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ジサツのための101の方法

「だんだんと頭の中がぼやけてくる 

なにをしていいのか 

なにをすればいいのか

なにをすべきなのか

なにも判断できない。」

というような文が、シナリオの序盤で何度も登場する。同じような毎日に心を腐らせてあらゆる事柄への意味が見出さず錯乱状態に陥っていた日々のことが蘇る。ジサツのための101の方法は、フィクションという表現方法を媒介させた、本当の話で、誰しもが持っているリアルな傷にそっと触れる。


「三代電波ゲー」のひとつであるジサツのための101の方法の実況をみた感想だが、まとめて言えば、「無名の会社でお金がかかってないし(実際、このゲームを制作した会社はこれを処女作として次回作を製作中に倒産してしまった)凝っていないし処女作の割には内容のクオリティは高く、一度やってみる価値はあるし、三大電波ゲーに並ぶのも理解できる」といった感じだ。

シナリオが素晴らしい。予測できない展開で面白かった。ボイスが入っていなければ、BGMも凝っていないが、その割には引き込まれたし、臨場感があった。
序盤は、タイトルの通り自殺について語っている部分が多く、過激なシーンが連投され、浅はかな感じを受けたが、中盤に差し掛かっていくうちにその考えは打ち砕かれた。タイトルから受ける「いかにも」サブカル、いかにもオカルト、怖いもの見たさで見るようなもんだろう、というような浅はかなイメージとは裏腹に、生きることとリアリティのある闇とその悲しみと切なさの話が広がっていった。非常に「深く」て、フィクションだけどどこか「本当の話」で、一読する価値のあるものだと感じた。誰しもこのシナリオを読めば、自分の心の傷になにかしら触られる感覚に陥るのではないかと思う。私はそういう話が好きだ。

あと、割と演劇的だなと思った。上手くいくかは分からないが、誰か舞台化してみてもいいのでは?と何度も思ったりした。

タイトルの割には、衝撃的なシーンは(あるにはあるけど)少なめで、厨二厨二サブカルサブカルせずに中身の伴った内容だった、そのギャップが良かったです。絵の作画や文章のところどころになにかとなにかを足して2で割ったような感じも受けたが、これはこれでいいと思えるほど、面白かった。良作です。はなまる。

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