【読書】取材・執筆・推敲 書く人の教科書/古賀史健
薄水色の少しマットな質感の分厚い本。3000円と税。
表紙と同じ色の帯には大きく「この一冊でいい。」
本屋の平積みに見つけた瞬間、購入した。
まだまだ途中ではあるが、少しずつ感想を書こうと思う。
前書きであるガイダンス、ライターはなにか、を読んだ瞬間
買ってよかったと心から思った。
取材したこと、調べたことをそのままに書くのがライターなのか?
違う。ぜったいに違う。
ぼくの答えは、「返事」である。
この言葉が心を打った。
取材相手への敬意が深いほど、返事はていねいになるだろう。取材相手を軽んじているほど、返事は雑になるだろう。返事(原稿)には、取材者としての姿勢がかならず反映される。
私はもちろんライターではない。
それでも、私の書くときの気持ちも手紙の返事を書くそれに似ていると思った。
本を読んで感想を書く。そういったことをしていた時期があるが、ぱったりと止んでしまった。本を読んでいないからだ。そして、きっと本以外のものにも何にもきちんと向き合っていないからだ。私は日々を生きながら、まとめるほどの思考をしていないのだ。それを一言でいい当てられた気がした。
インスタントな会話。インスタントな情報収集。インスタントな発信。深く悩まずにその場を凌ぐ方法。とりあえずでこなす仕事。便利な機器たちと、以前のように気軽には人に会えない状況、そこに浸っている自分が作り出した狭くてからっぽの世界。私が受け取ろうとしないばかりに、素通りしていくものたち。やろうと思ってる、書こうと思っていると溜まっていく便箋。
今の私は、誰に何の返事を書く必要すらないのだ。
そして、それはきっととても寂しい。
職を離れるときに、自分自身と向き合い話をすることの面白さと大切さに気づいたと思ったのに、いっときの感銘を忘れるのはこんなにも簡単だ。
暇ではない、つまらなくもない、自分を耕せばいいのだから。いい返事を書けるように、この本と一緒にレッスンしよう。
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