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社会の動きや意義からではなく、個人の価値観や気づきから発動する。【株式会社beの「be(あり方)」をめぐる夫婦の対話 その1】

“あり方(be)”だけ決めて、広告プランナーとライターが夫婦で立ち上げた株式会社be。設立に至った想いと経緯は、こちらの記事で書きました。ありがたいことに、多くの方から共感と応援の声をいただき、感涙です!

この記事公開後、私たちは対話を重ね、株式会社beが大切にしたい「be(あり方)」と「do(行為)」を定めました。ホームページにも載せましたが、こちらです。

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うん、なかなかしっくり来た感じ。

…と私たちは思っているのだけど、やはりこの短いフレーズだけではきっと伝わらないものがあるはず。

それならば。この一つひとつについて夫婦で対話したことを、つらつらと書いてみようと思います。今日は「be」編。まずひとつめのbe、こちらについて話しました。

社会の動きや意義からではなく、個人の価値観や気づきから発動する。

ぜひゆるりとした気持ちで、ご笑覧いただけるとうれしいです◎

「自分ごと」からはじまり、抽象と具体を行き来する。

美砂子:ひとつめのこれは、どなたかのお話からヒントを得たbeだったね。

一彦:うん、スマイルズの野崎亙さんのセミナーで聞いた話にヒントを得た感じ。普通の事業開発は社会トレンドや市場ニーズからつくっていくんだけど、そうじゃなくて、個人的な価値観や気づきからつくっていって、抽象にさかのぼっていく

美砂子:通常は、社会トレンドに個性をかけ合わせて事業をつくっていくのかな。

一彦:コンサル的なあり方は、社会トレンドからなんだよ。でも社会トレンドから考えると、結局お客さんにとって価値のないものになっちゃう事が多い。

美砂子:価値のないものになっちゃう。たとえばどういうことだろう?

一彦:価値がないというか、似たようなものになってユニークネスがなくなるということかな。代替手段があるようなものができる。たとえば、似たようなファーストフード店とかね。でも野崎さんは、「n=1」からつくったほうがいいと言っていて。

美砂子:「n=1」は、一人称みたいな意味?

一彦:そうそう。「個人的な気づきがどういう価値を生むんだろう?」とか「どういう社会トレンドとつながっているんだろう?」って、具体から抽象にさかのぼって、また具体に戻っていく。俺はもともと、アイデアって抽象と具体を行き来することが重要だな、と思っていたんだけど。

たとえば「人生100年時代」みたいなトレンドって抽象的じゃん。そうじゃなくて、「定年後にどうやって自分が仕事を見つけられるか」って考えると具体的でしょ?

美砂子:うんうん。

一彦:でも具体だけ考えていると、それがいいのかどうかわからないし広がりがないから、「いいね!」って思った具体的なものを抽象化する。そうすると、「何でいいのか」という幹が見つかる。具体から出てきた幹はすごく強くて、幹がみつかれば、他のやり方やアイデアが見つかったりする。だから「個人の気づきから発動したほうがいいな」とは思ってた。あとは単純にその方が“自分ごと化”して楽しそう、というのはあるよね。

美砂子:そうだよね。私がgreenz.jpで取材してきた「マイプロジェクト」の人たちって、“自分ごとから”ってことをものすごく大切にしていて。だからこそ逆にマネタイズに苦労したりするんだけど、きっとコンサル的考え方とは真逆のはじまりなんだろうね。

一彦:マイプロジェクトはまさにそうだね。

美砂子:そうなんだよね、フランスで始まったGolden Hookのサービスも、「自分のおばあちゃんが元気なくなっちゃったからなんとかしたい!」みたいな発動だった。そんな超自分ごとの強度ってあるよね。

「個人の気付き」が、地に足の付いた価値を生み出す。

美砂子:そういう個人の気づきから発動する良さって、もう少し言語化できる?

一彦:うん、地に足の着いた価値が生まれる気がするな。少なくとも自分ひとりには刺さっているから。

美砂子:そりゃそうだ(笑)。

一彦:いや、それが意外とさ、オールターゲットを狙って誰にも刺さっていないというか、存在意義のないものって世の中にあるのかも。

美砂子:あー、文章もそう!「みんなに読んでほしい」って思うと届かないけど、想定する読み手がピンポイントであればあるほど届く。「子ども生んだばかりのあの友達」とか、「あの人だけに届けよう」って思って書くと他の人にとどかないんじゃないか、って言ったらそうでもないんだよね。超ピンポイントでひとりの人を想うからこそ、他の人は自分に届けられてるって感じなくても、なぜか違う文脈で受け取ってくれたりする。信じている物とか体感としての実感がある人の発信はやっぱり強いんだよね。それはすごく感じてきたなー。

一彦:そうだね、そうだと思う。あとは単純に洞察しやすいよね。自分がターゲットだから、想像しないでも深い洞察ができる。マーケティングだと、ターゲットの心理や行動を定量調査したりグループインタビューしたりして、「あ、こんな心理だ」みたいな発見に数百万円かけたりするんだけど。でもそれって結局自分の仮説を確かめるためのものだったりして、そんなに深い洞察は得られない。

美砂子:うーんなるほど、そういうことをこれまで会社でやって来たんだよね。

一彦:うん、でも自分がターゲットだと、体験してきたシーンを思い返すだけでいいし、しかも確実に深い。ただ自分を客観的に見られないとダメだけどね。

美砂子:そうだよね、その洞察力は必要だね。なんで自分が心惹かれるか、客観視してみる。独りよがりになっちゃダメということは、これから事業をつくっていくときも大事にしないとね。やっぱり「具体と抽象の行き来」が大事。

一彦:そうだね。

自分たち自身のbeを大事に、事業を育む。

美砂子:あとは、「私たち自身のbeを大事にしよう」という想いもあるよね。

一彦:そうだね、それは大事。

美砂子:いまはこなつ(長女)が小学生だから放課後が気になるし、今後成長とともに私たちの事業も高校生向けとかに変化していくのかもね。

一彦:そう、こなつがいるから放課後事業について、深い洞察ができる。俺たちはすでに、子どもがいない人が考えるよりアドバンテージをすごい持っているんだよ。

美砂子:私もそれを強みに子どもまわりのライターやってきたなー。しかも保育から教育へ、子どもの成長とともにジャンルもシフトしてる。それができているのは本当に幸せなことだよね。でも本来そうあるのが自然なのかもね。

一彦:そのほうが強いよね。たとえば俺たち海で焚き火するじゃん。焚き火したことない人がなんとなく「海で焚き火っていいね」って思ってサービス考えるより、俺たちのほうがよっぽど深い洞察がある。

美砂子:うん、パタゴニアの事業がどっしり地に足ついているのは、社員が全員アウトドアしているからっていうのが大きいんだろうしね。流行とかニーズに流されず、自分たちのbeを大事に、本当にほしい事業をかたちにしていこう。

「パーソナル→一般化」の法則が共感を生む。

一彦:もっと言うと、俺は今までプレゼンでも絶対、パーソナルエピソードを言うようにしてきたんだ。「パーソナル→一般化の法則」って自分の中で名付けてるけど(笑)。

美砂子:法則つくるんだ(笑)。たとえば、たとえば?

一彦:たとえば母さんがスマホにしたときに、「なんとかモバイルのキタニさん」って人を頼りにしてたじゃん?

美砂子:うんうん。わざわざ家に来ていろいろ教えてくれてたんだよね。コンシェルジュ的な人かな。

一彦:母さんにとっては、携帯の会社名よりも「キタニさん」って人のほうが重要だった。携帯会社の人へのプレゼンでその話をして、「よく考えたらすごくないですか?会社のブランドよりもコンシェルジュとしてのその人の価値のほうがよっぽど高い。いま携帯まわりは複雑になりすぎているから、地域密着のそういうところから価値を見出すべきじゃないですか?」ってパーソナルエピソードを言ったあとに、「実はデータでは●●%の人がそれを求めています」って言うと、すごく深く刺さる。説得力が増す。それが「●●%」っていうデータから入っちゃうと、「あぁ、そうだよね…」ってだけで終わるんだけど。

美砂子:うわぁ、面白い!さすがやね。でもよく考えたらそれ私、自分の記事でもやってるわ。特に最近は、自分のことからばっかり書いてる。「昔太ってました」とか、放課後問題の記事もこなつのことから。経験値としてそれが伝わるなっていうのはわかっていたけど、それを法則化できていなかったなぁ。



美砂子:記事でもプレゼンでも伝わる法則は同じなんだ、ってのは発見。なんかうれしいな。しかもその「キタニさん」って個人名で言っちゃうところがいいんだろうね。それはお母さんの話を聞いたときに、もう気づきがあったの?

一彦:いや、そのときは気づいていないのよ。ただ、課題が出てきたときに自分のまわりを思い浮かべて、そういう目で見たときに気づく。

美砂子:そうか、そうやって今までクライアントさんの共感を得てきたのだね。

一彦:それはもう、自分で編み出した鉄板の手法。一般論よりもすごい共感を得られるからね。

美砂子:いま動き始めてる「うたえほん」もまさにそうだよね。たすく(長男)のエピソードから企画書つくってる。

一彦:そうそう、でもやっぱり抽象化力がないと、ただの具体の羅列で無駄話になっちゃう。「雑談したほうがブレストはいい」とか言われているけど、だれも抽象化しなかったら、無駄話でしかないんだよね。だから俺はすぐに抽象化しちゃう。長年の経験で、抽象化する癖をつけてきたのかな。

美砂子:なるほどねー!なんか勉強になったよ。具体と抽象、beの対話とかブレストでも、意識していこう。

(対談おわり)

5つのbeについて話すつもりが、ひとつのbeにで、かなりのロング対談になってしまいました…。とりとめもなかったですが、私たちの想いや思考回路、伝わりましたか?

次回は2つ目のbe、

家族の幸せが1番。地域の幸せが2番。日本と世界の幸せが3番。

についてどっぷり話したいと思います!

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池田美砂子/株式会社be・Cの辺り
貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。