私が売っているのは
立春を過ぎるとほんとに、春の気候になります。
単衣紬に羽織で出勤です。
単衣というのは、裏地の付いていない着物です。
むかしむかし、単衣は6月と9月にしか着ちゃいけない、と言われた時代がちょっとだけありました。
普段着にはそんな決まりはありません。自分が寒くなければいいんです。自分の気持ちごと包んで、気分がよくなるように着るのが普段着です。
今日の着物は着やすい紬👑No.1
わたしは愛着する気質を持っておりますので好きになると「ばっかり」になります。
母から譲ってもらって、すごく好きで、ほんとにこればっかりよく着ているうちに、裾が切れて洗い張り仕立て直ししました。
さらに着やすくなりました。
今は裾が擦り切れるほど、そんなに回数多く着ない方が多いです。
まるごとドライクリーニングもできますので、洗い張り仕立て直しまでする必要もない場合が多いのですが、
お譲りの、特に紬は洗い張り仕立て直しをおすすめします。洗い張りは一度きものを解いて、水と洗剤で洗って、縫い直します。
紬のきものは表裏がないものが多いので、洗い張りして裏返して仕立て直してもらうことも多いです。
それぞれの工程で専門のひとの手がかかるぶん高価になります。
今日着ている紬は母からのお譲りで、たぶん何回か洗い張りしたもので、もう、ほんとにふかーっとした手触りが愛しい。身体に馴染むのが気持ちいい。
わたしが売っているのは、こんなに皮膚に近いものなんだなあ、と思うのです。ずうと愛して深く愛しい。
好きだなーー、好きだなーー、と着ている間も、脱いでたたんでいる間も、シーズンオフでしまっている間も、ずっとうれしい。
わたしは、きものを慈しむ生活を売っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?