土手からの景色
6部咲きの桜と通り雨。
過ぎ行く人は仕事で忙しく、誰もこの土手を見ようとしない。
慌ただしく、せわしなく過ぎていく日々の中に、6部咲きの桜は目に映らない。
でも、僕は知っているんだ。春になればみんな魅力に気づくことを。
春になればこの土手にはカップルや、犬の散歩をする人や、お花見する人がたくさん集まってくるんだ。
2週間後のこの土手は、素敵な桜と川の音と共に笑顔と笑い声が溢れている。
僕はその日を待ちわびながら、今は磨いておこう。
ゴミを拾って、桜の木に水をやって、丁寧に丁寧に磨いておくんだ。
芽が出て人が集まる、
春が来るいつかその日まで。