね」

ひみの
「色々勉強になりましたけどそのぶん勉強しなきゃいけないことが増えました」

宣長
「これまで話したことは学問の入り口だからね。是非これからも勉強を続けてください」

ひみの
「わかりました~」

(終)

参考図書
『うい山ふみ 鈴屋答問録』本居宣長著 岩波文庫 2007年4月13日第39刷
『日本の思想15本居宣長集』吉川幸次郎編 筑摩書房 1969年3月30日初版

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