子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#34 医療保険制度はこの三つ(保険料・公費・自己負担)のバランスから成り立っておりまして……
(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
支援金は、集める総額を先に決めて、それを各医療保険者に割り振る。それをさらに被保険者等に割り振る。
ところで、医療保険制度は医療のために創られた制度である。
医療のために構築されてきた制度を使って、制度の外部から課される負担を公平に分割することは可能なのだろうか。
足立 それで、私から通告を申し上げている話にちょっと移りますが、大臣が再三強調されている医療保険料の応能性という話ですね。これについては、別に子供政策と関係なく、医療保険あるいは社会保険の応能負担ということは、これまでも応能負担だった。これまでも応能負担だったけれども、改めて。
では、順番に行きましょう。まず、これまでの社会保険における応能負担、応益負担の適用の基本的な考え方、これをちょっと御紹介ください。
伊原 お答えいたします。
我が国の医療保険制度におきましては、国民にとって必要かつ適切な医療をしっかり保障していくということと、国民皆保険制度を持続可能なものにする、こういう考え方の下で、医療費の負担につきましては、全ての被保険者、加入者が負担する保険料と、税を財源とする公費と、そして実際に医療を受けた患者自身が負担する窓口負担、これを適切に組み合わせて、バランスを取って運営していくということが、運営の基本的な考え方だと認識しております。
その上で、多分、御指摘は保険料のことだと思いますけれども、保険料につきましては、負担能力に応じた負担の観点から応能負担の考え方を基本としておりますが、地域保険制度である国民健康保険や後期高齢者医療制度におきましては、無職や低所得者の方、あるいは自営業など、多様な就業状況の方が加入していることに鑑みまして、応益負担の考え方も組み込んだ上で、低所得者には一定の負担軽減措置を講じるところでございます。
また、一部負担金につきましては、被保険者間の負担の公平性等という観点から、給付に関する応分の負担として、原則として定率の自己負担、こう設定しておりますけれども、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないようにする観点から、自己負担限度額を設定して、それを上回る自己負担については高額療養費制度で負担軽減を行う、こういう仕組みを加え
足立 多分、専門家の方々からしたらこれは当たり前の話だと思うんですが、私はこれは素人なので、ちょっと素人の質問をさせていただきますが、応能負担というのであれば、なぜ上限設定が要るんですか。
伊原 まず、応能負担ではございますけれども、これは社会保険制度という仕組みなので、保険という仕組みですから、掛けた保険料に対する給付がそれなりに見合っている必要がある。そういう意味で、非常に高額な所得の方に定率負担を課して非常に高額な保険料を取った場合に、取る保険料と医療で返ってくる部分のアンバランスが余りに大きいと、やはり社会保険制度としての保険料納付意欲とかをいろいろ考えたときに難しいということから、元々、賦課限度額という上限を決めているところでございます。
足立 まさにそうなんですね。だから、抽象的な意味での応能負担じゃないんですよ。今おっしゃったように、修正応能負担ですよね。だって、上限があるんだから、保険料に。まあ、高額療養費もあるけれども、保険料に上限がある。
だから、それは、いわゆる典型的な応能性ではなくて、上限をつけた修正応能性だということでいいですね。
伊原 お答えいたします。
先ほど、医療保険の医療費の財源について三つあると申しました。一つは保険料、それから公費、それから患者さんが出す自己負担でございます。医療保険制度はこの三つのバランスから成り立っておりまして、先生御指摘のように、保険料に関していうと上限が決まっておりますけれども、公費の部分については、消費税もございますが、所得税、これは当然、応能負担という形で、定率ではなくて累進制になっております。こうしたようなことを総合的に勘案してでき上がっているというふうに御承知いただければ。
足立 まさにそのとおりで、もうむちゃくちゃ私は我が意を得たりなんだけれども、そういうことなんですよ。だから、税の割合というのは変わっていっていいんですよ、少子高齢化の中で。
という議論を、厚労委ののりを越えますのでもうやめますけれども、私はやはり、それは、税の議論も含めて、もう大臣には再三言ってきたけれども、社会保障と税の一体改革というのは、消費増税が一〇%になったから終わりじゃないんですよ。これからもやり続けないといけない。そのときに、後期高齢者医療の税財源化ということを問題提起として我々は申し上げているという、ちょっと文脈だけ申し上げておきたいと思います。
今の話は、もうちょっとここではやめますが、今の話は、だから少子化対策に使うのはおかしいと僕らは言っているんですよ。
今局長から御答弁があったように、医療保険料なりこの医療保険のフレームというのは、まさに医療サービスという給付とダイレクトに結びついているからできている上限設定であったり、様々なバランスなんですよ。それは、医療サービスと直接的に受益と負担の関係が国民から見て分かる、そこにとどめておくからこそでき上がっている負担構造なのに、その負担構造を、遠い遠い、さっき言った産業政策に見まがうような、少子化対策という元々関係ないところまで手を伸ばしちゃってそこをつかみにいくと、それは、そもそも社会保険制度の、あるいは医療保険制度の受益と負担の関係を壊してしまうんじゃないかということが、ねえ、中島さん、間違っていますか。(発言する者あり)だから、今、橋本岳筆頭がおっしゃっているのは、それは三党合意のときに、もう子供は社会保障だということで入れたんだと言っているんだけれども、それはもう消費増税をするためだけの詭弁だったし、それから、それを言うのであれば、消費増税すると言うべきですよ、政府は。
ところが、三党合意のときは少子化対策の財源は消費税に求めると言いながら、今回は医療保険に上乗せすると言う。それを昨日も一谷さんから、政策が変節したんじゃないかということを申し上げたら、三党合意から転換したとの御指摘ですが、その時々の社会経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものであると考えているので指摘は当たらないと。何を言っているか分からないですよね。だから、昨日の本会議はむちゃくちゃ面白かったわけですよ。総理は、答えられませんと言っているわけですよ、総理が。だから、少子化対策の財源に医療保険の上乗せを使うという政府・与党の今回の取組はもう破綻しました、昨日。
だから、昨日は全部、設計どおり、総理の答弁を取ったんですよ。そして、今日は伊原局長とやり、大臣は閣僚で政治家だからなかなか言いにくいこともあると思うので、でも、伊原局長は一番分かっている、これはやはりおかしいと思っているんですよ。(発言する者あり)みんな、おかしいと。共産党もおかしいと思っている。最近、共産党さんと意見が一致することが多いんですけれども。
ごめんなさい、ちょっと、余り言っていると。これはまたやりましょう。言いっ放しで、多分反論したいと思うんだけれども、反論の機会はまた別途提供しますので。そういうことです。
参考資料等
各医療保険制度の保険料の負担構造