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語り得ぬものとは

『翻訳できない世界のことば』を読む。
世界中の言語の中から、他の言語では一言で翻訳できないそんな言葉を集めた本だ。

この本を読んでいると、言葉が持つ不確実さを強く感じる。言葉は万能じゃない。僕たちの細かな感情の機微を100パーセント表せる言葉というのは存在しないのかもしれない。だから、僕たちは言葉で失敗し、言葉に踊らされるんだろう。どの言語にも語り得ぬことがあるのだなあとしみじみと思う。

学生の頃から外国語を学ぶことの意義というものを疑うひねくれ者だった。だって使わねえじゃんか。日本語が有れば十分だろ。そういうスタンスで言語と向き合っていたこと。今だともったいなかったなあと感じている。

言語を学ぶって、その言語を話せるようになるとか、外国の人と仲良くなれるとかそういう実用性にこだわらなくて良いんじゃないかな。実生活で使えるか否かを考えると、僕みたいなひねくれ者はどうせ使わないやんと感じてしまう。後ろ向きなスタンスは学びにおいて障害となる。

本書を読むと、「え?そんな場面を言葉にしてるの?」なんて思うことがたくさんある。そういう立ち止まりや興味を持てると、頭の中で場面が想像され、世界が広がっていく。
言語を知るということは実用性じゃない。語り得ぬものを知って、世界を広げていくこと。
僕はそっちに重きを置きたいなあなんて思う。

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