自分を突き動かす「原動力」を言語化することと、それを人生で使いこなすことの違い
70歳も近いであろう女性キャリアコンサルタントのお話から。
その女性は、毎日15時間働いて、土日もほとんど休んでいないと。今度一緒にセミナーでも開催しましょうと提案すると「二年後なら大丈夫」とのコメントに「いやいや、もうお亡くなりでしょう」と冗談で返すと、どうやら冗談ではないらしい。
キャリアコンサルタントの仕事が楽しすぎて、大学は3件掛け持ちし、空いた時間には隙間なくキャリア相談を入れてしまい超多忙な生活を送っていると、小さな体のおばあちゃんはパワフルに笑う。
旦那からは「お前マグロみたいだな」と言われるのと嬉しそうに教えてくれたが、旦那さんが「泳ぎ続けていないと死ぬ」という意味で言っているのか、夜の様子を揶揄しているのかは、文脈上の判断がつかずに笑うに笑えなかったが、そんなことはどうでも良くて、聞けば、40代の頃に勤めていた編集者で燃え尽きて離脱し、そこから人生を考え直して、興味があった心理学の大学に通い、キャリコンに出会い、そして今に至ると。
その話を聞いて、
「エネルギーって湧くもんなんだな」
と、改めて実感。
エネルギーはただ消耗するものではなく、大好きなことや自分のコアや情熱、エネルギー源に触れていると、いくつになっても沸き続けるという事実。
世間では、タイパにコスパ、FIREだ、早期退職だ、年金だNISAだと、いろんな考え、価値観、不安があるけど、自分のエネルギー源を燃やし続けて、死ぬ直前まで衝動に任せて活動を、好きな仕事で主体的に続けて、前のめりに死ぬという選択肢もアリだなと思い、会社を辞めるに至りました。
そんな自分を突き動かす「原動力」や「エネルギー源」。これまで多くの人が、その重要性を説き、それらを発見し、言語化して人生に活用する方法を体系化して本に残してきている。
古くはマイク・マクナス著の「ソース」。
彼はその原動力をワクワクの源である「ソース」と呼んでいる。
リチャード・チャンの「パッション・プラン」では、シンプルに「パッション」と呼んでいる。ちなみにパッションの語源はラテン語で「苦悩」である。苦しんだことをどうにかしたいという原動力が情熱であると。今では中古で1円という苦悩も。
最近では古川武士著の「Deep Driver」。彼はDeep Driverと呼び、我々を深いところから駆り立てるもので表現している。
いずれの著書でも、その重要性や、発見して言語化する方法はほぼ同じで、これまで人生で積み上げた信念(Belief)や固定観念、社会でうまく生きるために取り入れてきたメンタルブロックが、深層心理の深いところにある、これらの「源」を覆い隠し、抑制している。
目的や意義などなく無目的に選択してきた、特に幼少期や子供の頃の情熱や熱中、没頭、好き嫌い、記憶に残り続けている行動や結果を、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、社会人1,社会人2・・・と期間を区切り、人生をさかのぼり、棚卸し、そこに紐づく感情や衝動を洗い出し、頻出している行動や衝動の源を特定し、言語化し、それをベースに未来を投影して設計していくというもの。
その過程で自分を抑圧している信念や固定観念などのリミッターも明らかになり、今でもそのリミッターが必要なのかどうかも問いなおす。
自分の半生を振り返り、棚卸するプロセス自体が楽しく、貴重な時間で、自分への解像度が上がり、言語化して残る。社会への期待度も改めて高まる。自己分析、人生設計のベースとしては非常によくできていて、本質的なアプローチだと思う。
ただ、完全に腹落ちして、満足のいく行動を踏み出せるかというと、どこか違和感やモヤモヤ、不完全さを感じてコレだけでは踏み出せないのも事実。
見落としがちなのは、これらはあくまで「手段」であり、一回やって終わりではなく、使いこなす、著者と同じ世界に近づくためには「鍛錬」が必要であるということ。
自分の価値観やありたい姿、心から達成したい目標や、体が勝手に動き出すような衝動、肚に落ちた行動計画に繋げるには、一回ではしっくりこない。
むしろ、この自分を理解する、可視化するというプロセスは一生かけて磨き上げる価値のあるものであり、茶道や華道のように基本に忠実に同じ所作を何回も何年も繰り返して精神的な納得感に到達するものであるという意味では、これも極めるべき「道」であるともいえる。
自己認識のプロセスを知る、できる、使える、なじむ。
どうしても、何かを始めないといけない、早く変わらないといけない、と思い焦り、このような期待できそうな手段に飛びついた身としては、早く結果が出したいので、一回やって終わるケースの方がほとんどだと思う。時間もかかるし、最初はなかなか言語化に苦労する。ただ精神的で内的な変化は、自分なりの「気づき」を待ちながらゆっくりと進むことを考えると、人類の行きついた本質的な手法を繰り返し、繰り返し、自分になじませるまで稽古、鍛錬し、まさに守破離のごとく、そこから自分流に変えて人生のツールとしていくマインド、意識、お作法が必要だと思うのです。
芸事やスポーツの世界でも、1日休むと取り返すのに3日かかるというように、極めたいこと、高い水準に置いておきたいことは継続する、習慣にするというのがやはり大事ということですね。
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