伊豆半島ロングトレイル - 4泊5日 100km
11月23日〜11月27日に4泊5日で、南伊豆〜西伊豆の遊歩道およそ100kmを歩きました。私にとっては3回目のロングトレイルです。
今回のロングトレイルは初めて1人ではなく弟と2人で歩く旅だったので、楽しく歩き切ることに主眼を置き、体力的難度が高いと思われる一部のエリアはスキップしています。
コース全体を通して見どころも多く、水や食料の補給もしやすいため、登山経験もほぼ無い私の弟でも歩き切ることは出来ました。ただ、全体的に整備されていない箇所が多く歩きやすかったとは言い難いです。
もっとたくさんの人が歩くような道になることで、より歩きやすい道になっていくと思いますので、今後歩く方にとって少しでも参考になる情報が提供できればと思い記事を書きます。
計画
当初計画
下記のような計画を組んでおりました。結果としては2日目と3日目は計画を変更して歩いています。
1日目 石廊崎 → 吉田海岸(10km)
2日目 吉田海岸 → 萩谷海岸(26km)
3日目 萩谷海岸 → 宇久須(27km)
4日目 宇久須 → 戸田(24km)
5日目 戸田 → 大瀬崎(11km)
計画の前提
私は今回が3回目のロングトレイルですが、一緒に歩く弟は未経験です。また、日没が早いので行動時間が短くなることを加味してトレイルに入るのは遅くても15時までと考えていました。
キャンプ場や宿泊地は予約しておらず、弟の歩くペース次第で柔軟に予定変更 or エスケープできることを重視して宿泊候補地だけリストアップしておき、当日の様子を見て決めることにしています。
実際に歩いたログ(YAMAP)
YAMAPの活動データも載せておきます。
装備リスト
別の記事に書きました。
1日目
初日はトレイルのスタート地点である石廊崎までの移動で半日を費やすため、石廊崎→吉田海岸までの10kmを歩く計画を組んでいました。
熱海から伊豆急下田駅までは「キンメ電車」に乗って1時間半ほどかけて移動します。
この電車は一部の座席が海側を向いているため、海を眺めながら下田駅までの電車旅を楽しむことができます。
伊豆急下田駅からバスに乗り換えて石廊崎まで移動します。バス移動も40〜50分程度。トレイルのスタート地点までの移動時間がとにかく長いです。
石廊崎
ようやくスタート地点の石廊崎に到着。11時半くらいだったと思います。
今回は Hyperlite Mountain Gear のJUNCTION 40 と、山と道のmini2 で行きます。1日目だけ私が mini2 を背負いましたが、2日以降はJUCTION40 に切り替えています。
石廊崎は観光客も多く「石廊崎オーシャンパーク」という綺麗なビジターセンターもあるので、スタート前にトイレに行ったり水を調達するのには困りません。
ビジターセンターから歩いて数分のところに灯台があり、素晴らしい景観が楽しめます。これからたくさんの絶景を見れると思うとワクワクします。
石廊崎をスタートしてから入間までは里山歩きが続き、それなりにアップダウンはありますがスタートから距離も短いので軽快に歩くことが出来ました。
入間 → 吉田海岸
入間到着時点で14時すぎ。この時期の日の入りは16時半頃なので、16時には宿泊地である吉田海岸に着いていたいと思っていました。ここまではまだまだ余裕がありましたし、そんなに距離も無いのでまあ大丈夫だろうと思っていたのですが想像以上に苦戦を強いられました。
入間までの区間よりもアップダウンは激しくなり、登山経験が少ない弟はかなり疲弊していました。登山経験がそれなりにであれば難なく歩ける場所ですが、体力に自信が無い方や歩き慣れていない方にとってはハードな区間になると思います。
倒木も多く、片側が崖になっているのに倒木が完全に道を塞いでしまっているような危険箇所もありました。
ただ、見どころがとても多く本当に美しい景観を見ながら歩くことができる区間でもあるので、もう一度歩きたいなと思う場所でもあります。
こんなに美しい場所でしたが、弟は疲れ果てすぎて見ている余裕が全く無かったそうです。終盤は死にそうな顔をしていました。
1日目の宿泊地:吉田海岸
なんとか日の入り直前に吉田海岸に着いてテントを張れる場所を探します。この日はとても風が強かったのでトイレ近くの木がある場所にテントを設営しました。
しかし、この場所はペグが全然入らず半分くらいの深さまでしか刺すことができません。私のテントは非自立式のためペグが浅いと強度がそこまで上がらないので、強風で何度か倒れてしまいました。
石でも固定しましたが、フライシートが地面から離れるとやはり風には弱いのでだめですね… タープだったら設営すらできなかったと思いますし、破れてしまうようなこともあるかもしれません。
宿泊地のほとんどが海沿いになると思うので、強風の日があることを前提に装備は選ばれたほうが無難だと思います。
吉田海岸のトイレは水が出ない
そうなんです、水が出ないのです。夏の時期は出ているのかもしれませんが、少なくとも私が行った11月は水が出ませんでした。
この日は季節外れの暖かさで気温が20度近くあったので普段以上に水を消費してしまい、テントに着いたときには二人合わせても1リットルもありませんでした。700 ~ 800mlくらいしかなかったと思います。
事前の調査では吉田海岸のトイレは水が出て、飲料水ではないが浄水器を使えば飲めるようだったので頼りにしていたのですが、まさかの水が全く出ない。トイレの水も流れないです。
近くには自販機や商店もありません。他のハイカーの方が2組ほどいらっしゃいましたが、皆さん水が無くて困っていたようです。仕方ないので翌日妻良につくまでは僅かな水で凌ぐことにしました。
2日目
吉田海岸 → 妻良
水が無いので朝食は行動食のみで済ませて早々にスタートします。水が調達できないとご飯もまともに食べられません。
吉田海岸から妻良まではトレイルに入ります。大体4kmくらいだったと思うので2時間あれば抜けられる距離です。そこまでアップダウンが多い道ではなかったので、途中で水は0になりましたが抜けることができました。
妻良に着いて最初に見つけた自販機で水を調達し、食べられなかった朝食を取ることができました。
妻良 → 落居口バス停 → 石部海岸 → 松崎
妻良を抜けた後は子浦日和山遊歩道を歩きます。
トレイルの起終点に熊の目撃情報の張り紙があったので、周囲に注意を払いながら進みました。伊豆でも今年は熊の目撃情報が複数あるので、熊鈴や熊スプレーは念のため携帯しておりました。
2日目もかなりの強風で、稜線に出たときには体がよろけるほどです。低い体勢で歩かないと前に進めないような状況でした。
両脇が切れ落ちているような場所もあったので、景色は良いのに緊張感のあるトレイルでした。日和山へ向かう稜線は絶景で強風でなければもっとゆっくりと景色を楽しみながら歩きたいトレイルでした。
トレイルを抜けて落居口バス停に出た後は高通山方面のトレイルへ向かう予定でしたが、昨日からの疲れを考慮してスキップすることにしました。
通常は一丁田バス停から脇道に入りますが、そのままロードを進んで夕日ヶ丘バス停まで進み、バス停のすぐ脇にある「カフェ&ネパールカレー ティハール」というお店で昼食と取ることに。
テラス席が沢山あるので、外でご飯が食べられるのはハイカーにとってはありがたいです。自分たちが汚いという自覚があるので、店内でご飯を食べるのは気を遣いますからね…
その後、夕日ヶ丘から石部海岸までバスで移動し、石部海岸から松崎まではロードを歩きました。荻谷海岸で宿泊予定でしたがまだ時間があったので松崎まで進むことにします。
宿泊地
松崎に着いてから海岸沿いを歩いてテント泊できそうな場所を探しましたが見つからないため、仕方なく堂ヶ島まで進んで場所を探すことにしました。
松崎のコンビニで調達してから堂ヶ島に向けて出発して少し歩いたところに、いかにもテント泊ができそうな場所が!トイレもあるし水も出るので宿泊地はここ「松崎新港」に急遽変更しました。
風除けになる木もあるし、ペグも刺しやすいしとても良い場所です。1日目は爆風に晒されながらのテント泊であまり寝られませんでしたが2日目は快適な場所を確保できました。
3日目
3日目のゴール地点は宇久須。2日目は元々荻谷海岸で宿泊予定だったところを松崎まで進んでいたので、少し余裕がある日程です。
松崎 → 堂ヶ島
堂ヶ島まではしばらくロードが続きます。
堂ヶ島は観光地なので見どころが多いですが「テントはどこに張れたのだろうか?」という感じで、松崎新港に宿泊しておいてよかったと思いました。
計画時の調査では宿泊している方の情報があったので、少しルートから外れて探せばあるのかもしれません。
堂ヶ島 → 安良里漁港
堂ヶ島のあとは2箇所トレイルに入ります。この日は曇りだったのもあって景観が良い場所がほとんど無かったので、あまり写真を撮りませんでした…
トレイル中、いくつか富士山が見えるというスポットがありましたが、全く見えず… 富士山が見えるスポットの木には、おそらく大きな動物のものと思われる爪痕が残っており、熊がいるんじゃないかなーと思ったりしました。
道も荒れている箇所が多く、人があまり入っていなそうな印象を受けたので注意して歩いたほうが良いと思います。
安良里漁港 → 黄金崎
安良里漁港から黄金崎へは長い1キロ弱の長いトンネル歩きがあります。トンネル内の歩道は大人1人が普通に歩ける幅はありますが、所々かなり暗い場所があり平衡感覚を失いそうになるのでライトはすぐに取り出せるようにしたほうが良いです。
後ろを歩く弟にはザックにメッシュポケットにライトを点滅させて入れておき、車からも認識されやすいようにしました。
1キロもトンネルを歩くのは初めてでしたが、トンネル内は換気されにくいため空気がとても悪く不快でした。1人歩ける幅があるとはいえ、バスが通るときはちょっと怖かったですね。
トンネルを抜けた直後に飲食店があったので少し遅めの昼食を取ることにしました。
宇久須はもうすぐそこだったので、誘惑に負けて二人でビールを… でも、こういう時間があるのもロングトレイルの楽しみです。
食後は黄金崎に少し寄り道をしていきます。馬ロック、という岩が有名らしいので寄り道して見に行ったのですが、想像以上に馬。
「馬に寄せて整備しているのでは?」と思ってしまうほど。
黄金崎にはキャンプ場があり、キャンプ場近くの海岸もとてもきれいな場所でした。ここで一度キャンプしてみたいです。
黄金崎 → 宇久須
黄金崎を後にして、本日の宿泊地宇久須キャンプ場へ。この時期は利用料が安くて、確か2200円だったと思います。
やっぱりキャンプ場はとても快適で、他のお客さんがいる安心感もありますし、トイレや炊事場もあるので不快なことがありません。このキャンプ場近くのホテルでは大浴場が利用できます。
宇久須の町中は飲食店などもほとんどやっていませんでしたが、コンビニはあるので食料調達には困りません。この日は風もほとんどなく、1日目・2日目の爆風が嘘のようでした。風が無いってめちゃめちゃ快適です。
4日目
4日目は26kmほどの工程で、トレイルに入る時間もそこそこ長くなる見込みです。この時期は日の入りが早いですし、14時すぎになるとだいぶ日も傾いて山の中では薄暗い場所もかなり増えます。
ゴール地は戸田でしたが、戸田の直前にもトレイルに入るので、明るいうちにトレイルに入って戸田に抜けられるのか不安がありました。
宇久須 → 恋人岬
キャンプ場を後にして最初の目的地である恋人岬に向かいます。
恋人岬に向かうトレイルの案内板には「比較的歩きやすい」みたいな説明があったのですが、いやいや全然そんなことないです。
急な階段をこれでもかというほど登らされます。案内板に騙された…なんて文句を言いながら歩き続けて、恋人岬に着きます。
男二人で恋人岬にいってもやることは無いので、写真だけ撮って少しだけ休んですぐに出発しました。
恋人岬 → 土肥
恋人岬からはすぐにトレイルに戻ります。観光客向けの道で帰れたら楽なのにと思いながら荒れた道を進みます。
西伊豆は南伊豆に比べて歩いている人が少ないためか、全体的にトレイルは荒れています。道がほとんど落ちてしまっているような場所も多いですし、倒木もとても多いです。
ルート自体はハードな場所はありませんが、足元にかなり気を遣うので必要以上に疲れます。
トレイルを抜けた直後にとても綺麗なトイレがあり、利用させていただきました。こういった場所を整備してくださる地元の方々に本当に感謝です。
ここからはしばらくロードが続きます。ロードを黙々と歩いてふと前を見ると富士山が綺麗に見えていました。
昨日は曇りで見えなかったですが、今日は綺麗に見えます。西伊豆は富士山を見ながら歩ける場所が多くて嬉しいです。
土肥の街が見えてきました。この街が見える瞬間は、なんとも言えない安心感がありますね。
土肥にはコンビニがあるので、本日戸田に着けなかった場合のことも考えて夜分の食料を調達しておきます。
土肥は温泉の町なので、観光客もたくさんいました。温泉に入りたかったですが、寄り道している余裕がないので先を急ぎます。
小土肥 → 舟山
小土肥から舟山までは少し長めのトレイルに入ります。これまで荒れた道ばかり歩いてきたので、トレイルに入る時は「ちょっと嫌だな」みたいな気持ちが正直ありました。
トレイルに入るとしばらくは上りが続きますが、登り切った後はアップダウンが少なくなり、とても歩きやすい道になります。
この区間のトレイルは歩きやすくて山も美しいので、とても気持ちよく歩くことが出来ます。そうそう、こういうのが欲しかった!という感じです。
西伊豆では一番好きなルートでした。また是非歩きたい場所です。西伊豆を歩かれる方は是非スキップせずに歩いて欲しいなと思います。
舟山 → 戸田
舟山からはしばらくロードが続きます。
小土肥からのルートが歩きやすかったので、コースタイムより45分ほど巻くことができ、なんとか日没前に戸田に着ける可能性が出てきました。
最後のトレイルの起終点に到着したのが14時半、コースタイムは45分だったので余裕で戸田に着けそうです。
この区間は一枚も写真を撮っていなかったのですが、山の中にはあまり光が入らずかなり薄暗く、15時前であってもあまり歩きたくない雰囲気でした。
戸田に到着
想定より早めに戸田に着くことができたので、まずは銭湯に行って疲れを癒やし、今日のテント場を探すことにしました。利用させていただいた銭湯はこちら↓
戸田でテント泊できる場所の情報が見つからなかったので現地で探すことにしていましたが、町の方ではテントを張れるような場所が無かったため、2キロほど歩いて御浜海水浴場まで移動してテントを張ることにしました。
私達以外にテント泊している方はいなかったですが、近くにトイレもあるのでテント泊には最適な場所でした。地面はちょっと柔らかすぎるかなと言う感じですが、風が強くなければ問題ありません。
5日目
最終日。今日は距離も長くないので少し遅めの出発です。
宿泊地を後にして戸田の街に戻ってから少し進んでところからトレイルに入ります。この区間は比較的歩きやすかったように思います。
どの区間にも東屋が必ずあるので、ルート全体を通して休憩するのに困ることはありません。ベンチも結構短い間隔で設定されています。
トレイルを抜けたあとはしばらくロードが続きますが、ここでも富士山がきれいに見えるスポットがあります。
ゴール手前の井田というエリアには明神池があり、池の周りを一周できます。
池自体は透明度が低く綺麗とは言えませんが、池の周りに東屋やベンチが沢山あり日当たりも良いので、とても穏やかな時間を過ごせます。
井田は印象に残る場所の1つでした。明神池以外にも海水浴場の方からは富士山がとても綺麗に見えますし、集落も美しいです。なんだか時間がゆっくり流れている気がして、何時間も座ってぼーっとできそうな場所です。
井田の集落を抜けたあとは少しロードを歩いて最後のトレイルに入ります。
短いトレイルを抜けると大瀬崎です。大瀬崎には大瀬神社があり、せっかくなので拝観料を払って入ります。神池はゆるキャンの聖地のひとつだそうです。
そして、大瀬崎の一番端まで進んで富士山が見える場所でゴールです。ゴールっぽい場所がなかったので、ここをゴールにしました。およそ100km、なんとか歩き切ることができました。
歩き終えて
ルート全体を通して整備されていない場所も多く足場に気を使うことが多かったですが、歩く人が少なければ道は自然に還っていくので仕方がないと思います。
南伊豆、西伊豆それぞれ違った魅力があり、南伊豆は想像以上にロードが少なく縦走登山のような歩きを楽しめますし、西伊豆はロード中心で山へ行ったり街へ降りたりの繰り返しになるので旅っぽい歩きができて楽しいです。
また、私が歩いた11月はキャンプ場以外でもテント泊ができる場所が多いので、当初計画したルートをなぞるだけでなく柔軟な歩き方ができるのも魅力です。国内のトレイルだとキャンプ場を利用しなければならない場所が多いですからね。
一方で、このトレイルの中で多くのお金を使ったのはコンビニでの補給で、本当にこれで良いのだろうかというモヤモヤは残りました。
コンビニがあって補給が出来るのはとてもありがたいですが、道を歩かせてもらっている以上は、消費のあり方も今後は見直したいと思います。
最後に
ここまで長文をお読みいただきありがとうございました。今後伊豆半島ロングトレイルを歩きたいと思っている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
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