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ランドセルとランドセル型リュックを背負ってアラフォーが3km歩いてみた話

去年の話になるが、息子のランドセルを買った。

私は昔から高い買い物をする時アホほど調べる習性があるので、ランドセルなんて買うことになったらそれこそものすごい時間を検索に費やしてしまうだろうと思い、「ランドセルは調べない!!天使のはね一択!!」と決めていた。

なぜ天使のはねかというと、昔々仕事でランドセルのカタログを作った時に掲載されていたランドセルの中で、天使のはねがダントツで高機能だったからである。
もう10年以上前の話だが、あれからさらに10年以上もランドセルの機能を追求しているとすれば信頼しかない。天使のはねだ。絶対に調べない。天使のはねだ。

…と思っていたのに、結局購入したのは違うランドセルだった。

天使のはねが悪かったわけではない。
いざ選ぶとなって気付いたのだが、「天使のはね」といってもその中で機能の違いがあり、そこを追求していくと高額になったり重さが増えたり、それならちょっと他のメーカーも…とよそ見したが最後、買うまで絶対に抜け出せないランドセル沼にズブズブとハマってしまったのだ。

しかも息子の通う小学校までは徒歩1時間の距離があったので「なるべく楽に背負えるものを…」と調べ始めたら止まらなくなってしまい、最終的にはランドセルの画像を見たらなんとなく背カン(ランドセル本体と肩ベルトをつなぐ部分)の種類を見分けられる領域にまで達してしまった。



ここまで読んだ方は「なるほどこの記事はラン活の話か」と思ったかもしれない。
違うんだ。その話をしたいんじゃないんだ。息子のランドセルの話ではないんだ。

ランドセルを調べまくった私は、購入した後も解決できない大いなる疑問にぶつかったのだ。

ランドセル業界の新興勢力(?)ランドセル型リュックのことだ。


何をもってランドセル型リュックと呼ぶか迷うところではあるが、一応この記事内では「通学用リュックとして」「小学校低学年から」使えるものということにする。


息子のランドセルを探した中で、私はランドセル型リュックを候補に入れなかった。ランドセル型リュックがランドセルより数百グラム軽いとしても、長年「小学生が背負う」ことを追求してきたランドセルには敵わないのではないかと考えたからである。
しかしそれは私が検索できた情報の中で出した結論であって実際のところはわからない。

リュックを買った人の感想を調べてみても、「ランドセルが重すぎてリュックに変更しました!軽いと喜んでいます!」という人もいれば「ランドセルが重いのでリュックに変更しましたが、やっぱりランドセルの方が楽だと言ってリュックは使っていません」という人もいる。
使っているランドセルも環境も違うし、そもそも使っている人間が違うし、結局他人の感想はアテにならないのかもしれない。

自分で背負うしかないのかもしれない。

知りたければ。

どちらが楽かどうしても知りたければ。

そう、私はどうしても知りたかった。

息子のランドセルはもう買ったし買い直すつもりももちろんないけど、個人的興味としてランドセル型リュックは実際どうなのか、どうしても知りたかった。

なので自分で背負って比べてみることにした。
幸いなことに?私の身長は150cm台後半なので小学校高学年としてありえないサイズではない。
まあ骨格とか体格とか年齢とか内臓脂肪とかどうしても小学生ではない部分(というか全部分)はあるが、ランドセルは身長170cmぐらいまで背負えるように設計されているとどこかで見たし、致命的に合わないということはないだろう。たぶん。

そんなわけで前置きが長くなったが、今回はランドセルとランドセル型リュックをアラフォーが背負い比べた話をしたいと思う。


鞄を入手する


何よりランドセルとランドセル型リュックがないと始まらない。

ランドセルは最近小学校を卒業した子どもがいる知り合いから譲ってもらうことができた。
処分するつもりだったから好きに使ってくれという有難いお言葉と共に、6年前の天使のはねモデルロイヤルが我が家にやってきた。モデルロイヤルとは天使のはねの最新機能全部盛りみたいなモデルである。


一時期私があまりにも延々とランドセルのカタログを熟読していたので、息子の中で私は「とてつもなくランドセルが好きな人」になっている。
このランドセルも役目を終えた後にまさかアラフォーに背負われるとは思っていなかっただろう。私も思っていなかったよ。

ランドセルはわりとスムーズに手に入ったが、問題はランドセル型リュックである。
一言でランドセル型リュックといっても機能も価格も様々、本気で選び出したらラン活第二章が始まってしまう。使うのは私だが(それもおかしな話だが)、後々は子どもが普通に使えるものにしたい。
しかしお値段があまりにも高いのは無理。かといって安すぎるのも「高いものならもっと機能的だったかも…」とか考えてしまいそうなのでランドセルの比較相手として相応しいものを選びたい。

ランドセルっぽい見た目には特にこだわらないのでアウトドア系ブランドのリュックもいいなぁなんて考えながら色々と物色した。
そして迷った結果、某メーカーが制作した1万円台のリュックを購入した。これが予算と質のボーダーライン(自分の中で)だった。

ランドセルは購入してから届くまで数ヶ月かかることもあるが、私が購入したランドセル型リュックはそれほど待たずに発送された。
助かった、私はもう背負い比べたくて背負い比べたくて死にそうなんだ、一刻も早く届けてくれ。
そして注文から1週間後、待ちに待ったランドセル型リュックが届き、ついに私はランドセルとランドセル型リュックの現物を手に入れたのだった。


荷物を入れる


重い荷物を入れて通学路を歩いてこそランドセルの真価は発揮される。当然私も歩くつもりだったが、まずは家で色々と条件を変えて背負い比べてみることにした。

それぞれの重さを測ってみたところ、ランドセルが1187g、ランドセル型リュックが1020gだった。
リュックの方は公式サイトの情報では900g台だったが、オプションを付けたりしたので少し重くなったようだ。

息子のランドセルを選ぶ時に「100〜200gぐらいの重さの差は気にするな」みたいな話を色んなところで読んで、本当に?とはいってもちょっとでも軽い方がいいんじゃない?といまいち信じきれずにいたが、実際重さの違いがある鞄を背負い比べてみた今なら断言できる。

167g差、全然わからん。まっっったくわからん。

私は大人なので子どもが背負うのとは感覚が違うとは思うけど、それにしたってわからん。

ちなみに息子は空の状態でどっちも「重い」と言っていた。(彼は自分のランドセル選びの時もすべて「重い」と言っていた)

中身がないと私にはどちらも軽いのでひとまず2kg分ぐらいの本を入れてみた。ちょっと重くはなったけどまぁそれほどでも、という感じ。
ランドセルの方は背中にピタッとくっつく感じ、リュックの方は背中に自然に沿う感じの背負い心地だった。素材が柔らかい分リュックの方が肩に当たる感覚などは違和感がないが、ランドセルの方が「背中にしがみつくぞ」という鞄の意志を感じる。



さて、問題はどれぐらいの荷物を入れて歩くべきか、である。

2018年のネット記事で小学生の荷物の重さについて2000人にアンケートをとったというものがあったので参考にさせてもらったが、以下のような内容だった。
※数年前の情報なのでもしかすると今とは少し違うかも

1週間のうちランドセルが最も重い日の平均(ランドセル含まず)
小学生全体平均…4.7kg
1年生平均…3.7kg
6年生平均…5.4kg

小学生の荷物の重さとランドセルに関する調査結果

回答の中には10kg以上という強者も1.8%存在していた。
2000人の1.8%なので36人か。けっこういる気がする。

小学1年生の平均体重が23kgぐらいらしいので、重い日の荷物は体重の5分の1程度ということになる。
ということは私は10kgぐらい背負えばいいわけだな。(体重バレちゃう)

よーし10kg詰めるぞぉ〜!!…と張り切ったのだが、ランドセルの大マチ(メインの収納部)いっぱいに本を入れても5kgにしかならなかった。
むしろ10kgとかどうやって詰めてるの?何を詰めてるの…?
前ポケットもパンパンにしてサイドのフックとかにもぶら下げまくってギリ到達できるかどうかってレベルじゃない?匠の収納術じゃない?


仕方ないので大マチと小マチに本を詰めて6kg、隙間に水筒を入れて合計6.5kg(ランドセル含まず)で手を打つことにした。
ランドセルのカタログでは「体に近い内側に重いものを、外側には軽いものを入れましょう」とアドバイスがあったが、軽いものなんて入れていたら目標重量を達成できそうにない。

リュックの方は見た感じランドセルよりも容量がなさそうだったので心配していたのだが、生地が柔らかいおかげか案外すんなり6kg分の本を入れることができた。水筒もサイドのドリンクホルダーに問題なく収まった。

そして6.5kgの荷物を入れた鞄2つを背負い比べてみたところどっちもどっちなレベルで重かった。両方猫背になる。真っ直ぐ立てないことはないが、真っ直ぐ立つと鞄が後ろに持っていかれて底部が腰の上に当たりバランスが悪い。ランドセルの方がもっていかれ方が若干マシかな?ぐらいの感覚だった。
ここまでの重量になると天使のはねの機能も死んでいる気がした。堕天使の老婆である。


世の中の小学生は本当にこれを背負って通学しているんだろうか。何の修行なのか。


3km歩いてみる


8月某日、ついにランドセルとランドセル型リュックを背負って歩く日がきた。とは言っても同じ日にやってしまうと後から背負った方にダメージが残りそうなので、ほぼ同じ天気・気温・時間帯を選んで1週間空けて試すことにした。ちなみにどちらも最高気温が35度の猛暑日だった。

自宅から1.5km離れたドラッグストアまで歩き、そこで折り返して往復3kmの道のりである。

ランドセルを背負ったアラフォーのビジュアルが見るに堪えなかったのでランドセルの方は無地のレインカバーを付け、どちらの鞄の時も水分補給用のペットボトルだけビニール袋に入れて手に持つことにした。

以下に実際歩いてみた感想をまとめた。






率直な感想を言うと、どっちも楽じゃなさすぎてどっちが楽とか比べられなかった。いやほんとに。
もしもう1回同じ条件で3km歩くならどっちの鞄を使いたいか考えてみたが、どんなに考えても心の底から「どっちも嫌だ」としか思えなかった。

張り切ってランドセルとリュックを揃えて背負い比べたわけだが、問題は鞄ではなかったのだ。荷物だ。荷物が重すぎる。天使も死ぬレベルで重すぎる。あと暑すぎる。

今回6kg分の本を入れたランドセルがこちらだが(この上に水筒を入れて背負った)、

仮にもっと軽い900gのリュックを使ったとして、このランドセル1187g−900gで鞄本体の差は287g、この写真の本で換算すると1.5〜2冊分ぐらいである。

つまり、

おわかりいただけただろうか。重さの戦犯は荷物だということが。

唯一明確に感じた違いは背中の通気性かなと思った。
背負っている時も感じたが、家に帰って鞄をおろした後もリュックの方が背中が汗でベッタリして気持ち悪かった。
ただ私が購入したリュックは背中の通気性に特にこだわった作りではなかったので他のランドセル型リュックだとまた違うかもしれない。ランドセルも商品によって背中の素材や形状は違うのですべてのランドセルが同じわけではない。
あくまで今回私が使ったランドセルとリュックを比較しての話である。

長くなってきたのでそろそろまとめたいところだが、この背負い比べをした後に私は「荷物を減らしてほどほどの重さにしたら違いは出るのか?」というさらなる疑問にぶつかった。

なので荷物を6.5kg→4kgに減らして再び試験歩行した。
3km×2回歩くのがどーーーしても嫌だったので距離は2km×2回に減らした。(3kmコースはラスト1kmが本当にキツかった…)

結果、どちらも少し肩がだるくはなったものの6.5kgの時とは明らかに負担が違った。特にランドセルは天使の生存が確認できた。

荷物6.5kgと4kgの間には超えられない壁がある。

機能が死なない程度の荷物量であれば重さに対するアプローチに関してはランドセルにやや利がある。しかし荷物が致死量を超えた場合はどっちもどっちなレベルでキツイ。
体に対するフィット感(あたりの柔らかさ)はリュックの方が良い。しかし荷物が致死量を超えて通学距離が長くなった場合はもはやフィット感などどうでもよくなる。
※あくまで各1種類のみのランドセルとリュックを背負ったいちアラフォーの個人的感想


今回私は「自分が重い荷物を背負った場合(in 猛暑)」に限って2つの鞄を比較したが、他にも容量・耐久性・使い勝手・価格・デザインなど比べるところはいくらでもある。
ランドセルを選ぶ時に何を重視するかは人それぞれだし、必ずしもランドセルである必要はないかもしれないし、それぞれの環境に合わせて好きなものを選べばいいと思っている。

私も機能性を求めて検索したり息子に背負わせて体に合っているか吟味したりしていたが、最終的な決定打は値段だった。候補のランドセルが4割引(ポイント還元も合わせて)になっているのを発見してささいな迷いはすべて吹き飛んだ。4割引て。買うしかないやん。

人生いろいろ、価値観いろいろ、ランドセルもいろいろ。

好きな鞄で楽しく通学できるのが一番だ。



P.S. 次に気になっているのは登山用リュックです。

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