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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#04 あらゆる方々に影響するから、価値観等の押しつけには当たらない

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 加速化プランの目標は「少子化トレンドの反転」であり、それは「結果として出生率が向上すること」だと説明された。
 しかし「出生率の向上」を目指すのはなぜなのか。
「結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであり、個人の決定に対して特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはなりません」と大臣は述べた。
 現在の結婚、妊娠、出産、子育ては、「個人の自由な意思決定」に基づいていないのだろうか。「個人の自由な意思決定」に基づいた結果が、現在の出生率ではないのか。
 とすれば、そこに「出生率の向上」の目標を置くことは、「特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすること」にならないか。


日付:2024年4月2日
会議名:衆議院 本会議
発言者:日本共産党 高橋千鶴子
内閣総理大臣 岸田文雄

高橋 こども大綱には、子供、若者の多様性が尊重され、尊厳が重んぜられ、固定的な性別役割分担意識や特定の価値観、プレッシャーを押しつけられることなく、主体的に、自分らしく、幸福に暮らすことができるよう支えていくとあります。同感です。
 しかし、政府は、人口減少に歯止めをかけなければ、社会保障のみならず、我が国の経済社会システムを維持することは難しいと強調しています。結局、経済優先ですか。若い世代に価値観と責任を押しつけてはなりません。(…)

岸田 (…)少子化対策に関する若い世代への価値観等の押しつけについてお尋ねがありました。
 結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであり、特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないと考えます。
 その上で、急速な少子化、人口減少に歯止めをかけなければ我が国の経済社会システムを維持することは難しく、それは、若い世代や将来世代も含め、あらゆる方々に影響することです。このため、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てができるよう、社会全体で若い世代を支えていくことが重要であると考えており、価値観等の押しつけとの指摘は当たらないと考えます。


参考資料等

こども大綱

3 こども大綱が目指す「こどもまんなか社会」
~全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会~

「こどもまんなか社会」とは、全てのこども・若者が、日本国憲法、こども基本法及びこどもの権利条約の精神にのっとり、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、ひとしくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会である。

 具体的には、全てのこどもや若者が、保護者や社会に支えられ、生活に必要な知恵を身に付けながら

・心身ともに健やかに成長できる
・個性や多様性が尊重され、尊厳が重んぜられ、ありのままの自分を受け容れて大切に感じる(自己肯定感を持つ)ことができ、自分らしく、一人一人が思う幸福な生活ができる
・様々な遊びや学び、体験等を通じ、生き抜く力を得ることができる
・夢や希望を叶えるために、希望と意欲に応じて、のびのびとチャレンジでき、将来を切り開くことができる
・固定観念や価値観を押し付けられず、自由で多様な選択ができ、自分の可能性を広げることができる
・自らの意見を持つための様々な支援を受けることができ、その意見を表明し、社会に参画できる
・不安や悩みを抱えたり、困ったりしても、周囲のおとなや社会にサポートされ、問題を解消したり、乗り越えたりすることができる
・虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、暴力、経済的搾取、性犯罪・性暴力、災害・事故などから守られ、困難な状況に陥った場合には助けられ、差別されたり、孤立したり、貧困に陥ったりすることなく、安全に安心して暮らすことができる
・働くこと、また、誰かと家族になること、親になることに、夢や希望を持つことができる

社会である。
 そして、20代、30代を中心とする若い世代が、

・自分らしく社会生活を送ることができ、経済的基盤が確保され、将来に見通しを持つことができる
・希望するキャリアを諦めることなく、仕事と生活を調和させながら、希望と意欲に応じて社会で活躍することができる
・それぞれの希望に応じ、家族を持ち、こどもを産み育てることや、不安なく、こどもとの生活を始めることができる
・社会全体から支えられ、自己肯定感を持ちながら幸せな状態で、こどもと向き合うことができ、子育てに伴う喜びを実感することができる。そうした環境の下で、こどもが幸せな状態で育つことができる

社会である。

こども未来戦略

○ 少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。
(…)
○ こうした急速な少子化・人口減少に歯止めをかけなければ、我が国の経済・社会システムを維持することは難しく、世界第3位の経済大国という、我が国の立ち位置にも大きな影響を及ぼす。人口減少が続けば、労働生産性が上昇しても、国全体の経済規模の拡大は難しくなるからである。今後、インド、インドネシア、ブラジルといった国の経済発展が続き、これらの国に追い抜かれ続ければ、我が国は国際社会における存在感を失うおそれがある。

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井川夕慈
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