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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#11 学習院大学長「あれは保険ではなく、あくまでも保険の徴収システムを使っている徴収制度だ」

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 支援金は保険料、と政府は言う。
 学者はどう考えているのか。


日付:2024年4月9日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者:日本共産党 高橋千鶴子
学習院大学長 遠藤久夫

高橋 遠藤参考人に伺います。
 先生は、支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会の座長であられました。昨年十二月の第二回の議事録を見ますと、支援金の性格について多くの構成員の方から意見が出されておりました。この間ずっと予算委員会や本委員会で議論をされている社会保険の逆進性なども議論されていると思います。
 それで、例えば、商工会議所の代表からは、支援金とは何か、社会保険料という位置づけとは説明されていない、このような指摘があり、安易に支援金の拡大でなし崩し的な対応がなされることがないようにお願いしたい、つまり、引上げはこれ以上しないようにというくぎを刺しているのかなと思って聞いておりました。
 当時は、社会保険のルートを使うけれども社会保険ではないと説明をしていたと思います。しかし、本日、立憲の早稲田議員からも紹介がありましたように、もう社会保険料として整理されるという答弁があったわけです。
 そうなると、社会保険料というのは給付と負担の状況を鑑みて見直しがされていくわけで、引上げも当然されていくという理解になると思いますが、いかがなんでしょうか。また、当初の議論から見ておかしくないのか、伺います。
遠藤 ありがとうございます。
 私、その検討会の座長をさせていただいて、そのような御意見もありました。ほかにも様々な御意見がございました。そういう意味では、基本的には支援金を保険の徴収システムの中で徴収するという枠組みの中での議論だったわけでありますけれども、様々な御意見が出ていたわけで、もちろんそれに対する反対の意見もあったわけでありますけれども、多くはその枠組みの中の議論でした。
 そこで、私は、実は今でも、あれは保険ではなく、あくまでも保険の徴収システムを使っている徴収制度だ、こういう理解でいるわけであります。それはなぜかというと、保険ではない、リスクのヘッジという形ではないからだということで、そういう理解をしておるわけであります。
 それから、保険制度であろうがなかろうが、給付額が増えてくれば負担を増やさなければならないということは当然の話になるわけでありますから、それについては、どの財源を使うのかという議論は当然出てくるとは思いますけれども、これは保険でなくてもそういう話は出てくるのかなというふうに思って、私が御質問を正しく理解しているかどうか、申し訳ないんですけれども、取りあえず、そんなようなお返事をさせていただきたいと思います。


参考資料等

支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会構成員

(五十音順)
 ◎座長

五十嵐克也 日本商工会議所理事・企画調査部長
伊奈川秀和 東洋大学福祉社会デザイン学部教授
井上隆 日本経済団体連合会専務理事
◎遠藤久夫 学習院大学経済学部教授
菊池馨実 早稲田大学理事・法学学術院教授
北川博康 全国健康保険協会理事長
権丈英子 亜細亜大学経済学部長
佐藤麻衣子 株式会社ウェルスプラン代表取締役
佐野雅宏 健康保険組合連合会副会長
袖井孝子 NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長
原勝則 国民健康保険中央会理事長
三日月大造 滋賀県知事 全国知事会子ども・子育て政策推進本部本
部長
村上陽子 日本労働組合総連合会副事務局長
横尾俊彦 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長

遠藤久夫

研究分野:医療経済学 医療政策論
(学歴)横浜国立大学経済学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了、一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学
(職歴)保険会社、民間シンクタンクを経て1997年より学習院大学経済学部教授、2017年より国立社会保障・人口問題研究所所長、2020年より学習院大学教授に復職、2024年より学習院大学長。

学習院大学経済学部ウェブサイトより

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井川夕慈
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