子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#64 社会保障関係費以外の経費を対象とする歳出改革につきましては、防衛力強化のための財源として整理されている
(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
歳出改革は、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に沿って進める、と政府は言う。
しかし歳出改革の対象は、社会保障分野に限られるわけではないだろう。
社会保障以外の分野では、歳出改革を行わないのだろうか。
また、社会保障以外の分野での歳出改革から生み出される公費節減効果を少子化対策に充てることは考えなかったのだろうか。
高橋 それで、続きまして、資料三の囲みの中にあるように、既定予算の最大限の活用を行うほか、二〇二八年までに徹底した歳出改革を行い、それによって得られる公費削減の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用するとあるわけですね。それで、二つ目には、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担が生じないこととすると。非常にたくさんの要素が入っている。
それで、最初にこの答弁を聞いたときに、単純に、賃上げが進まないと加速化プランはやれないという意味なのかな、そう思っちゃったんですね。そのくらい分かりにくい。それから、批判が集まるのも、そうした金額が多い少ないとか、中身以前に、なぜそうした幾つもの条件を並べ立てて複雑な制度にする必要があったのかということなんです。逆に言うと、これだけ必要なんだったら、その分その予算をこういうふうに、負担増にしないとか、差引きゼロですとか、そういう話ではなくて、こういうふうに必要なんですというちゃんとした説明をするべきだ、そう思うんです。
それで、歳出改革の徹底は社会保障改革の工程表によるといいます。最近も、出生数が過去最低であったと報じられたばかりです。少子化対策は、若年人口が急激に減少する二〇三〇年度までがラストチャンスだと政府は言っているわけです。それで、このため、政府としても、若者、子育て世代の所得向上に全力で取り組むと言っています。
では、質問しますが、この加速化プラン、こども未来戦略、国を挙げて取り組むと言っているわけですよね。それをなぜ、社会保障改革の中でのみ、やりくりをするんでしょうか。内閣官房に。
竹林 お答えいたします。
今般の少子化対策は、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という従来の社会保障の構造を転換し、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合う全世代型社会保障の構築に向けた柱の一つとなっております。
今般の少子化対策のための財源確保に向けた歳出改革、今御指摘いただいたことにつきましては、こうした全世代型社会保障の考え方を踏まえまして、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきまして、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程における医療、介護制度等の改革を実現することを中心に取り組むこととされているところでございます。
なお、社会保障関係費以外の経費を対象とする歳出改革につきましては、防衛関係費が非社会保障関係費であることを踏まえまして、防衛力強化のための財源として整理されているものと承知をしております。
高橋 今はっきりとお答えになったと思うんですね。
全世代が支え合う社会保障だといって、全世代型社会保障改革の報告書には、この少子化を克服できるかどうかが国の存亡に関わる問題だとはっきり書いているんですね。国の存亡に関わる問題なのにどうして社会保障のやりくりだけなのかと聞いたら、いやいや、社会保障予算以外は防衛力強化に使うからだと。これはちょっと驚きの答弁だと思うんですね。国を守ることと子供たちの未来を守ることは同じだと、岸田総理がいつぞやおっしゃいました。これは突っ込みどころ満載過ぎて、国を守るどころか、殺傷能力のある武器を外国に輸出するとか今言っているわけですね。
つまり、防衛どころか、攻撃に国がシフトしようとしている。一方では、そのための予算として国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金の流用や復興財源の流用から商工中金の積立金まで、ありとあらゆる流用で社会保障も傷つけているじゃありませんか。違いますか。
竹林 お答えいたします。
申し上げましたように、今回の少子化対策は全世代型社会保障の構築の一つの柱ということになっておりまして、その中には、医療、介護の改革を行うこともセットで書かれているところでございます。
そうした考え方、防衛財源の話につきましては直接私は担当でございませんのであれなんですけれども、あくまでも、その社会保障の在り方を全世代型に転換していく、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合うという考え方に沿って少子化対策の財源をしっかり確保し、一方で、医療や介護の改革も進めていくというものと考えております。
高橋 到底答弁にはなっていなかったと思いますし、国民も納得できるものではない、このように思います。
参考資料等
新たな防衛力整備計画に関する財源確保について