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【イタリア】タダで診察。診断書で欠勤へ

普段、風邪を引いても半日ですぐ治るが、今回は日を跨いだ。

熱は37度。頭痛と関節痛とで痛みが取れない。うまく眠れないので、ベッドの上で右に左にと体を動かし、水を何杯も飲んで、ボーっとしてを繰り返している。
空腹になるり解熱剤が切れると、また頭痛がやってきて、夜中にでも食事して薬を飲むを繰り返している。
明け方に夫が「明日、まだ治ってなかったら、お医者さんに電話して診断書を書いてもらってね」と言って、そのままミラノへ出張に出かけた。

今朝、ちょっと良くなったかなと思ったが、頭はズキズキ脈がドキドキ息が荒い。働けなくもないが、まだ本調子じゃない。
しかし、勤めているレストランの平日は、私だけがウェイトレスとしてホールにいる。そんなこともあり、休みたくない。他のスタッフに迷惑をかけたくない。という気持ちになる。でも、身体は休みたがっている。葛藤しつつも、休むのが優先だろうと思い、ホームドクターに電話した。


ホームドクターと診断書


イタリアで生活するにあたり、必ずホームドクターを決めなければならない。このドクターは、風邪や怪我、病気などの診察が必要なときに一番に診てもらう人となる。そこからさらに、専門医に診てもらいたいのならば、紹介状書いてくれる。
よって、ホームドクターは、あらゆる病状や症状に詳しくないといけない。軽い状態なら、処方箋をもらい、薬局で薬を買うだけで済む。この時、先生にお金は一切払わない。イタリアの国民健康保険制度でまかなわれている。
これは、外国人にも同じように権利があり、いつでも診察してもらうことが可能。タダだから、ひっきりなしに患者が来る。冬場は特に、休憩がないほど。

コロナ以降、電話での診察も行なっている。今回は、先生に電話して、昨日から続く症状と、飲んでいる薬を確認してもらった。休む期間を告げると「今日だけ?」と少し驚かれた様子。


嘘の診断書

実はイタリアでは、「風邪をひいた」や「怪我した」とドクターに嘘の診断書を書いて、無断欠勤する人が横行している。何度となくニュースになるが、欠勤が何日間と記入する欄に、長めに書くことは珍しくない。ここにイタリア人の、ゆるくズルい印象が見える。

私はと言うと、やはり迷惑をかけたくないので、一日で大丈夫と伝えた。でも、昨日は祝日で働く予定にしていたが、風邪気味なので同僚が代わりに入ってくれたことを伝えて、二日間の病欠と診断書に書いてもらった。


ホームドクターが、診断書を書いてくれたら、引き換えに番号をもらう。この番号がINPSという社会保障機関に送られる。私もこの番号を、オーナーに渡す。そこで、私が何日休むか知らされ、INPSが私の給料をいくらか補填してくれる。オーナーはそれを受け取るという仕組み。これで、休んでも月々の給料は減ることがない。

ホームドクターに書いてもらったからといって、のびのび外出はできない。決まった時間に、調査員が家にいるか訪ねに来る。朝10時〜12、午後5時〜7時の間。ここで不在となると、保障の対象にならない。

夫がかつて勤めていた車の工場では、わざと嘘をついて休む人がいたとか。体の調子が悪いだの、腰が痛いだの、通院しているだの。普段はノコノコ街に繰り出し、時間になったら家に帰るという。そんなことがまかり通る世界。こんなんじゃ全員の労働意欲が下がるし、真面目に働いている方が馬鹿みたいに感じる。

だけど、我がレストランのように、働き過ぎはいかがなものか。当然の権利として休みを取らないと、ギスギスしてしまう。何が楽しくて毎日仕事をしているのか意義が分からなくなる。これはイタリア人夫の影響で考え方が緩くなったのだろうか。
まぁ、こんなこと考える暇があったら、自分の将来のために何ができるか考えるべきだろう。もっと、より良い自分のやりがいを見出さねば! 


追伸1、
夫から連絡あり、今日だけの休みにしたことを、「何でだー」って叫んでた。「しばらく身体を休ませるべきなんだょ!明日もう一度、先生に電話するんだょ」って。そんなことできない。お店はギリギリの人数なのに。「そんなこと君が考えるべき事じゃない」とも。ごもっとも。でもね… 板挟み。だから先生「今日だけ?」と聴いてきたんだ。こんな人あんまりいないのかな。でももういいょ。良くなってきたし。寝るの疲れた。動いてる方が楽だから。

追伸2、
日本人の友だちが「アップルパイを作ったから!」と言って、持ってきてくれた。他に、お煎餅やお吸いもの、パンやマカロニ&チーズまで!涙が出た。

食材の価格が高騰する中、わざわざ私にも作って、さらには、持ってきてくれたことが心に沁みる。気兼ねなく支え合える人に出会えた運命に感謝。多謝。

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