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ねこ様の「唾液瘤」
ねこ様の口唇に嚢胞ができました。
我が家では歯磨きを毎日行っているのですが、その時に右側の下唇にプクーっと硬い嚢胞もしくは水疱のようなものが認められました。反対側にはないので、できものができたと思いました。
ねこ様のお口にできるものといえば、扁平上皮癌や線維肉腫の割合が高く、発生場所にもよりますが、総じて予後不良な疾患です。
我が家の場合はどうなのか?見た目には、炎症所見もないし痛がりもしないし、潰瘍もできていないしということで、悪性度の高い腫瘍を積極的に疑う状況では無いかと思いました。しかし、腫瘍の診断は見た目ではできないので、ドキドキしながら経過観察をしました。
*一般的に、かさぶた、潰瘍、炎症、痛み、本人が気にしているなどの様子がみられた場合には、経過をみずになるべく早く動物病院を受診してください。これらは腫瘍の疑いが高まる所見です。
動物病院受診の経緯
1週間ほど観察しましたが、消失しないため(むしろ若干拡大)、どうぶつ病院を受診。抗生剤と抗炎症薬を1週間分処方されました。
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投薬後の経過
残念ながら、お薬を飲んでいるあいだも、腫瘤は大きくなっていきました。
最初に見つけたときに比べると、2週間で1.5倍くらいになっていました。
腫瘍の可能性も否定はできないため、積極的な検査を希望しました。
手術で組織生検→確定診断をしていく方針となりました。
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手術
手術は鎮静下で気管挿管せずに行われました。
歯石が多少ついていたため、お願いしたらついでにハンドスケーラーでの軽めのスケーリングもやってくれました。
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病理検査結果は「唾液瘤」
1週間後に結果が出て、それは、恐れていた腫瘍ではなく、唾液瘤という良性の病変でした。口の中の小さな唾液腺が何らかの原因で閉塞し、鬱滞した唾液が嚢胞状に貯留したものでした。
閉塞する原因は、外傷等が考えられるそうです。我が家の猫は、外傷歴はないので不明です。もしかしたら、ちょうど歯が当たりやすい部位だったのかも?
病理組織検査のコメント欄にも、炎症細胞や腫瘍細胞が認められたという記述はなかったため、「唾液瘤」という診断名と併せて考えても、予後は良好でしょう。
今回は悪いものではなくてよかったです。
ねこ様のお口には、悪いものができることもあるため、普段から歯磨きやご飯の食べ方の観察などのときに、異変がないかみてあげてくださいね。
ではまた。