子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#76 後期高齢者医療制度を持続的なものにしていくという御趣旨を何とか理解していただきまして……
(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
「少子化、人口減少に歯止めをかけることは、医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に重要な受益となる」と政府は言う。
しかし、仮に支援金を充てる事業によって少子化、人口減少に歯止めがかかるとしても、医療保険制度の持続可能性が高まるのは、増えた子どもたちが成人して税や保険料を負担するようになる約二〇年先以降ではないのか。
支援金は、現在の後期高齢者も負担する。
受益は、現在の後期高齢者にも生じるのだろうか。
大島 この法案は、全世代でこれを支えていくという、そして実質負担ゼロの制度だというふうにもう喧伝しているわけですから、じゃ、そのことが本当にそうなのか、国民が本当にそれを納得できるのかというようなことを視点として質問したいと思いますが。
まずは、高齢者の皆さん、高齢者医療制度、これも負担が非常に厳しいと。それで、高齢者の方は、年金も目減りして大変だと、物価が上がって本当にもう生活が苦しいんだという人からまた支援金を取ると。こういう人たちに対する実質負担ゼロの中身は何ですか。
古賀 お答え申し上げます。
高齢者の方も含めて、今回の制度の趣旨についてしっかりと御理解いただくということは誠にもって重要な取組だと私自身もそう考えております。
今、その負担の話についてはこれまでもるる申し上げてまいりましたけれども、歳出改革によって、その支援金の導入に見合った社会保険料の負担軽減を行う、あるいは、その支援金を所得に応じたものとして、低所得の方に対しては負担軽減措置も講じる、負担能力に応じた拠出となるように、そういった制度に仕組んでいく、こういったことを考えているところでございまして、そういったことも含めて、しっかりと全世代、全経済主体でこの子ども・子育て世帯を支えていく、こういった趣旨を御理解いただけるように努めてまいりたいと、このように考えております。
大島 いやいや、もう今のでね、じゃ、高齢者の人が、ああ、そうか、実質負担ゼロだなというふうに感じた人は誰もいないと思いますよ。
厚労省、今日来ていただいているんで、厚労省として、担当省庁として、今回こういう法案ができるに当たって、後期高齢者にも負担をお願いするに当たって、どういう厚労省としてはそのフォローができるというような意思でこの法案の作成に関わったんですか。
塩崎 大島委員の御質問にお答えします。
大変大切な指摘だというふうに思います。
繰り返しになりますが、今回の支援金制度、この加速化プランにつきましては、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える仕組みとして設計をしております。
御質問のありました点について申し上げますと、後期高齢者の医療制度、これは、医療給付費の約四割を現役世代の負担によって支えております。そういう観点からは、急激な少子化、人口減少にこのプランで歯止めを掛けていくというこのこと自体が、将来の医療保険制度を支える支え手を確保して、長期的に見た後期高齢者医療制度の持続可能性をつながることになるというふうに考えております。
こうした趣旨について、今御質問もありました点の趣旨を踏まえて、しっかりと後期高齢者の方々に対してもこれからも分かりやすく説明をし御理解をいただく努力を続けていかなければならないと考えております。
大島 少し、今のは、まあそういうことあるよなというのは感じると思うんです。
要は、一番分かりやすいのは、年金は今まで多くの人で支えてきたけれども、それがもう三人に一人とか二人に一人とかいうような時代になっていくから、この支え手を増やすという意味で子供を増やしていく、こういうことで、将来的にですよね、将来的に、この後期高齢者の皆さん、そのときには、ああ、自分はもういないなとか、大体の人はそう思っていると。
だから、じゃ、今、その人たちに何か、それを厚労省は考えて、恩恵がないのかなという、そういう議論はなかったんですか。
塩崎 大島委員が今御指摘されたような形で、今何か新しい仕組みをつくって直ちに後期高齢者の方々に対する給付等を行う、こういったことは今回考えていないわけでございますが、今まさに御説明させていただいた、より長期的なスパンにおいて、この後期高齢者医療制度、これをしっかり持続的なものにしていくという御趣旨を何とか理解していただきまして、御協力いただければというふうに考えているところでございます。
大島 いやね、もし私が提案をするとするなら、後期高齢者の医療制度に加入している人の恩恵はもう亡くなってあの世に行かれたようなときにしかないなと思ったら、もうそこからはもらわないとかね。で、逆に、今、市町村なんかとも連携していくんだったら、当然、市町村ではいろんなシルバーの関係に対する恩恵を被るいろんな制度をやっているわけでしょう。そうすると、そういう提案をするのか、また国がそういったことを市独自でやってくれたところにこういう交付金みたいなやつを出しますというようなことを呼びかけて、知恵を出してもらって、後期高齢者の皆さんに対するそういう負担実質ゼロを目指すと。
だから、例えば二百円、三百円の負担が掛かるわけだから、実質ゼロというのは、二百円、三百円出したのが二百円、三百円返ってきてプラマイゼロというふうに考えるのが国民でしょう。だから、そういったことを厚労省が、国だけの感覚じゃなくて、地方はもっと知恵を使っていろんな後期高齢者の皆さんに対する、やっぱりお年寄りにいろんな知恵を出しているわけだから、そういうことを厚労省としてこの法案を作るときにやっぱり議論していくのが国民の視点の声の代弁だというふうに私は理解しているわけです。
次の質問がありますから、是非、厚労省、そういったことを、今後まだまだこれからいろんなことをできるはずなんですから、それで実質負担ゼロを実行してもらいたいというふうに思います。
参考資料等
後期高齢者1人当たり保険料の推移