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#ねこ様の病気がわかるシリーズ ①猫の肝リピドーシスについてわかりやすく解説

最終更新日:2023年4月8日

この記事では、ねこ様の肝リピドーシスという病気について、以下のことがわかります。

◎ 肝リピドーシスの機序

・詳細については明らかになっていない点が多いです。
・ねこ様は、食事摂取量が低下してエネルギーが足りない状態になると、体中の脂肪を肝臓にあつめ、脂肪からエネルギーを作りだそうとします。しかし、脂肪が大量に流入すると、肝臓での代謝が追い付かなくなり、脂肪が肝臓に過剰に蓄積してしまいます(脂肪肝)。大量に蓄積した脂肪が、肝臓の正常な組織を圧迫して、肝機能を障害するようになり、体内に非代謝物が蓄積すると症状を出すと考えられています。
・食欲不振を招く基礎疾患があり、それが原因で生じている場合は「二次性肝リピドーシス」、基礎疾患が見つからなかった場合は「特発性肝リピドーシス」に分類されます。
・発生は肥満のねこ様に多いですが、二次性肝リピドーシスは痩せたねこ様でも起こります

◎ 原因

食欲不振を引き起こすあらゆる病気が原因になりえます。環境の変化など、ストレスが関わっているという見解もあります。

◎ 症状

食欲不振体重減少 がみられるほか、
・嘔吐、元気消失、黄疸
・興奮、鳴く、瞳孔が開き気味になっている、発作などの神経症状(肝性脳症といいます)
を引き起こすことがあります。

◎ 診断

一般的には、皮膚を貫通して肝臓に細い針を刺し、採取した細胞を顕微鏡で観察して暫定診断とします。肝リピドーシスでは、肝細胞に重度の脂肪が含まれる像が認められます。あわせて、肝リピドーシスの基礎疾患をくまなく探すことが重要です。確定診断は、開腹手術をして肝臓をくりぬいて検査に出すことですが、体調の悪いねこ様が多いため、実際にそこまで行うことができる状況は少ないでしょう。

◎ 治療の概要

対症療法食事管理です。基礎疾患が見つかれば併せてその基礎疾患の治療も行います。非常に慎重な管理が必要なため、最初は入院治療が必要です。入院期間は、数日~数週間とさまざまですが、重症なほど長引くことが予想されます。退院できたら、その後はご自宅で食事管理を継続していきます。

◎ 治療の詳細

✔ 静脈点滴
✔ ビタミン剤、ミネラルの調節、吐き気止め、胃薬
✔ 血液中のアンモニアを減らすための内服薬、浣腸(*)
✔ 食事の再開

*アンモニアは腸から血液中に吸収され、肝臓に運ばれて無害な物質に変換されます。肝リピドーシスでは、肝臓がアンモニアをうまく処理できない状態になっています。血液中のアンモニアが増加すると、吐き気や神経症状などを引き起こしてしまいます。血液検査でアンモニアの数値が高ければ、減らしてあげる処置が必要です。

食事の方法について細かく

食事の種類
病気の回復期用のものか、腎臓病用の療法食を与えます。炭水化物が多いものは避けます。タンパク質が十分に含まれているものが好ましいです。しかし、過剰摂取は良くないため、タンパク質が必要最低限の食事(腎臓用療法食)がいいかもしれません。
食事の量
少量を何度も与えることから始めて、徐々に量を増やしていきます。ねこ様の意思にかかわらず強制的に給餌します。けれども、必要以上にあたえるのはよくありません。
食事のあげ方
基本的にどの猫様もカテーテルによる給餌が必要です。病気を治すには、厳密な食事管理が必要なです。カテーテルにはいくつか設置方法がありますが、最初は鼻に設置するカテーテルが選ばれることが多いでしょう。後に、食道や胃に設置するカテーテルへ移行していくことも検討したりします。病院によっては、経鼻カテーテルしか設置できないところもあります。

◎ 予後

早期に適切な治療介入を行えば、治ることが多いです。
・しかし、病気が進行するほど、死亡率が高くなります。
・また、治療しなかった場合の死亡率は非常に高いといわれています。
・治るまでの期間は、病気の重症度にもよりますが、完全に元の元気食欲に戻るには数カ月を要することが多いのではないかと思います。

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以上、「猫の肝リピドーシス」をテーマに、機序、原因、診断、治療、予後について解説いたしました。参考になればうれしいです。みなさまのねこ様が、元気に長生きしてくれますように。

ではまた!



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