G1 CLIMAX28を終えて ー新日本プロレス新体制に思いを馳せながらー 日刊 粋プロレス 1
夏の風物詩である新日本プロレスのG1 CLIMAX28が8/12で終了しました。結果的としては、棚橋選手が3年ぶりの優勝をし、幕を閉じました。
メイ社長体制となって初のG1 CLIMAX
今回のG1 CLIMAXは6月に新日本プロレス社長に就任されたメイ社長以降の初のG1でした。それもありどのような展開が考えられるかファンからの期待もありつつ、そして
・ラストは初となる武道館での3日連日開催
・Bブロックではケニー・オメガ選手と飯伏幸太選手のゴールデンラヴァーズの6年ぶりの直接対決
などなど、開幕当初から多くの話題を巻き起こしながらスタートしました。
開幕当初の筆者の予想(期待も込めて)
Aブロックでの期待の選手は、やはりIWGPをケニー・オメガ選手に奪われたばかりでキャラチェンジを行い始めたオカダ・カズチカ選手。そして、怪我からの完全復帰が期待される棚橋弘至選手。最後に最近実力を上げて、外国人選手の中でも期待が上がっているジェイ・ホワイト選手。この3選手が予想されましたが、個人的には、オカダ・カズチカ選手はまだ再度挑戦には早いのではないか?という思いもあり、大エース棚橋弘至選手の復活を願っていました。
一方でBブロックは、開幕前から話題を呼んだケニー・オメガ選手と飯伏幸太選手のゴールデンラヴァーズの2選手と、プロレス総選挙で1位を獲得し、現在波に乗りまくっている内藤哲也選手でした。こちらも個人的には、内藤哲也選手は、2連覇はやはりハードルがものすごく高く、ケニー・オメガ選手はすでにIWGPを持っているので、他の選手がいいなーという思いもあり、何よりも最も好きな選手ということから飯伏幸太選手の勝利を願っていました。
多くのファンの夢を叶えた決勝カード
結果は、筆者の期待通り、もはや夢の通りに棚橋弘至選手vs飯伏幸太選手が決勝カードとなりました。
これは僕の予想を自慢したいのではなく、おそらく多くのプロレスファンが思い描いた夢の決勝カードだったと思います。その期待を受けて両選手が必死に戦い、そして実現してくれました。このファンの思いを120%叶えることができる選手がいることが今の新日本プロレスの強さでもあると思います。
そして、棚橋選手と飯伏選手というカードだけでなく、叶ったファンの夢もありました。
飯伏選手のセコンドがケニー・オメガ選手だったのはもちろんファンの心を揺さぶりましたが、棚橋選手のセコンドとしてなんと柴田勝頼選手が駆けつけたのです。
棚橋選手と柴田選手はほぼ同時期に入門し、一時は柴田選手が総合格闘技に行くなどし方向性を違い、柴田選手が新日本プロレスに復帰後も両者は歪みあっっていましたが、復帰から約2年後の2014年の試合のあとに
柴田選手「新日本プロレスを守ってくれてありがとう」
棚橋選手「ありがとう。おかえり」
というファン号泣のやり取りで絆を改めて結びあった二人のコンビなのです。
そして柴田選手が試合前の棚橋選手にこのように声をかけたそうです。
「新日本プロレスを見せてこい」
これは飯伏幸太選手もそのセコンドのケニー・オメガ選手も、DDTという新日本プロレスから見たらインディー団体の出身だからという側面と、まさに棚橋選手のプロレスこそが新日本プロレスだという意味が込められていたと思います。
棚橋選手は、この一言を糧に全力を振り絞り優勝を掴み取ることができました。
チャンピオンのプロレスがその団体のプロレスになる
棚橋選手は優勝後の会見で、
「良くも悪くもIWGPチャンピオンのスタイルがその団体のプロレスになる」
というようなことを語っていました。
いまのIWGPチャンピオンは、ケニー・オメガ選手です。カナダ出身でありそしてDDTという他団体の出身でもあります。
おそらく棚橋選手は、IWGPのベルトを自分が取り戻すことで、新日本プロレスのスタイルを新日本プロレス叩き上げの日本のレスラーのスタイルに取り戻す!と宣言したかったのだと思いました。
売上もファンの数もますますグローバル化が進む新日本プロレスですが、多様性も十分に認めつつ、まさに大王道である棚橋選手のプロレススタイルがどこまで通用し、どのように評価されるのか、メイ社長の新体制後のIWGPのベルトの行方に目が離せません。