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土佐日記① 2泊5日の旅

古典文学の記事だと思って覗きに来た皆さん、お帰りください。
女の私が日記書いちゃいますけど。お生憎、私は紀貫之ではありません。
騙すようなことしてすみません。


8月上旬に、友人と二人で土佐(現高知県)へ旅行に行きました。幕末が好きな私たちにとって、廃藩置県はまだ行われていません。土佐は土佐です。

私に日本史の面白さを教えてくれたのはアプリゲーム、刀剣乱舞でした(歴史上の刀を擬人化した育成ゲームです)。チャーミングな笑顔と、可愛らしい土佐弁で私の心を奪った、打刀・陸奥守吉行のぬいぐるみを鞄にぶら下げて、とても楽しみな土佐旅行開幕!!!

と、思ったら。

ハプニングと共に旅をした2泊5日を綴ります。


私は日本史の中で、中岡慎太郎さんが好きです。どれくらいかと言うと、ファンクラブ「陸援隊」に入隊するくらいです。私、陸援隊隊員なんだ〜。えへへ〜。

刀剣乱舞の推し、陸奥守吉行(以下むっちゃん)は坂本龍馬の佩刀として知られています。むっちゃん→龍馬さん→慎太郎さんといった具合に、土佐藩郷士を好きになりました。

土佐旅行へ行くにあたって、「竜馬がゆく」と「千里の向こう」を読もうと思いました。旅行は出発する前から気分を上げるものです。なんなら、旅行に対してウキウキしてる時間から、旅行は始まってます。

結論を言うと、全然読み終わりませんでした。竜馬がゆく、長すぎ。一ヶ月で読了しようというのは、無茶な話でした。ただ、四巻まで読めました。勝先生と出会った頃かな。
残り、500ページ×四巻。
諦めて正解です。残りはこれからちまちま読みます。
千里の向こうは、土佐から帰る道中で読了しました。


さて、出発しましょう。
土佐へは夜行バスを使いました。人生初!きちんと眠れるか不安でしたが、やんごとない乗り物(飛行機、新幹線)に割ける金はありません。夜間の10時間と引き換えに、諭吉を出して野口を貰います。

出発する日の昼間からずっとソワソワしていました。明日のこの時間はどこにいるかなとか、あと〇時間後には家出なきゃとか。浮足立って仕方ない私は、この後絶望の深淵を覗きます。


電車の運転見合わせ。


友達と新宿で待ち合わせていました。そのため埼玉から電車を乗り継いで行く必要があります。
確かその日は、天気が悪かったのだと思います。しかし地元が豪雨に見舞われた記憶はありません。私が使う電車の沿線で、豪雨・落雷による停電が発生したとかしないとか。
詳細はどうだって良いのです。とにかく、電車が動かなくなりました。これじゃバス乗り場に行けない。バスに乗れなきゃ土佐に行けない!!!
私には、不貞寝を決め込む翌日の自分が見えました。

自暴自棄になりたい衝動を抑えて、用意していた荷物を引っ掴んで家を出ます。運転見合わせの情報を得てから5分も経ってません。
事情を話して父に車を出してもらいました。車で走ること30分。他の路線が通る駅で降ろしてもらい、祈るような気持ちで電車を待ちました。同時刻に、乗る予定だった電車が運転再開をしましたが、脇目もふらずに違う路線のホームへ行きます。運転見合わせを受けて、どの路線にも遅延が生じています。この選択が、土佐への切符になるか、自宅への切符になるか。ここで間違えたらと思うと気が気でない。友達にも連絡をして、一足先に着いた新宿から、間に合うよう祈ってもらいます。

電車は、4分遅れで出発しました。元々30分前にバスターミナルに着くよう家を出るつもりでしたが、運転見合わせの情報によって、予定より20分ほど早く家を出ました。時間に余裕を持ってバスターミナルに行けそうな気もしますが、こちとらパニクってます。1秒でも遅れようものなら発狂しそうです。途中の駅で、接続待ちをしながら、私は無事バスターミナルへ辿り着きました。バス出発の40分前。友人の顔を見たときには泣き崩れそうでした。

無事にバスに乗り、眠れているのか眠れていないの分からない数時間を過ごします。悲劇再び。通るはずの高速道路で事故が起きたと言うことで迂回して行くことになりました。予定時間より2時間ほど遅れて土佐へ着きます。でも、いいんです。構いません。このバスに揺られていれば土佐へは着くのだから。そんな寛大な心も手に入れました。


感動の高知駅


一日目は、とさでん交通を利用して、高知城の方を巡りましたが、詳細はあまり書きません。

ハプニングに思い出の全てを持っていかれたので。


しかしながら、印象的だったのは、はりまや橋。
「今度高知行くんだ〜」
と自慢すると百発百中で返される言葉。
「はりまや橋って、がっかり名所らしいよ」

何度も言われました。
別に期待してないです。
実物を見ても、
「ここで、坊さんがかんざし買ってるところを目撃されたのね。はへぇ」
としか思いませんでした。
私はがっかりしなかったので、あそこはがっかり名所ではないんじゃないでしょうか。


坊さんかんざし購入目撃され現場


太陽の力が強すぎて、写真を撮るのに苦戦しました。土佐と言えばの義務感で来ましたが、橋が掛かっているだけです。写真も撮り終え、バスの遅れで朝食を食べ損ねた私たちは、早々に立ち去ろうとしました。暑いし。

そこへ軽やかなベルの音。
自転車に乗ったおじいちゃんがやってきました。心配になるくらい痩せ細っています。ボソボソと話しかけてくるおじいちゃん。

「弁当、買ってくれねえか」

……私たちが?

時計の短針は12を過ぎています。
私たちだって腹ペコですよ。

私たち、ハプニングを乗り越えてきたんです。やっと高知に来たんです。楽しもうとしてたんです。そんなときに、水差さないでよ。暑さと空腹で気が短くなってました。それに、人にお弁当をご馳走する分のお金は用意していません。

どうしようか悩んでいると、
「私たち行くところがあるので」
東京住みの友人が断ってくれました。さすが、都会の人間は違うや。
おじいちゃんは颯爽と去っていきました。
今となれば申しわけないような気もします。

旅行者っぽい格好をしていたのでしょうね。海外だったらスられていたかもしれません。


その後は「海がきこえる」の聖地巡礼をしたり、高知城やひろめ市場へ行きました。
私の偏食がバレて友人による食育が始まりましたが、長くなるので割愛。

思い出として記すと、ひろめ市場でむっちゃんを連れた方とすれ違いました。私のむっちゃんはホテルでお留守番をしていたので、声はかけませんでしたが、土佐に連れてきてもらえて良かったねぇと近所のおばさんムーブをかましていました。

あと、ひろめ市場のお土産屋さん閉店時間早すぎね。食事済ませてから買おうと思ったら閉まってた。


本題とは関係ありそうでない話をします。
1861年に、土佐の井口村と言う所で刃傷沙汰が起こりました。今で言う「井口村刃傷事件」です。そのまんま。
さらっと説明するならば、弟を殺された池田寅之進が仇討ちする話です。Wikipediaで概要が読めます。3分で読める。
どうせ誰も気付かないでしょうけど、私のユーザーIDはここから取っています。
もちろん、宇賀という名前も。
アイコンが牛さんなのは、私が牡牛座だからです。寅にしろよ。

日本人って仇討ち好きですよね。知らんけど。でも兄弟愛って萌えます。
この事件の背景には、色々とゴタゴタが潜んでいますが、知りたければどうぞお調べになってください。

ちなみに事件が起きた永福寺、土佐に存在します。高知城から路電に揺られて何駅か行ったところにあります。行きたかったけれど、時間が無くて行けませんでした。
前言撤回。バスの遅延を恨みます。

楽しみは今度に取っておくことにしましょう。これで再び土佐へ行く口実ができました。


閑話休題。
ホテルは高知駅近くの、歴史を感じる(笑)建物でした。ベッドは軋むし、壁は薄いです。カップルにはオススメしません。宿泊費をケチったせいかもしれませんが、寝床が確保できれば十分です。
一番困ったのは、部屋のドアの鍵が閉まらないこと。チェックインを終えて、荷物を置き、ひろめ市場に夕飯を食べに行こうとしていたときでした。いくら鍵を回せど、から回るだけで扉が空いてしまいます。電話を使ってロビーの従業員さんに相談しました。

従業員のおじさんにコツを教えてもらって、扉は閉まりました。
「この建物、古いきね」
鍵を閉める練習に付き合ってくれたおじさんは、軽々と階段を駆け下りて行きました。5階から。

おじさんに階段を使わせ、自分たちはエレベーターを使うことにさほど罪悪感を覚えることもなく、むしろ興奮していました。

古いきね。

土佐弁!!!
知ってる、「き」って「〜だから」って意味でしょ!知ってる!!!
古いからねって言ったおじさんの言葉、私、分かるよ!

土佐旅行の目的の一つに、生の土佐弁を聞く、というのがありました。聞いちゃった〜。しかも、ちゃんと意味が分かる私♡
一時期、土佐弁を勉強してました。だけど、私は土佐弁ネイティブスピーカーにはなれません。標準語ユーザーなもんで、方言への憧れは尋常じゃないのです。

埼玉の方言と言えばこれくらいです。
「それ、こわいよ(硬いよ)」

おばあちゃんが使ってました。
ネギとせんべいが有名な埼玉の方言です。覚えて帰ってください。

夕食を終えホテルで休んでいると、廊下の方からガチャガチャと音がします。同じ階の誰かが鍵に悪戦苦闘しているのでしょう。経験済みの私たちは苦笑いをして、その鍵がうまく挿さることを願いました。寝るには早すぎる時間だから良かったものの、真夜中にされたら土佐弁の可愛さでは免じきれません。

ホテルでの朝食は、ボリューミーでとても美味でした。でもあれですね。高知は味噌汁にそうめん入れるんすね。びっくりしました。切り干し大根が沈んでるのかと思ったら、そうめんでした。初めて食べたけど、案外美味しいです。
このことを母にLINEで話したら怒ってました。味噌味が合う麺類はラーメンだけだと、怒ってました。埼玉で。



土佐日記①は、この辺で終わりです。
旅行の前半にハプニングがありすぎて、後半はきっとインパクトに欠けます。
ですが、慎太郎さんの故郷、北川村へ行けたので、乞うご期待。

嘘!最後にやっべえことある!チョーやらかしてる!!!!!見届けて!

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