子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#74 今後のことについてはもちろん決めているということではございません
(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
支援金の総額が決められているのは2028年度までである(1兆円)。
2029年度以降はどうするのか。
足立 この社会保障については、これはちょっと通告できていないんだけれども、今日の質疑で社会保障負担率という議論が出てきましたよね。ちょっと、熊木さん、対応できるかな。先日も階猛議員が、〇・二二とか、大臣とやり取りして、それは試算的な、〇・二二増えるんだという話がありましたけれども、社会保障負担率はこれからどうなっていくのかというのをちょっと確認しておきたいんですけれども。
これは実質的な負担増にならないということでの指標として導入されているわけですけれども、これは、五年、加速化プランの期間だけの間は社会保障負担率が増えないのか、これからも日本政府は、自公政権は社会保障負担率を上げていく予定はないのか、どっちですか。
熊木 幾つか要素があったかと思いますが、社会保障負担率というのはやはり重要な指標ですので、しっかりと、上がらない、上がっていかないように軽減といいますか対応をしていくというのがまず一つのベースラインでございます。
支援金を導入することによってそれが上がることがないように、歳出改革、及び賃上げも含めてでございますが、そういうことを行って、社会保障負担率が上昇しないような範囲で支援金を構築すると申し上げています。
今後は、自然増みたいなものを、先ほど御議論がありましたので、それがどういうふうに影響するかというのが、社会保障負担率という、分母、分子でいえば分子の課題でございます。分母につきましては、賃上げなり、国民所得がどれだけ上がっていくか、こういう相対的な規定になります。
ただ、二〇二八年、三・六兆円、この支援金を、一兆円を導入するに当たって、社会保障負担率が上がらないようにしっかりと歳出改革を行っていくというのが基本と申し上げまして、その後につきましては、分子につきましては基本的には子供の数によると申し上げていますので、子供の数は当然ながら、高齢化等によって、増えていくものではないということでございますので、分母、分子の関係によって社会保障負担率は変わりますけれども、二〇二八年度導入について枠組みを決めるというのが一番重要で、それを決めさせていただいているということでございます。
なお、足下では社会保障負担率は下がってきているということであります。
足立 今の御答弁はこれまでもいただいている話で、よく分かります。
伺っているのは、その後、社会保障負担率がどうなっていくかでありますが、それは、政府は、いや、私たちがなぜ支援金について議論しているかといったら、この後やりますけれども、負担構造上、支援金、社会保険料というのは現役世代の負担が大きいということなので、これが、今回はともかく、これからもこの支援金がどんどん活用されていくとなると、やはりそれ自体が少子化対策に反するのではないかということがこの委員会でずっと議論されてきたテーマなんです。
すると、社会保障負担率は、おっしゃった、二〇二八年、三・六兆の一兆円の議論だけではなくて、今後も、確かに経済情勢はどうなっていくか分からないんだけれども、そんなことを言えば、財務省の財政運営だって全部そうですよね。その中で、例えばPBとか、いろんな議論を目標を決めてやってきている。
だから、皆様が、こども庁がこの支援金制度を創設するに当たっては、例えば、社会保障負担率は上げないんだ、その範囲内で支援金で国民に協力を仰ぐんだということを本当は言ってほしいんだけれども、今回はそこはコミットしていないということですね。
熊木 済みません、ちょっとお答えになっていないかもしれませんが、今回の支援金の導入に当たって社会保障負担率が上がらないようにする、これはコミットをさせていただいているということでございます。
今後のことにつきましては、少子化の中で児童の数が増えていくというのはちょっとなかなか当面は難しいようにも思いますが。あとは、数につきましては、私どもとしては、少子化対策を担当している立場からは増えていただきたいという気持ちがありますので、余りそれにコミットを、増えないというコミットをするということはないんですが。
ただ、数と、それから事業ですね、事業は法定化しているとずっと申し上げていますから、費用が増えるとすれば、数が増えるのか、事業が増えるのかということだと思いますが、事業が増えるということについてはしっかりと法案に書き込んでいるので、それは国会の御審議がなければない、政府が勝手に増やせるものではないというふうに申し上げてございます。
足立 ちょっと熊木さん、歩く距離が、申し訳ないんですけれども。
今の御答弁は、子供が増える、増えないという話と、支援金を使うかは別でしょう。私たちが今議論しているのは、支援金を使うかどうかなんです。税を使うことは否定していないんですね、だって、これまでも使ってきているんだから。
今回はまさに、今日議論があったように、政府は新しい支援金制度をつくったわけです。その支援金の使い方について議論しているときに、いやいや、子供が増えれば、減れば社会保障負担率がどうという議論、もちろんありますよ、それはありますけれども、もし、また将来本当に子供が増えれば、それは税収となって返ってくるわけですから。だから、まさにずっと議論してきているように、それだったら、本当に増えてきたら、それは国債でもよかったねということになるわけであります。
だから、子供が増えるか減るかコミットできないからコミットできないというのは何かよく分からなくて、私たちは、支援金の使途についてなぜコミットしないのかと言っているわけですね。
支援金の使途については、二〇二八年以降、二〇二九年以降についても社会保障負担率が、支援金を使うことによってそれが、支援金を措置する、支援金を例えば今度国会で議論して二兆円にしますというときに、それが社会保障負担率の上昇にならないようにするというのは私は当たり前だと思うんですね。それは二八年までだけじゃなくて、ずっと支援金というものはそういうものであるべきだ。
二八年まで支援金はするものであるべきなんだったら、それ以降もするものであるべきではないかと言っているんだけれども、どうですか。
熊木 二つの論点があったかと思います。
まず、事業については法定化しているので、これを増やすということについては国会の御審議なくばできないということでございます。
それから、仮にそれを増やす判断があったとしてということかと思いますが、その際に、じゃ、仮に一兆円を更にプラスした二兆円の支援金になるとき、このときは歳出改革で、見合いの歳出改革をして社会保障負担率が上がらないようにするのかという御質問だと思いますが、さすがに、今回の枠組みを決めさせていただきましたが、今後のことについてはもちろん決めているということではございません。
一つ言えますのは、前半について言えば、かなり使途自体が、今回かなり厳格に決めさせていただいたというのは何回か申し上げたとおりですので、何でもかんでも使えるものではない、ましてやということでございます。したがって、二兆にするという仮定のところ自体が、しっかりとまず吟味をする必要があるんだろうというのが一つ。
もう一つは、今回、こういう御議論があって、歳出改革の中で、実質負担がない、そういう範囲内で支援金をつくるんだ、二〇二八年度と申し上げていますので、この国会での御審議というのは、一つの大きな経過として、支援金制度においての議論のスタートラインにはなるんだろうというふうには考えます。これは、感じているという、残念ながら感想になってしまう点は御容赦いただければと思います。
足立 今の話は、だから、今度、二〇二八年を経てまた国会でこの枠組みが議論されるときには大きな論点になるということで、頭出しをしておきたいと思います。
今日、一谷議員が総理に質問させていただいた論点が幾つかありました。今の支援金の規模が拡大していくのではないか、これが一つですね。それからもう一つ、二問目に一谷さんが総理に申し上げたのは、医療保険料自体は応能負担というものを強化していこうとしている、これについて支援金についても同様の改革、支援金改革というのはやっていくべきじゃないのか、こういう御質問を申し上げましたら、総理は何か、方向だ何だとよく分からない御答弁でした。
大臣、これは総理と同じ御答弁になるね。ちょっと一応お願いします。
加藤 お答え申し上げます。
医療保険制度を含め、社会保障制度の持続可能性の確保の観点から、全ての国民がその能力に応じて負担し、支え合う全世代型社会保障の構築は重要であり、先日の厚生労働大臣の答弁は、こうした方向性についてお話があったものと承知をしてございます。
支援金は、医療保険料と併せて徴収するものでございまして、医療保険制度に準じて負担能力に応じた仕組みとしてございます。そのため、医療保険制度において応能負担を徹底する観点から、保険料の賦課徴収を見直す場合には、支援金も同様の取扱いとすることが基本になると考えられます。
足立 応能負担については厚労委でさんざんやってきていますが、是非、支援金についても改革をやっていくのは当然であると。ただ、マイナンバー、そういう目的でちゃんと使われていませんから、それはこれからもやっていくということです。
参考資料等
子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案