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炭火が生まれるまでの物語 #4 ねらし(精錬)〜窯出し

和歌山県で紀州備長炭を焼いております、池渕木炭です。
炭火が生まれるまでの物語、第4回目は、「ねらし(精錬とも言います)」と「窯出し」という作業についてです。

ゆったり炭火を眺めながら、もしくは炭火を思い浮かべながら、
読んでいただければうれしいです。


#4 やっと炭とのご対面!「ねらし(精錬)〜窯出し」

ウバメガシを窯に入れて、口焚き、炭化の工程を経て、やっとここで中の炭を目で見ることができます。

山で切ってきたあの木達とは思えない姿とのご対面です。


「ねらし」で最後の仕上げ

窯の中で炭化が進み、そろそろ終わりにちかづくと、煙の色が青く変わってきます。
煙を合図に、窯の正面の穴を少しずつ広げて、徐々に空気を送り込み、炭自体を燃やしていきます。

これは、炭化度を上げるため、そして炭に含まれる不純物を燃やし切るための作業です。ねらし(精錬)といいます。

中では色んな色の炎が立ちのぼっています。
青、緑、黄色、オレンジと、燃えている物質やガスによって炎の色が変わるようです。

送り込む空気はあくまでも少しずつ・・・夜通しかけて行う作業です。

ふくろうの「ホウホウ」という声を聞きながら、半開きの目で窯と簡易ベットを何度も往復します。

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紀州備長炭とのご対面

一晩かけて窯の口が開いたら、炎が生き物のように溢れ出てきます。
ごうごうと音をたてて、空気を得た窯が喜んで呼吸をしているようです。

炎の中、備長炭とのご対面です!


この時、窯の温度は1000℃を超えています。
この温度帯で精錬された炭は、炭化度が98%を超えます。

こうして不純物が取り除かれた紀州備長炭は、火をつけても炎も煙も匂いもでません。

一番熱い時に出す!「窯出し」

窯の入り口近くに炭をすこしずつ寄せて、よく空気にあて、十分に燃えて精錬された状態になってから、エブリという道具を使って、窯からかき出します。

カラン♪という音とともに炭がでてきます。

この音は、全ての炭焼き職人の疲れを瞬時にとる効果があるのではないかと(勝手に)おもっています。

窯からだすと、鉄でできたエブリも真っ赤です。

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1000℃を超える窯の前での作業ですので、もう体の中の水分が何回いれかわっただろうというぐらい大量に汗をかき、大量に水分をとります。

出した炭ももちろん熱く、写真を撮ろうと近づきすぎるとこうなります。(このあとダッシュで逃げてます。)

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白炭と黒炭

出した炭は、素灰(砂と灰をまぜたもの)をかけて空気を遮断し、急速&強制的に消火します。

燃えたぎる炭は、素灰をかけるとブフォッと熱気を吹き出し、埋まっても尚湯気を出し続けます。

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1日置き、熱が冷めたら素灰の中から炭を掘り出します。
掘り出す時、炭はまだほのかに温かいです!

紀州備長炭の表面が白いのは、この素灰がついているからです。
これが「白炭」と呼ばれる理由です。

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木炭には白炭と黒炭という種類があるのですが、このように分類されているのは日本だけらしいです。

先ほどお話しした「ねらし」は、白炭特有の工程です。

出したての備長炭の表面は素灰を浴びて真っ白、断面は真っ黒、
このコントラストが特徴ですね。

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終わりが始まり、それが炭焼き

窯出しは、窯の中の炭の精錬具合を見極めて進めるので、人間が希望するペースではやらせてくれません。炭の都合が優先です。

おおよそ12時間ぐらいかけて、炭を全部出します。

窯出しが終わったら、次の原木を窯に入れつつ、出した炭を選別していきます。

ところで備長炭って、何種類あるか、ご存知ですか?
それはまた次回に・・・

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