関係代名詞の核
関係代名詞の核
疑問詞になんで似てるか考えたことある?(それこそが「核」)
簡単です。
例えばwhoで考えます。
Who broke the window?誰が窓を割ったの?
I know the man / who broke the window.私はその人を知っています/誰かというと窓を割った。
whoという語は、直前に人がいなければ「誰が?」という疑問を表す言葉です(疑問詞)。
直前に人間がいれば「誰かというとね」とその人を限定する役割に転じます(関係代名詞)。
whoという同じ形をしているので疑問詞と関係詞は兄弟なのです。
兄弟なのだから似ているのは当たり前ですね。
関係代名詞の表の解説
以下の表で考えてください。
(上の例文では基礎をわかってもらうためにwho「誰かというとその人は」の「その人は」を割愛しましたが、本来は含めて考えます)
whoはwhoなので「誰かというと」、関係「代名詞」なので「その人(たち)」、主格なので「は、が」→「誰かというと、その人(たち)は、が」
whoseは、whoなので「誰かというと」、関係「代名詞」なので「その人(たち)」、所有格なので「の」→「誰かというと、その人(たち)の」
whomはwhoなので「誰かというと」、関係「代名詞」なので「その人(たち)」、目的格なので「を、に」→「誰かというと、その人(たち)を、に」
which(主格)は、wh-が「どれかというと」-ichがitに当たり「それ(ら)」、主格なので「は、が」→「どれかというとそれ(ら)は、が」(-ichに関しては、下のwhichの目的格の例文で説明しています)
whose(所有格)は、wh-が「どれかというと」-seが所有格なので「の」→「どれかというとそれ(ら)の」
which(目的格)は、wh-が「どれかというと」-ichがitに当たり「それ(ら)」、目的格なので「を、に」→「どれかというとそれ(ら)を、に」
ついでによく関係代名詞で、関係代名詞以下には不完全な文(=名詞が欠如している文章)が来ると言われていますが、なぜ欠如することになるのかも少し説明しておきます。
I saw a man / who said /he was a lawyer.「私は人に会った/誰かというとその人は言った/自分は弁護士だと」
(whoが「誰かというとその人は」なので後ろの文章に「その人は」という主語が欠けている「不完全文」が来ることになります)→最終的な訳「私は自分は弁護士だと言う人に会った」
He is a boy / whose father is a doctor.「彼は少年だ/誰かというとその人の父親は医者だ」(whoseが「誰かというとその人の」なので後ろの文章に「その人の」という所有格が欠けている「不完全文」が来ることになります。以下の文章でも同じです。)→最終的な訳「彼は父親が医者をやっている少年だ」
Look at the house/ whose roof is red.「その家を見ろ/どれかというとそれの屋根は赤い」→最終的な訳「屋根が赤い家を見ろ」
This is the watch / which I bought yesterday.「これは時計だ/どれかというとそれを私は昨日買った」→最終的な訳「これは私が昨日買った時計だ」(wh「どれかと言うと」ich=itと考えると分かりやすい。ich=it「それを」)
This is the watch/ that I bought yesterday.「これは時計だ/そいつを私は昨日買った」→最終的な訳「これは私が昨日買った時計だ」
日本では関係詞には訳がない、などと言われていますが、言葉に存在している限り、それは何らかの意味(=訳)があるから消えていないのです(上記の例文のように)。
ここに留意して考えれば簡単にわかることです。
関係代名詞のthat
thatは古英語のthæt(指示代名詞の中性。「あのこと」「そのこと」)から転じたものです。
少しorかなり離れたものを指します。
What is that?「あれは何?」(thatは遠いものを指しています)
I think / that it will rain tomorrow.「私は思う/ そいつはね(=私が思っていることはね)雨が明日降るということだよ」→「私は明日雨が降ると思う」
The fact/ that he is lazy 「事実/そいつはね(=事実)彼が怠け者だということだよ」→「彼が怠け者だという事実」
I can't eat that much.「私はそんなにたくさんは食べられない」
It is impossible /that he failed.「それはあり得ない/そいつはね(=It)彼が失敗したということだけど」→「彼が失敗したということはあり得ないよ」いずれも離れたものを指しています。
関係詞でも同じです。
He is the man/ that won the tournament.「彼はその人です/そいつはね(=その人はね)、優勝した」→「彼が優勝した人です」
関係代名詞のthatが好まれる場合
関係詞をwho「誰かというと‥」which「どれかというと‥」のように考えると、「関係代名詞のthatが好まれる場合」という考え方も氷解します。
This is the only watch ( ) I have now.「これが私が今持っている唯一の時計だ」
これで考えます。
先行詞が「時計」なのでwhichが入ると思いきや、thatが好まれます。
それはなぜか。
whichは「どれかというとそれを」という意味です。
This is the only watch「これが唯一の時計だ」
これを受けてwhich「どれかというと」…
「どれかというと」というのは、前提としてたくさんあってそのうちどれかというと、という限定の意味です。
先行詞にthe only「唯一の」とあるのでそれが通用しません。
ですからwhichではなくthatが好まれるのです。
同様にThere is nothing ( ) I can do for you for the moment.「差し当たりあなたのためにできることは何もありません」ではどうでしょうか。
There is nothing「何もありません」
これを受けて( )がwhich「どれかというと」…
nothing「0個のもの」「何もない」なのに「どれかというと」???
(全文の訳を書くと「0個のものがある/どれかというと私ができる/あなたのために/差し当たり」
非常に違和感があります。
ここにもwhichは無理でthatが入ります。
その一方、先行詞が人間の場合はthe onlyでもwhoは可能です。
You are the only one /( ) knows how your time machine works.
You are the only one / who knows /how your time machine works.「あなたは唯一の人だ/誰かというと知っている/どのようにタイムマシーンが動くのかを」
先行詞が人間の場合は、ものの場合と違って違和感がない。
(「唯一の時計/どれかというと」……変。時計一個しかないのに。「唯一の人/誰かというと」……まぁ許容できるかな。「誰」は「どれ」より限定する力が弱いようです)
そのために先行詞が人間の場合にはwhoも可能です。
他の、先行詞に①形容詞の最上級②the very「まさにその」③序数④all⑤every⑥疑問詞のWhoの時もthatが好まれます。
①〜⑤も同様の考えだと思われます。
(上の文章はBack to the futureのMartyのセリフを引用しました。)
関係詞はwho「誰かというと」which「どれかというと」that「そいつはね」で考えると全て矛盾なく考えることが出来ます。
「二文を関係代名詞を用いて一文にしろ」?
一方で、日本中で「二文を関係代名詞を用いて一文にしろ」という謎の教え方がされていますが、本当に意味不明です。
文と文の関係って接続詞が扱う範囲です。
関係代名詞は接続詞+代名詞だからいいのだ?
接続詞+代名詞が、、、形容詞なのですか?
おかしいですよ、正気ですか?
「そして彼は」は接続詞+代名詞なだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。
形容詞ではありません。
目を醒ましましょう。
「二文を関係代名詞を用いて一文にしろ」という上記の謎の教え方をされた優秀な学校(偏差値70)の中学生が、「こういう問題が出されたら解けます。しかし関係代名詞って何か分からないので不安で仕方がない」などと言うのも全く然りです。
日本の英語教育は全く分かりにくい酷いものです。
上の中学生は正直です。
日本中の「二文を‥」で教えている教師たちはこの中学生に謝れ。
このあと加筆予定あり。お楽しみに。(有料にするかもしれません)