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炭火が生まれるまでの物語 #3 口焚き

紀州、和歌山県で備長炭を焼いております、池渕木炭です。
炭火が生まれるまでの物語、第3回目は、「口焚き」という作業についてです。

ゆったり炭火を眺めながら、もしくは炭火を思い浮かべながら、
読んでいただければうれしいです。

#3 燃えているのは誰なのか?「口焚き」

お客様から、「備長炭って、ウバメガシを燃やして作るんですよね?」
というご質問をいただくことがあります。

「ええっと、ちょっとちがうんですけど、でも合ってるところもありまして・・・」と、いつもモゴモゴしてしまう自分に反省しつつ、あらためてまとめてみます。


最初に燃えているのは広葉樹

では燃えているのは誰なのか?

ウバメガシを窯に入れた後、窯の温度をあげるために燃やしているのは、いろいろな広葉樹の薪です。

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窯の入り口に少しスペースを作っておき、そこに薪を置いて火を焚きます。窯の口で焚くので「口焚き」といいます。

(我が家ではビジネス焚き火と呼んでいます。)

この工程では、原木自体を燃やしているのではなく、窯の温度をあげて原木の水分を抜きながら温度をあげていきます。


製炭工程の最後、ウバメガシがすでに炭になった状態で、火をつけて不純物を燃やし切る作業がありますが、この時は、元ウバメガシ?備長炭予備軍?が燃えています。

この話は長くなるので次の回でじっくりお話しします!

備長炭の火付けの強い味方、消炭

口焚きをしていると、熾火状態になった広葉樹の炭が窯の口に溜まってきます。

これを取り出して消火した消炭は、とても簡単に火がつくので、備長炭に火を付ける時の着火剤として、とても便利です。

池渕木炭で販売している、初めての方向けの小さめの備長炭ミックスには、この消炭をおつけしています。

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消炭のおかげで、思っていたより簡単に備長炭に火がついた!というお声をよくいただきます。

まず消炭に火をつけて熾火にし、その熾火で備長炭を熾します。
備長炭の火付けには、「炎」ではなく「熾火」が有効です!


炭化のはじまりは匂いが教えてくれる

口焚きを続けて、窯の温度が上がると原木の炭化がはじまります。
独特の匂いがしはじめると、炭化がはじまるサインです。

見えない窯の中の変化を見極めるため嗅覚をつかう、先人の知恵ですね。

窯の口は閉じて小さな穴を開け、その穴のサイズを変えることで
空気を送る量を調整し、温度を管理します。

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お互いに炭化しあう関係?

不思議なことに、口を閉じられても、窯の温度は下がりません。

窯の中で何が起こっているか想像するに、
原木自身が高温になり、近くにいるもの同士でその熱を感じ合い、熱をやりとりして自身の温度を更に上げていってるのではないかと思っています。(検証はされていません!)


ウバメガシがお互いに熱を高め合い、お互いを炭に仕上げていくという、
なかなか味のある(と勝手に私が感じている)工程なのです。

こうして、自然に生えていた木が、ほぼ炭素の固まりへと変わっていきます。

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この炭化の段階で出る煙は、冷やすと木酢液という液体になります。
畑の土壌改良に使われることが多いですが、我が家ではお風呂にいれます。体がずっとほかほかとあたたかく、冬場にはかかせません。

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いろんな訪問者たち

じっと火の番、煙の番をしていると、人間の気配に気づかず、いろんな生き物が通っていきます。

野うさぎ、日本トカゲ、イノシシ、ナナフシ、紀伊半島にしかいない青い黄金虫などなど・・・

気づかないふりをしてじっくり彼らの姿を眺めるのも楽しみのひとつです。

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長い文章をここまで読んでいただきありがとうございました!
さて、次回はやっと窯の中の炭とのご対面です!お楽しみに!



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