29→30
東京にいる。
東京で働いてる。
初めて石川県を離れて1週間。
今までの私に足りなかったものを得たくて
世の中が変わればいいなという想いを
綺麗事で終わらせないだけの力が欲しくて
ちゃんと覚悟はしていたつもりだったけど、
綺麗事じゃない数字の世界に
早速私の心は悲鳴をあげて、
帰り道、ひとり泣きながら歩いた。
こんなにするする嘘をつけるんだ。
その場しのぎで言葉を紡ぐんだ。
悪い人たちじゃないのはわかってる。
仕事だからそういうことが、できるんだよねというのもわかってる。
でもその仕事と本音の境目が私には見えてこない。
仕事とはいえ、それができる人ということを、どうしても否定的に見てしまう。
心を開きたいけど開けない。
誰にも譲りたくないと思えるほど、大好きな仕事も大好きな人たちも置いてここに来た。
でもそんなにまでして、私はここに何をしに来たんだろう。
今までの経験を活かして、何かできることがあると思っていたけど、
そんな期待はこの数日でどこかへ行ってしまった。
30歳まであと2週間。
ここにきて今更また不得意な分野に飛び込むなんて、やはり馬鹿のすることだったかとも思う。
でも、無理だったら帰っておいでと送り出してくれた人たちのことを思い出して、もう少し頑張ってみる。
私にできること、私がここにいる理由。
そういうものは、そのうち勝手に見つかるものだろう。
今までだって、そうしてきた。
この先どうなろうとも、この選択に絶対後悔だけはしないから。
大丈夫。