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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#55 歳出改革については、昨年末に閣議決定された改革工程に沿って進めることとしております

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 支援金制度は「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築する」と政府は言う。
「歳出改革」はどのように行うのか。


日付:2024年4月2日
会議名:衆議院 本会議
発言者:自由民主党 田中英之
内閣府特命担当大臣 新藤義孝

田中 若い世代が結婚や子供を持つことを決める際には、ライフコースを支える支援や制度が恒久的、安定的なものであるかが重要であるため、給付を裏打ちする財源をしっかりと用意しておくことが必要と考えます。岸田総理は、歳出改革等により社会保険負担軽減を図り、その範囲内で支援金制度を構築すると表明されており、支援金制度の構築に向けては、着実な歳出改革の積み上げと、民間で行われる中小企業をも含めた賃上げの支援によって社会保険負担の軽減を図ることが大前提となっております。
 野党の中には、税を元に子育て支援を拡充されようというお考えもあるようでありますが、デフレ脱却を目指す現下の経済状況等を踏まえ、岸田総理は、支援金制度の創設を含め、歳出改革を中心とした財源確保を決断されました。将来の子供たちに責任ある政府・与党としての適切な判断だと考えます。
 そこで、改めて総理に、今般の子供、子育て予算の財源を確実に確保していく決意をお伺いします。
 また、今後の歳出改革の進め方と、地方、中小企業が課題となる民間における賃上げをどのように支援していくのか、具体的な方針を新藤大臣にお伺いします。(…)
新藤 子供、子育て政策加速化プランの財源確保のための歳出改革の進め方についてのお尋ねをいただきました。
 この歳出改革については、昨年末に閣議決定された改革工程に沿って進めることとしております。
 改革工程は、医療、介護保険制度等を中心に、サービス提供の質の向上や効率化、生産性の向上など、幅広い取組を視野に入れた内容になっています。
 歳出改革の具体的な内容については、年齢にかかわらず、全世代が負担能力に応じて公平に支え合い、ひとしく恩恵を受けられる全世代型社会保障を構築する中で、毎年度の予算編成過程において検討し、公費の節減と保険料負担の軽減効果を二〇二八年度までに着実に積み上げることにしております。
 二〇二三年度と二四年度では、歳出改革により、三千七百億円の公費節減と三千三百億円の社会保険負担軽減効果を生じさせています。この取組を継続し、安定財源を確保してまいります。


参考資料等

全世代型社会保障制度改革とは

同日の閣議において決定された全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)(…)の「医療・介護制度等の改革」の「「加速化プラン」の実施が完了する二千二十八年度までに実施について検討する取組」に記載されたところにより検討した結果に基づいて行う取組をいう。

子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案 より

全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_shakaihosho_kochiku/dai10/siryou2-2.pdf

全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)の概要

2024年1月26日 第32回社会保障審議会 資料1 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について より

「医療・介護制度等の改革」の「2028年度までに検討する取組」

・医療DXによる効率化・質の向上
・生成AI等を用いた医療データの利活用の促進
・医療機関、介護施設等の経営情報の更なる見える化
・医療提供体制改革の推進(地域医療構想、かかりつけ医機能が発揮される制度整備)
・介護の生産性・質の向上
・イノベーションの推進、安定供給の確保と薬剤保険給付の在り方の見直し
・国保の普通調整交付金の医療費勘案等
・国保の都道府県保険料率水準統一の更なる推進
・介護保険制度改革(ケアマネジメントに関する給付の在り方、軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方)
・サービス付き高齢者向け住宅等における介護サービス提供の適正化
・福祉用具貸与のサービスの向上
・生活保護の医療扶助の適正化等
・障害福祉サービスの地域差の是正(能力に応じた全世代の支え合い)
・介護保険制度改革(利用者負担(2割負担)の範囲、多床室の室料負担)
・医療・介護保険における金融所得の勘案や金融資産等の取扱い
・医療・介護の3割負担(「現役並み所得」)の適切な判断基準設定等
・障害福祉サービスの公平で効率的な制度の実現(高齢者の活躍促進や健康寿命の延伸等)
・高齢者の活躍促進
・疾病予防等の取組の推進や健康づくり等
・経済情勢に対応した患者負担等の見直し(高額療養費自己負担限度額の見直し/入院時の食費の基準の見直し) 等

社会保険負担軽減効果
2023年度分 ▲0.15兆円(+0.09兆円は追加的な社会保険負担額から控除)
2024年度分 ▲0.17兆円(+0.25兆円は追加的な社会保険負担額から控除)

令和6年度社会保障関係予算のポイント 大臣折衝(6.「こども未来戦略」における実質的な社会保険負担軽減効果) より 「ファイナンス」令和6年4

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井川夕慈
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