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ィャな流行に乗った
月に一度のサーモン丼
定期的にサーモン丼を無性に食べたくなる。そんな時は、すぐ近くのジュリアさん営む魚屋で買う。イタリアで生食用の魚を提供する場合、冷凍処理をしなければならない。彼女は隔週で、サーモンかマグロを扱っている。「今日はあるョ!」とメッセージが来た。
イタリアで人気の寿司のネタは、マグロより鯛よりサーモン。ノルウェーからやってくる、脂の乗った身は、日本で食べるより美味しいと思うのは私だけだろうか。
それを、ご飯に海苔とサーモンとわさび醤油をのせてがっつく快楽は、日本人にしか分からない喜びだろうか。もう気絶しちゃいそう。
徐々に迫る闇
その夜、胃の様子がおかしくなった。
夕飯は、レストランのまかないで、中国人料理人が作る家庭料理を食べる。この日は、豚肉の煮込み料理。香辛料を使った甘辛い独特の味わいは、やみつきになる。白米が進むが野菜も欠かさず合わせて食べた。
しばらくして、脂身が胃の邪魔をしているような不快感がある。いつも食べているのものなに、消化していないのを感じる。太田胃酸的なものがなかったので、炭酸水を飲んだが軽くならない。だが、その夜はそのまま寝た。
ステップアップ
翌朝、夫と供に早い朝食。ヨーグルトに牛乳とクッキーでいつものように甘いものばかり。
すると、急に腹痛がやってきた。昨日の豚肉が胃の調子を狂わせたのか…トイレへ駆け込む。
すぐに過ぎ去ったので、陽気に家事をした。正午には仕事に行くため、釜玉そうめんをささっと食べて職場へ出かけた。
野菜を摂っていなかったことが気になったので、レストランで人気のサラダを食べた。玉ねぎやマスタードのドレッシングが絶品で多くの人が注文する。今日も美味しいな。
するとまたやってきた。
今度は胃痛だ。
ピーク到来
中国人の同僚Yちゃんは、弱っていく私に、「なぜ胃の調子が良くないのに、サラダなんて食べたの!」と忠告してくる。「もう寒いんだから、ダメょ」と。彼女は姉的存在だ。
徐々に、頭もクラクラしてくる。トイレにも行きたいが、職場では行きたくないと我慢。
だが、ジェラートの注文が入り、冷たいものに触れたくないので、近くにいた料理人に頼んだ。
すると、オーナーから「帰りなさい」と一言。
帰宅して、全てが落ち着いた。
食べる怖さ
この時点で、「あのサーモンか豚肉だ」と思っている。でも、今までこんな症状になったことはない。
お腹が空いてきたが、何を食べていいか分からない。夫は白米を食べろと言うが、ちょうど切らしていてない。ならばと、クラッカーを出してきてくれた。バリバリ食べながらシクシクする。
夜になり、また仕事場へ。
さっきのクラッカーがやはり、胃を刺激して私の身体を前屈みにさせる。よく10分も歩いて職場に来たとも思う。
空腹になると楽になるが、お腹が空いているのか、胃が張っているのか、だんだん腸からグーグー音が鳴っているのが聴こえる。また嫌な予感。
同僚Yちゃんは、黒糖生姜湯を作ってくれた。こんな一杯の優しさが染みる。確かに癒された。オーナーの奥さんはお湯に塩を入れて飲むと良いと言ったが、手の届く範囲に塩がなかったのでお湯だけ飲んでいた。
そんな時オーナーが、何か食べないといけないと「チャーハン」を作ってくれた。お腹は空いているので食べたが、案の定刺激してくる。
やはり食べたのがいけなかった。
痛くて仕方がない。もう顔はしかめっ面にならざるを得ない。同僚Yちゃんからは、「なんでチャーハン食べたの⁉︎ 」とまた忠告。「こんな時は、白米にお湯を入れたものの方が良い!」と(彼女はカカタコトなイタリア語しか喋れない)。なんと、中国でも、胃が弱っている時はお粥を食べるようだ。
再び、オーナーから「帰りなさい」の一言。今度は、夫に迎えに来てもらった。
私を家に帰らせると、夫は夜間の薬局へ行ってくれた。すると、そこにいた看護師さんに、
「あなたもですか!流行っているんです、このウイルス。」
こう言われたそうだ。今日一日で、何人も診たとのこと。胃腸にくるウイルスらしい。
調べてみると、潜伏期間が4〜5日のもので、数日は痛みが続くとか。
よくよく考えると、夫は先週、お腹が緩いと言っていた。野菜スープを二種類も食べたからかなと思っていたが、彼が先ずウイルスに感染していたようだ。それがジワリジワリと私の方へやってきた。
あの、ジュリアのサーモンでもなく、豚肉でもなかった。でも、胃が正常でない時に、牛乳は良くなかった時思う。あと、チャーハンじゃない方がいい。
あっちのウイルスは…
現在(2021/11/19付) イタリアの一日の新型コロナウイルスの感染者は、一万人にを超えだした。半年ぶりの高い数値は、上昇している途中だ。このままでは、来月のクリスマスシーズンには、昨年同様、行動規制がかけられるかもしれない。
既に、ワクチンを打っていない人に対して、クリスマス時期には移動できないように規制を発表すると報じていた。
私は、コロナのウイルスを持ち込まないように気を使っている。外出先でもマスクをするし、人混みは行かないし、手洗いはよくする。仕事でも、手袋をして食器を触らないよう努めている。
まさか、胃腸のウイルスの濃厚接触者になるとは。これがコロナだったらと考えると恐ろしい。また増えていく中で、夫婦間でも対策をもっと徹底しなければならない。
インフルエンザの時期でもある。ぜひご用心を。