不完全さを受け入れ、積極的に助けられる。【株式会社beの「be(あり方)」をめぐる夫婦の対話 その5】
不完全さを受け入れ、積極的に助けられる。
自分の弱さを受け入れるって、なかなかできることではありません。私もかつては、仕事も子育ても“完璧”を目指し、できない自分を攻め続けるような日々を過ごしてきました。
でも。
人は誰しも、不完全な存在。だから、お互いの弱さを補い合うようなつながりが必要です。自分の弱さを受け入れて「助けて」と言えれば、その弱さが他の誰かの強さを引き出す。そうやって育まれた「いかしあうつながり」の価値を、私たちは感じています。
会社設立にあたり、私たちが大切にしたい5つのbe(あり方)とdo(行動)を定め、その一つひとつについての想いを夫婦の対話形式でお届けしている本シリーズ、今回は5つ目のbe「不完全さを受け入れ、積極的に助けられる。」について対話します。
「助けて」が言えれば、お互いをいかしあえる
不完全さを受け入れ、積極的に助けられる。
美砂子:この考え方は、たすく(長男、「助」と書きます)の名前の語源でもある詩人の吉野弘さんに影響を受けているよね。
一彦:うん。「不完全さがあるがゆえに退け合うのではなく…」って。(検索して)あ、これだ。
人間は、その不完全を許容しつつ、愛し合うことです。
不完全であるが故に退け合うのではなく、人間同士が助け合うのです。
他人の行為を軽々しく批判せぬことです。
自分の好悪の感情で、人を批判せぬことです。
善悪のいずれか一方に、その人を押し込めないことです。
(吉野弘氏が詩人になる決意を綴った文章より)
美砂子:これはもう、仕事をこえて、生き方の哲学として大事にしたいことだなぁ。人としてこうありたい。
一彦:そうだよね。でも本来仕事って、なにかしようとしたときに足りないピースがあるからそれを埋め合うってことだけどね。
美砂子:確かに。役割分担だもんね。
一彦:でも人は、「自分に足りないピースがある」って思いたくないから。「足りないから助けて」って言えれば、助けられた方は助かるし、助けた方も貢献感を持ってくれるといいよね。
美砂子:そうだね、本当に。グリーンズが「いかしあうつながり」って謳っているとおり、誰かの弱さが誰かの強さを引き出して、お互いにいかしあえるということは本当に起こる。「べてるの家」を訪問したときも感じたけど、積極的に自分の弱さを公開していくと、そこに有機的なつながりが育まれて助け合いの循環が起こるんだよね。
美砂子:「べてるの家」を家族で体験して、人はだれでも弱さと強さを持ち合わせているし、助けてもらうのは、絶対に「申し訳ないこと」じゃないって教えてもらったな。
子どもたちが教えてくれたこと。
美砂子:でもね、話してて思うのは、まずは私自身が「助けて」って言える人にならなきゃってこと。家事も育児もあまり助けてって言えなくて、“完璧を目指す人”に近い生き方をしてきた頃があった。できない自分を認めたくないって気持ちもあったのかな。助けてもらわなきゃできないと実感できたのは、やっぱり子育てを通してだったのかなー。子どもたちに「ありがとう」だね。
一彦:確かに美砂子はそういうところあるね。家事も仕事も、「助けて」を言い合える関係でありたいよね。まだまだだけど。
(対談終わり)
今回は夫が終盤眠くなってしまい(笑)、短めの対談になりました。言葉少なめだったので、代わりに、たすく(長男)が生まれたときの夫のFacebook投稿を紹介します。
11月7日、新しい家族がやって来ました。
母子ともに無事に産まれたことに感謝です。
親は子供に多くを望んでしまいますが、産まれる瞬間は、ただただ無事であることを祈るだけです。一人目の子供が産まれた時も同じ気持ちでした。でも気付かないうちに、ついつい多くを期待しちゃうんですよね。改めて、元気に生きているそのことに感謝します。
名前は、池田 助(たすく)
妻と話し合って、生きていく上で一番大切だと思うことを名前に込めました。
誰かを助け、誰かに助けられ、助け合いながら生きていけたら、こんなに素晴らしいことはありません。
インスピレーションをもらった詩人の吉野弘さんの言葉を紹介します。
「人間は、その不完全を許容しつつ、愛し合うことです。
不完全であるが故に退け合うのではなく、人間同士が助け合うのです。
他人の行為を軽々しく批判せぬことです。
自分の好悪の感情で、人を批判せぬことです。
善悪のいずれか一方に、その人を押し込めないことです。」
(2018年11月投稿)
子どもたちの存在を通して、「助けて」が言えることの価値を再認識している私たち。家族のなかでも、社会に対しても、弱さをさらけ出せる私たちでありたいものです。
さて、5つのbeに関する対話は今回で終わりです。(過去4本はこちらから)次回からは5つのdoについてお話しますね。5つのbeをベースに、私たちがなにをする(do)か。
引き続き、夫婦の妄想にお付き合いいただけると嬉しいです。
貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。