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『世のため』『人のため』『自分のため』 みんなの『第三の居場所を作る』千野亜真汰さんが、ガーデンを通じてコミュニティーを再生させる理由

生き方・暮らしの変人特集記念すべき第一弾は、私が大学休学中にであった千野亜真汰さん(あまちゃん)です!!


パーマカルチャーを学ぶあまちゃん


Z世代でコミュニティーというと、『オンラインコミュニティ』が主流になりつつある現代。
他にも、新型コロナウイルスの影響でしょうか。学校では、オンライン授業が、会社ではリモートワークが推奨され、外出は極力控えるようになっていたここ数年。

すべてはスマホ、パソコン一台で何でも解決する便利な世の中になっていきました。一方で、地域の人との繋がりは減り、顔の見える形での仕事・買い物も減り、孤独感は増えていく。
このような人との直接的な繋がりが希薄になっている中、コミュニティーガーデンを通じて都内で様々な世代のリアルなコミュニティーを再生していく活動を行う武蔵野大学3年生の千野亜真汰くん(あまちゃん)。

『なぜ今、リアルなコミュニティーが必要になるのか』その秘訣をあまちゃんにインタビューしてきました!!

杉—あまちゃんの軽く自己紹介をお願いします。

あまちゃんです。パーマカルチャーを都会で普及させる活動、そして機能させていくような活動を行っています。

その中でも都会でコミュニティーガーデンを運営し、その研究も行っています。


杉—先ほど出たワードの『パーマカルチャー』とは何でしょうか??

一言で表すと農的な永久のデザインのことです。permacultureとは、permanent(永続的な)、agriculture(農業)、culture(文化)からとっています。それは農業の循環的な仕組みをもとに暮らしや文化をデザインしていくことでもあります。ほんとはもっと深いんですけどね(笑)、1時間あっても話たりないです(笑)

あまちゃんがパーマカルチャーを学ぶフォレストガーデン冨塚

杉—あまちゃんは学生とお聞きしましたが、先ほど話していただいた都会でのコミュニティーガーデンの運営、研究について詳しくお話していただいてもよろしいでしょうか?

都会でコミュニティーガーデンを一から作ろうということで『コミュニティーがないところで、どのようにしたらコミュニティーが生まれるのか』ということを研究しています。その手段としてガーデンを活用してコミュニティーを作っていこうと考えています。ガーデンを作るだけでなく、運営の仕方、人の繋がり方、どのようにしたらその場に人が集まるのか、どのようにしたら集まった人の中で対話が生まれていくのか、現在模索中です。


杉—たしかに、都会になるとコミュニティーやコミュニケーションを取る場がすごく少ないと同時に、そういった場を作ろうとしている人も少ないと思います。では、なぜそのような活動をしたいと思ったのですか?きっかけはあったのですか?

きっかけは自分がずっと都会で育ってきた中、私の父親が静岡県出身で、母親がタイ出身で、長期休みに昔はよく帰ることがあったのですよ。昔は田舎の暮らしが生きにくいなーと思っていましたが、今大学生になって再び帰省してみるとその暮らしに魅力を感じ、その生活を取り戻したいと思いました。そして都会の暮らしよりも、地方での暮らしのほうが豊かさを感じられるようになりました。特に豊かだなぁと感じるのは、人ですね。都市って多くの人がいるけれども、そこに繋がりってないんですよね。それに対して不安を感じるというか。昔から対人恐怖を感じることがあって、単に人が怖いと思っていたのですけど、この恐怖感ってその人を良く知らないってとこからきるんだぁと。地方だと隣人、地域の人、みんな友達って感じじゃないですか(笑)。要は人の繋がりが地方にあって、ある意味それが豊かさなんだなぁって思うってことです。

それで、都市に目を向けたときに、なんかコミュニティーはあるけどとても閉鎖的だなぁって。自分が高校生のときは、高校以外のコミュニティーってなかったし、部活が忙しかったということもありますが、外部の人と関わることってそうなかったんじゃないかなと思います。地域に目を向けてみても、同じ地域に住んでいるのに何にも知らないなぁと帰り道によく感じていました。でも、コミュニティーガーデンって今はいろいろなところにありますよね。でもそれもまだ見えてないというか。それが、今コミュニティーガーデンを行っている方々は私のお父さん世代の方が多く、どこのガーデンでも若い人の参入がないと聞きました。お母さんを呼んできて、小学生くらいの子供が来ることはあるのですが、私たちと同じ年齢のいわゆるZ世代の参加人数がとても少ないようです。それはそうだなと。私は私で、同じ世代の人たちとの交流にいそしんでいれば、他の世代の情報は入ってこないでしょって。わからない、もしかしたら心のどこかで、そんなつながりはいらないと思っているのかもしれませんが。それでも私には、コミュニガーデンに参加する機会ができて、いざ参加してみると、大人の考え方とか、価値観、主婦の目線や自分の知らない世界がそこには広がっていて、成人になったけどまだ子供なんだなぁと思わされます。でもそういう場所があってよかったなと思います。私自身、上の世代の人たちと話すのが楽しいと思っているので。そこで、どの世代の人たちも気軽に参加できるようなことを行っていきたい思いがありこの活動を始めました。

あまちゃんが行う屋上菜園プロジェクト



杉—お話を聞いていて、コミュニティーガーデンを運営している世代とZ世代の関りが薄いことでその世代の参入がするためには少しハードルが高いですよね。実際、近い世代の方が運営していたらそこへの参入のハードルは下がるように感じます。

他にも、現在ITなどテクノロジーが発展している中、それによるコミュニティーの分断、その必要意識も低くなっていると思います。そこで実際に活動を行っていく中で、自分のやりたいことと社会のギャップはありますか?

今お話しにもでたテクノロジーの発展がすごく大きいです。今、コミュニティーと聞くと『オンラインのコミュニティー』、『インターネット内のコミュニティー』という認識のほうが強いですね。私が、大学に進学した時には、新型コロナウイルスの影響で対面の出会いがとても少なくなり、今でも大学内で仲が良い友達はSNSで出会った人たちです。今、つながり型の認識が変わってきていると思うんです。インターネットですべて完結してしまう文化。
私にとってはそれがもったいないと思いますが、人によってはそれがよくてその方向にいく人もいるので何ともいえないということはありますよね(笑)インターネットを活用する良さもたくさんありますが、もし電気が使えなくなってしまったら困りますよね。もし、自然災害があったとき、避難所の行ったとき対面の繋がりがないと非常に苦しい思いをすると思います。インターネットのみのコミュニティーでは物理的に距離が離れていたり、そこにしか友達がいなかったりするとどうなっちゃいますかね。それはインターネット内だけではなく、地域でも同じです。隣の人と関係を持っているだけでも何かあったときに助け合えるので。

杉—では、実際にあまちゃんが生活している中でコミュニティーの重要性に気が付かされたことはありますか?

自分は実家暮らしですが、親が家を空けることが多いです。扁桃腺が腫れて動くことが難しいときに、ネットの友達だと遠くて呼ぶことができなくて。せめて、隣の家の人に『助けてください』と言えたらいいですよね。たまたまその時はオンラインの友達がきてくれたのですが、もしその友達がきてくれていなかったらどうなっていたのでしょうか(笑)でも、もし隣の家の人と日ごろからコミュニケーションをとっていたら生命の危機をあまり感じないですんだのになーとも思いました(笑)近くに頼れる人がいる。それが、重要で私の場合、危機に陥ってコミュニティーの重要性に気が付かされました。もしもっと重症な病気や症状が発生して助けが呼べない状況だった場合、近所にコミュニティーがあると、『最近あまちゃんを見なくて心配だから少し声かけてみようか』など、すごく助かると思いました。
今、ニュースでもおじいさんおばあさんが何か月後かに、遺体で発見されましたという報道をよく聞きますよね。田舎に行くと、お節介なおばあちゃんがよくいると思うんですけど、そういう人が苦手な人もいると思いますが、いいこともあって、そういった関係性が助け合いに繋がると思うんです。お節介かもしれませんが、そのような繋がりも受け入れていくことも大切ですよね(笑)

杉—では、そのコミュニティーを形成しようと活動されている中、コミュニティー作りの何かターニングポイントのようなものはありますか??

そうですね。パーマカルチャーやコミュニティーが大切であるということを話す機会はあるのですが、いうだけだと伝わりきらないです。今回のコミュニティーガーデンでは、パーマカルチャーの倫理を伝え、詳しい話はあえてしません。とりあえず実践します。自然を観察してみたり、触れてみたり、モノをきったり、してみてそこでその実践とパーマカルチャーの繋がりについて話すようにしています。実際に私がパーマカルチャーを学んできた中で、実践から理解する、ということが一番パーマカルチャーを学んでいることを実感できると気づきました。コミュニティーも同じで、実践を通じてコミュニティーを実感するというか。コミュニティーはいいですよーっていうだけではなく、それを体験してもらう。そして実感してもらう。というのがコミュニティーの良さを伝えるのにいいのではないじゃないかなって。そうそう、ターニングポイントですね。やっぱり参加してみるってところなんじゃないかなー。

杉—今コミュニティーガーデンを作っているとお話を聞きましたがその活動頻度はどのくらいでしょうか。

今は週1回ですね。別のキャンパスであまり時間もとれないこともありまして…
でも、嬉しいことがあって。先週結構参加するメンバーに名前を呼んでもらうことがありました。別のキャンパスで、学んでいることも違う、全然知らない先生のゼミ活動の時間に行っている、ということもあり、不安はたくさんありました。その中で、名前を憶えてたくさん呼んでもらえると認められた感があって、そこから別のコミュニティーが生まれた感じがありました。

DIYを教えるあまちゃん

杉—今、ゼロからコミュニティーガーデンを作っていっていると思うのですが、問題点、困難なことはありますか?

コミュニティーを作っていく中、今初めてばかりなのでパーマカルチャーの本質的な倫理を深く理解することは難しいと感じています。私はパーマカルチャーを学び始めて今年で3年目になりますが、ようやく学びと実践が重なってきたところなので(笑)よく、『なぜ植物を育てるのですか』と聞かれます。『育てると母性があふれるんですー!』、『可愛くてー!』と話しても最初はびっくりされます。その価値観を押し付けるのも違いますが、その価値観も共有しながら、その意見も別の価値観があるという視点をもっとコミュニティー内で理解できたらまた一歩進むのかなーと思います。

杉—たしかに、環境系の学部にいる学生とまた違う学部の学生とだと興味のある世界は違うところはありますよね(笑)

先ほど、名前を覚えてもらってうれしいというお話が出ましたが、活動をしている中でのやりがいは何でしょうか??

自分が認められた瞬間がうれしいです。向こうのキャンパスに行ったときに、周りからはパーマカルチャーに関して『理解している人』という扱いになります。活動をしている中、『助けてください』と言われたとくに、『なんですかー、助けますよー(笑)』という感覚は楽しさとやりがいに繋がります。もともと困っている人を助けたいという気持ちが大きくて、周りの人が悩んでいたら一緒になって考えたいタイプなので。名前を呼んでもらうことも、必要として呼んでもらっているので、それに対して答えられている優越感(笑)??、人のためにここにいると思えることがやりがいでした。

あまちゃんが作ったハーブの飾り

杉―自分の存在意義のニーズ、やりがいのニーズというのはとても重要なキーワードになると思います。今、何のために仕事をしているのか、誰のために仕事をしているのか、顔の見えない形でお金さえ払えば何でも解決してしまうことが多いですね。コミュニティーを作っていくと顔の見える形で何か活動ができる。あまちゃんはパーマカルチャーという強い専門分野が、他の人はまた違う分野で輝けて、このように一人一人が存在意義、生きがいのニーズはコミュニティーがあると満たしていけるのではないかと感じました。


顔が見えない形で活動をするという話がでましたが、今の社会ではお金のために何か活動をするということが多いのでは??お金の存在が大きくなりすぎて、大切な繋がりの本質を見失ってしまっています。会社も本当は社会をよくしていくために作られたもの。しかし、利益を追求しすぎると社会がよくなるためではなく、会社がよくなるためになっているのではないでしょうか。

杉―たしかに何をするにしても本質を見失わないことが大切だと私も思います。では、あまちゃんが活動を行う中で最も大切にしている根っこの部分は何でしょうか。

パーマカルチャーの倫理と似ているのですが、『世のため』、『人のため』、『自分のため』ということを大切にしています。『世のため』は、社会と地球。社会のためでもあり、地球のためでもある。『人のため』は、自分と関わってくれる人のため、『自分のため』は、自分を大切にすること。自分のことを大切にできないと、人のことも大切にできないと思っています。人のために頑張らなければ社会のためにもならないし、地球のことも考えられないのかなということもあり、『世のため』、『人のため』、『自分のため』を大切にしています。

みんなで作ったプランターに初めて作物を植える

杉―それでは、あまちゃんが目指すコミュニティーガーデンのビジョンはどのようなものでしょうか。

第三の居場所を作るということですかね。第一の居場所は家、第二の居場所は学校や会社、第三の居場所を考えたときにあまりないように感じます。私が大学1年生の時はその居場所がなくて。家と大学の往復だけでした。もし大人になったら、大学が会社に代わり、家と会社の往復だけになってしまうことは面白くないと感じています。それは私自身、色々なコミュニティーガーデンに行ったときに、『ずっとここにいたいな』と思うようなガーデンに出会いました。そのガーデンは自分が『素』になれる場所でした。自分がDo(何かする)のではなくBe(ありのままでいる)であれる場所がほしいと強く感じて、このような場所がもっとほしい。では、『そういう場所を作っちゃおう!!』と決めました(笑)

私が通う武蔵野大学有明キャンパスにはコミュニティーガーデンがあり、もう一方の武蔵野キャンパスにはありません。武蔵野キャンパスの人に『普段授業外どこにいるの』と聞くと、『学生ホールにいる。』という建物の中にしか居場所がないといっていました。緑に触れられる落ち着いた場所や緑だけではなく心の許せるコミュニティーのメンバーがいる。そんな場所がほしいとお話にもあったし、私もみんながありのままでいられる場所があったらいいなと思います。

あまちゃんのパーマカルチャー仲間たち

杉―そのように考えていたのですねー!!こちら、最後の質問になるのですが、この記事は今の大学2.3年生に向けて発信するのですが、今のその世代に向けて何か伝えたいことはありますか??

もっと広く社会を見よう!ということですかね。社会が今どのような状態で、どんな状況で、どんな危機にさらされているのか、ということを一緒に考えていきましょう。私たちはよく地球に生きている人間だと考えがちですが、『人間自然、地球に生かされている』ものであると私は思います。例えば太陽との関係。太陽のエネルギーを受けて食べ物ができること。私たちは地球の様々な恩恵を受けて生きています。そこに多くの人が気付き、環境破壊をやめようと思っていただけたら嬉しいです。

杉―社会を知るというところで、自分の好きなことも大切ですが相手や地球に配慮した活動が若い世代に広がっていくことで、その世代が大きくなっていくにつれて時代も少しずつ変わっていくのではないかと思いました。

それが文化ですよね。サステナビリティは単なる循環ではないと思います。横のサステナビリティはすぐに達成できるはずですが、次の世代、年十年先も続いていくことがサステナビリティだと思うので長期的に物事を考えなければ良い世の中にならないのではないかと。人との関係性、自分自身もサステナビリティになっていくことがそこに繋がっていくと思います。

杉―深いですねー。素敵なお話をありがとうございました。

こちら記事に書かせていただきます!!


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