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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#67 今回は控除をさせていただいているところでございます

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 支援金制度は、「歳出改革と賃上げによって社会保障負担額の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築する」と政府は説明する。
 そのため「社会保障負担額の軽減効果」を算出する必要があるが、2023(令和5)年度および2024(令和6)年度の「社会保障負担額の軽減効果」を算出するにあたっては、「医療、介護における現場従事者の賃上げ措置」の2100億円および「負担能力に応じた負担を求める等のための措置」の1300億円の合計3400億円を「社会保障負担額」の「増加」に含めなかったと言う。
 このことは妥当なのか。
 また、賃上げは当てにせず「歳出改革のみで一兆円を確保することを基本とする」ことと矛盾しないのか。


日付:2024年3月26日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者:立憲民主党 藤岡隆雄
厚生労働副大臣 浜地雅一

藤岡 続きまして、今回の支援金制度におきまして、いわゆる歳出改革をやって、その範囲内で支援金を、額を捻出するというのが基本だと思います。
 厚労副大臣、お待たせしました、済みません。
 それで、私、今回の中で非常にひっかかっておりますのが、資料をお配りしております、五ページ目の資料でありますけれども、公明党の河西委員も先日取り上げておりましたけれども、歳出改革をやっていわゆる〇・三三兆円、それを三年間で約一兆円だ、今回一兆円だ、その範疇でということだと思うんですけれども、突如歳出改革の中で一部控除したものがあるわけですよね。何でもこれは控除しちゃったら、結果的に、一回賃上げの議論に行っちゃうと頭がそっちに何か行っちゃうんですけれども、冷静に見て、そもそもこれは控除するべきなのか、控除していいのかと。控除しちゃったら、それは常に実質負担ゼロだという、政府の独自基準に基づく説明の、達成するためにこういうことになっているとしか私は思えないんですよね。
 これを控除されているということ、これは今後も毎年こういうふうに検討されるんだと思うんですけれども、これは控除することは本当に適切なんですか。
浜地 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、今回の支援金につきましては、診療報酬等の改定における医療、介護における現場の従事者の賃上げ措置につきましては、今回は控除をさせていただいております。また、前期財政調整の報酬調整導入、そして介護一号保険料の見直しについても、今回は控除をさせていただいているところでございます。
 特に、医療従事者等の賃上げにつきましては、やはりこれは、政府が総力を挙げて行う賃上げの、成し遂げなければならない非常に重要な取組の一環でございます。
 したがいまして、このような金額を控除をしたわけでございますが、あくまでも、この支援金制度につきましては、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険料の負担軽減効果を生じさせ、その範囲の中で構築していくものであります。そして、全体として実質的には負担が生じないという考えの下、行っておりまして、このように控除をさせていただいたところでございます。
 しかし、これらの控除したものは、賃上げ等により雇用者報酬の増加率が上昇することを通じて生じます社会保険料の負担軽減効果も踏まえて控除したものでありますことを御理解いただければと思います。

藤岡 賃上げが総力ある取組と、そういうのもよく分かるんですよ、それはそれで。さらに、雇用者報酬が上がって、保険料が上がって、その範囲内だということも、そういう説明も一つの説明だということも分かります。
 ただ、あくまで、歳出改革をやって、その範疇で支援金をやるというのは基本であるということを総理も答弁されている。それが基本であるということは、まず、これは政府の説明が三段論法になっているわけですね。それが基本である。それから、急遽、十一月、十二月ぐらいから出てきた、あ、十二月か、賃上げの話が入ってきて、そしてまた、法案の附則の四十七条になるとまた違う書き方になっている、ちょっと違うテイストになっているんですけれども、三段論法で国民の皆様に負担を、実質負担がないんですという説明が、複雑な、難解な方程式を解いてくださいというふうな説明になっちゃっているんですよね。もう私、こういう説明ってやめませんかと思うんですよ。
 本当に、今おっしゃったことも一つの考え方ではありますよ。でも、歳出改革の範疇から、これはしかも、全世代型社会保障の改革工程にも書いてあることじゃないですか。控除して説明すること、私は適切じゃないと思いますよ。歳出改革の粉飾をやっているとしか私は思えません。
 改めて、今後きちっと、歳出改革のこと、数字を出すときには、これはちゃんと一体的に全部合わせて出していただきたいと思うんですけれども、副大臣、どうでしょうか。
浜地 済みません、繰り返しの答弁になりますが、今回の支援金制度におきましては、政府の考え方は、あくまでも、まず歳出改革、そして、賃上げによりまして実質的な社会保険料の負担軽減効果を生じさせる、その範囲の中で、全体として実質的に負担が生じないように構築をしているところでございます。
 したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたが、特にこの賃上げ部分につきましては控除させていただいておりますが、これはあくまでも、賃上げにより生じます、雇用者報酬の増加率、これが上昇することを通じて生じます社会保険料の負担の効果も踏まえて控除しておりますので、全体として実質的に負担が生じることがないということの前提の中、制度設計されているものであります。
藤岡 歳出改革について、何だか抜いたり入れたり、そういうことがないように、私は、きちんとこれはやっていくべきだということをしっかり申し上げまして、私の質疑を終わります。


参考資料等

子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案

(子ども・子育て支援納付金の導入に当たっての経過措置及び留意事項)
第四十七条 政府は、この法律の施行にあわせて、(…)こども未来戦略(…)に基づき、社会保障負担率(…)の上昇の抑制に向けて、全世代型社会保障制度改革(…)の徹底を図るものとし、子ども・子育て支援納付金(…)の導入に当たっては、次項各号に掲げる各年度において、子ども・子育て支援納付金(…)を徴収することにより当該年度の社会保障負担率の上昇に与える影響の程度が、令和五年度から当該各年度まで全世代型社会保障制度改革等(…)及び労働者の報酬の水準の上昇に向けた取組を実施することにより社会保障負担率の低下に与える影響の程度を超えないものとする。

改革工程の概要

2024年1月26日 第32回社会保障審議会 資料1 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について より

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井川夕慈
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