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母90歳。訪問診療のクリニックに守られて「元気な100歳」めざしてます♡

「人として信頼できる医師」に出会えて、安心して介護を続けられるようになりました。母の望みは、最期までお家で暮らすことです。認知症があると無理と世間では考えられがちですが、新たな医師は母の思いを実現させるための人生会議を丁寧にしてくれました。3年前の最初のクリニックとの契約から今に至るまでをふりかえりました。

心配だった緊急のとき

遠距離介護をしていて一番の心配は、母に「いざ」、「なにかあったとき」の緊急時の対応です。離れて暮らしているため、母になにかあって「ちょっときて~」と母から電話があっても、「はいは~い」とすぐには駆けつけられません。

認知症がある母を守りたい

母は90歳。ひとり暮らし。認知症があります。ふだんの会話で、たまぁに言葉がスラスラ出てこないことがあります。もしも救急車を呼ばなくてはならない緊急事態が発生した場合、母が一人で「ふだんの体調、血圧、お薬の処方・・・」など細かい情報を伝えることはできないでしょう。私も怪我で救急車で運ばれた経験があるのですが、その時はうんうんうなって「はい」とか「いいえ」などと答えるのが精一杯でした。

母の望みをかなえたい

困ったな…どうしよう…と不安なっていたそんなときに登場したのが「訪問診療のクリニック」です。介護の先輩から「一人暮らしのお母さんが最期までお家で暮らしたいと思っているなら、訪問診療を契約しておかんと大変なことになるよ」とアドバイスしてもらったのです。

ピンシャン元気なうちから契約

すぐにお世話になっている小規模多機能のケアマネージャーさんに相談して契約しました。

毎月一回、母の家に来てくれて、体調管理をしてくれています。世間一般では寝たきりになってからお世話になるものだと考えられているようですが、母がまだピンシャンしているうちから契約して本当に良かったと思います。緊急時にもすぐに駆けつけてくれるのです。

母娘の心が安定♡

診療には、FaceTimeで私も診療に同席しています。血圧測定で「いいですよ~」と先生から言われる一言で、母はググッと安心できているようです。先生からの声かけだけでも、血圧がいい感じに下がっているのではないかと想像しています。定期的に血液検査もあるので、さらに安心です。

ほっこり診療タイム

「ちゃんと食べられていますか?」の先生の質問に、母は「ハイ、シッカリイタダイテイマス」と毎回答えます。でも本当は違うので、「お母さ~ん、嫌いなものは身につかん、食べんでいいって、肉や魚を残してばっかりじゃわ~」と母のリアルをお伝えしています。先生ものんびりしたもので、「いろいろ食べてくださいね~」とやんわり母に伝えてくれます。のんびり穏やかな診療のひとときは、母も私も安心感に包まれます。

クリニック変えて+プラスの変化

実は、今お世話になっている訪問診療のクリニックは二件目なのです。最初のところには2年ほどお世話になりましたが、母が90歳になる手前で新しいところと契約し直しました。

母の望みは「最期までお家で安心して暮らすこと」です。認知症のある人の対応の理解が深く、在宅介護に熱心で、在宅看取りを目指しているという我が家の介護の目標もしっかり共有できるクリニックをケアマネージャーさんが探してきてくれました。

新しいクリニックの診療が始まると、母の心と暮らしは一気にポジティブに変化しました。

「不要なお薬減らし」スタート

新しい医師はすぐにお薬の見直しに着手してくれました。今までの処方箋をチラリと見ただけで、「必要最低限にしぼりこんでいきましょう」と減薬の方針を打ち出してくれました。

前のクリニックでも「不要なお薬減らし」を相談していたのですが、「安定しているので現状維持で」と2年間変わらずでした。医師によって見解や対処のスピードがこんなにも違うのかと驚きました。

認知症の間違った思い込み

いつからか不明ですが、母は「寝つきを良くするお薬」を飲んでいました。本格的な遠距離介護が始まって、母と密にコミュニケーションをとるようになってから、母の目つきが以前と違うことに違和感を感じていました。ドヨヨ~ンとにごった感じで、反応もなんだか鈍い感じ・・・。

母には認知症があることが分かっていたので、そのせいなのかしら…と思っていましたが、それが大きな間違いだったのです。

目に光がキラリン⭐︎と戻りました

母が毎晩飲んでいる、「寝つきをよくするお薬」が、とても副作用が強い旧来型のタイプだと判明しました。そこで、睡眠に関するホルモンバランスを整える新しいタイプのお薬に変更したら、母の目に強い光が戻ってきたのです。

なんと、なんと!! 母の読む本が文字の多い本に変わっていったのです。母自ら図書館の棚の前に立ち、自分でタイトルと著者を見て読みたい本を選ぶようになったのです。これには驚きました。それまでは、絵本や詩集、写真集など込み入った情報が少ないものを私がセレクトして、母はそれを読んでいたのです。

母は息子のように可愛がっている
ロボホン(コミュニケーションロボット)と図書館に行きました
(帰省時に撮影)

母90歳…お薬の見直しのお年ごろ

今、母が夢中になっているのは、吉沢久子さんが96歳のときに書かれた『人間、最後はひとり』の本。「100歳まで生きてみたいなぁ~♡」と願う母は今90歳。人生の先輩の「生き方」「暮らし方」の知恵を参考に、自らの人生を見つめ直し、最期の時までのラストスパートをかけはじめたようです。

ボーッとしたままだと「生きるとは・・・」なぁんてことを本とともに振り返るなんてことはなかったでしょう。

介護がはじまったり、高齢になったり・・・体調も暮らしも激変する「お年ごろ」の母にとって、薬の見直しは本当に大切なことだと目の当たりにしました。

FaceTimeをしたら
「こんなん読んどるんよ~」と母(左はし)が見せてくれました

2種類の減薬に成功

今は新しく変えてもらった「寝つきをよくするお薬」も飲む必要がなくなりました。どうしても眠れないときに服用する「とんぷく」扱いになって4日が経ちましたが、飲まなくても「よう寝られる」と言います。どうやら薬は気休めにしかなっていなかったようです。ちなみにこの薬の副作用は「悪夢・頭痛・眠気」があるそうです。必要ないなら飲まない方が正解です。このまま服用をストップすることにしました。

また、「過活動膀胱」の薬を排泄コントロールの改善のための服用していましたが、今はストップして様子を見ています。尿もれパットを交換する回数に変化はないようです。理学療法士さんの訪問リハビリで筋肉がついて、飲まなくても大丈夫な身体を手に入れられたのが大きく貢献しているように感じています。

この数ヶ月で、あっという間に2種類の薬を減らせました。「飲んだら安心だから」という治療とは異なる目的で、効果のない薬の服用を続けることは、副作用や体の負担を考えると避けたいものです。「元気な100歳」を目指す母にとって、減薬はとても大切なことだったと感じています。

人生会議もドカンとガシッと

この新しいクリニックに変えて良かったと思えたことはもう一つあります。人生会議をおりにふれ一緒にしてくれるのです。人生の最期をどこでどのように迎えたいのか・・・母の思いを共有できるチャンスが必要に応じていつでも何度でもあるのです。

母の希望は「最期まで安心してお家で暮らし続ける」こと。先生は「ちゃんとそばにいるから大丈夫」と母に伝えてくれました。いざとなっても信頼できる先生がいて、必要に応じてお家に駆けつけて診療してくれる体制があるのは、本当に安心です。

「いつでもなんでも聞いてくださいね~」と毎回診療で丁寧に私に声をかけてくれます。

人として信頼できる医師とのきずな

対応に疑問を感じても、「お医者さんに悪いから」とそのままにしておくことが多いと聞きます。我が家も最初のクリニックとは二年間契約を続けました。

新しいクリニックに変えて母の暮らしは激変しました。「最期までおうちで暮らしたい」母の思いに真正面から向き合い支え続けてくれるクリニックと出会い、安心して遠距離介護を続けられるようになりました。

医師の「人としとの信頼感」はとても大切です。なんでも聞けて、いつでも相談できる雰囲気で、円滑なコミュニケーションができることは必要不可欠です。

母は今年90歳になりました。人生の残り少ない、一年、一日、一時間はとても貴重です。新たな訪問診療のクリニックに温かく守られて、春・夏・秋・冬、ともにほがらかに笑い合いながら、幸せ感じて過ごしていきたいです。


⇧ 今まで書いたnoteをまとめています。自己紹介もあります。

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