丹野智文さん(若年性認知症)のお話をヒントに"いい塩梅にいい加減"な介護を考えてみた
母に認知症の診断がおりた時、目の前が真っ暗になったのを今でもはっきり思い出します。介護の知識ゼロ、認知症のこともテレビドラマからの情報ぐらいしかなくて「怖い、大変、お母さんじゃあなくなる、これからは私が全部支えなきゃ」… そんなイメージからパニックになっていました。
そんなパツパツな関係から一転、今では母から「頑張り過ぎたらだめよ、疲れた時にはパンツのゴムみたいにユルユルに伸びなさいよ」とアドバイスをしてもらって程々の力で介護を続けられるようになりました。
のびのびした親子関係を維持しながら介護を続けられるようになれたきっかけは若年性認知症当事者の丹野智文さんのおかげなのでした。
丹野智文(たんの ともふみ)さん
1974年、宮城県生まれ。 ネッツトヨタ仙台に勤務。2013年、認知症と診断される営業職から事務職に異動し現在も仕事を続ける。 不安を持っているご本人のためのもの忘れ総合相談窓口「おれんじドア」実行委員会代表、自らの経験を語る活動に力を入れている。 著書に「丹野智文 笑顔で生きる―認知症とともに―」(文芸春秋)がある。
インタビューはこんな方におすすめのお話です
✔️認知症の診断が家族に降りて途方にくれている
✔️この先介護で支えていく自信がない
✔️ストレスからか最近笑えなくなってきた
インタビューの後にこんな変化がありました
💮気を張っていた心がシュルルンとゆるみました
💮遠距離介護している母と楽しむ時間をもちたいと、数分の電話の会話の中にも笑えるエッセンスを意識的に取り入れて、一緒に笑う工夫をはじめました。
💮丹野さんの話から、介護がはじまっても親子関係はそのままでいいと納得、時には義父の介護のことを母に相談することもしはじめました
🎙インタビュー 丹野智文さん
介護が始まっても親子関係はそのままでいい
これはインタビューでの丹野智文さんの言葉です。「今度は私が母を支えなきゃ!」とパンパンになっていた心をゆるめることができました。
zoomでつながってインタビューさせていただいた丹野さんは、画面が眩しく感じられるほどの笑顔、太陽のように明るいのです。声からも丹野さんのパワーをいただけますよ。元気チャージしてくださいね。
ロングインタビュー
30分ぐらいもあるのでゆったりしたひとときにどうぞ
■パート1
認知症と診断されたとき~周囲にうちあけて仲間が増えるまで
職場に復帰するために認知症であることをやむおえずオープンにしたそうですが、ドキドキしていたのはご本人で、周囲は意外にも「理解したい」「困った時はおたがいさま」という反応が多かったんだそうです。
■パート2
介護する側される側のお互いが心地よい関係とは
介護する側、される側に立場を分けて考えるとお互いが息苦しくなってしまうことはありませんか? 介護がはじまってからの周囲との関係性についてお話ししてくださいました。
■パート3
介護がはじまってからのまわりとの関係
「介護がはじまっても親と子であることは変わらなくていい」と丹野さんはおっしゃいます。サポートしてくれる方とは「一緒に楽しもうよ、これからもよろしくね」と声をかけあうそうです。
丹野さんの若年性認知症当事者の思いを伝える活動「おれんじドア」
自由で温かい空気を感じられる活動の様子がうかがえました。支えて支えられての関係は固定ではなく流動的、朗らか前向きポジティブな交流がなされています。
パツパツからユルユルに
実母の介護がはじまったばかりの頃
心がパッツンパッツンでした。肩ひじはって到底一人で背負い込めないほどの重荷でペシャンコになっていたあの頃、髪はボサボサ、メイクも一月以上はほとんどしていませんでした。あまり思い出したくない時代でもあります。支えなきゃ、と躍起になっていたんです。
今はパンツのゴムよりユルユルに
丹野さんの話を聞いて完璧なサポートができなくてもいいと思えるようになりました。母にも今は娘として今ではいろんなことに相談に乗ってもらっています。
「大丈夫? 頑張っちゃダメよ、疲れたらパンツのゴムみたいに伸びなさいよ」
近頃はじまった義父の介護のことを相談したらこんな言葉を母からかけてもらえました。昔から例えが独特な母ですが今回は特にエッジが効いていて思わずプププと笑ってしまいました。
義父の介護スタートで"いい嫁"やめました
「〜すべき」の枠を外したら心がグンと楽になれました「いい嫁はこんなことぐらいするもんだろう」とか勝手に想像してできもしないことをしようとしていた自分にも最近サヨナラしました。
義父には無理なことは無理だと伝えて介護保険サービスの利用を相談しました。勇気を出して素直な気持ちを伝えたら、ちゃんと理解をしてくれて早期に導入をスタートすることができました。
いい嫁やめて、いい塩梅な関係を義父と始めた今日この頃です。
いい塩梅の介護はいい加減
母はとも義父ともユルリとした関係を築けたおかげで自分にも家族にも
ぐんと優しい気持ちをもてるようになれました。
丹野さん流「楽しみながらゆるゆるの関係」は介護で息苦しさを感じたときの前向きサプリでした。
あなたの介護が"いい塩梅"にハッピーになれますように… 。疲れたな… そんなあなたに「パンツのゴムよりゆるゆるで~」の言葉を贈ります。
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