見出し画像

子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#61 メニューからどれを採用するか、これについては今後も議論を続けてまいります

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 政府が検討する歳出改革のメニューには、自己負担増(利用者負担増・窓口負担増)を伴う項目が含まれている。
 これらの項目を実行することによる自己負担増の効果は、いくらを見込んでいるのか。


日付:2024年3月2日
会議名:衆議院 予算委員会
発言者:日本共産党 宮本徹
内閣総理大臣 岸田文雄
内閣府特命担当大臣 新藤義孝

宮本 これは一般質疑でもお伺いしましたけれども、子育て支援の財源として、この支援金の負担増に加えて、医療、介護の国庫負担一・一兆円削減しようとしております。介護保険利用料の二割負担、三割負担の拡大、後期高齢者医療の三割負担の拡大、ケアプランの有料化、要介護一、二の生活援助の保険外し、先発医薬品の自己負担増等々、改革工程表の中ではたくさんのメニューが書かれております。
 総理が御存じか、お伺いしたいんですけれども、既に、七十五歳以上の医療費の二倍化、一定の所得以上の方は行われましたけれども、これでどれだけの負担増が生じて、どれだけの受診抑制が起きているのか、総理、御存じですか。
岸田 まず冒頭、一言触れるならば、支援金というのは、受益を受けるのは子供、子育て世帯だけだという御指摘がありましたが、全体の考え方として、そういう考え方は取っておりません。こうした子供、子育て政策を進めることによって医療保険制度あるいは社会の持続可能性が高まるということになるわけでありますから、これは社会全体、あらゆる世代が受益するものである、こういった考え方に立っているものであります。
 そして、委員の御質問として、七十五歳以上の医療費の二倍化でどれだけ負担が起きているのか、こういったことでありますが、後期高齢者の医療の窓口負担割合については、令和四年十月一日から、一定以上の所得のある方に限って一割負担から二割負担、これを変更したわけでありますが、その際に、これにより必要な受診が抑制されないよう、二割負担への変更による影響が大きい外来患者については、施行後三年間、一月分の負担増を抑える配慮措置を講じています。
 そして、受診行動への影響については、これはあくまでも短期的なデータの分析ではありますが、二割負担となった方は一割負担のままの方と比べて受診日数が三・一%減少しているとされています。これは、二割負担導入時に想定していた影響、マイナス二・六%とおおむね同程度であると認識をしております。

宮本 負担増の額をおっしゃらないわけですけれども、大体、利用者の負担増、一千億円ぐらい全体で増えているわけですよね。一人当たり平均二・六万円の負担増です。三・一%、これは大体事前の想定の見込みだということを言うわけですけれども、年収が二百万円以上の大きい方の方が、受診日数が今、二百万円以下の人よりも少ない状況なんですよ。必要な医療が受けられない、我慢せざるを得ない状況を生んでいるわけですよね。
 公費負担一千億円の削減でこうした事態が起きているわけですよ。一・一兆円も公費を削減したら、本当に必要な介護や必要な医療が受けられるのかということになるわけです。それでも必要な人はお金を払いますよ。その場合は、物すごい負担増がそれぞれの個人と家庭にやってくることになるわけですよね。
 保険料の話ばかり、さっきから社会保険負担率の話を総理はされるわけですけれども、総理の言う社会保障負担率には、医療や介護の利用料が増える、これは算定式に入っていないですよね。
 総理。もう時間がないから。
新藤 先生、そこはちょっと、とても重要なところなので。
 歳出改革の一兆円は、これまでの九年間の歳出改革の合計の平均ですから。新たに増やすわけではありませんので、従来の歳出改革の枠の中でやっているということで、歳出改革と医療制度の改革とごっちゃにしないでください。

宮本 全く答えていないでしょう、今。出てきて、質問と関係ない答弁をされては困りますよ。総理が手を挙げたんだから。審議の妨害をしないでください。
岸田 改革工程については、御指摘の窓口負担の見直しのほか、医療提供体制の効率化、あるいは介護分野におけるICTの活用など、これは幅広いメニューが列挙されており、社会保障の持続可能性を高めて全世代型社会保障を構築する、その観点からこうしたメニューが用意をされています。そして、このメニューからどれを採用するか、これについては今後も議論を続けてまいります。
 そして、一方で、支援金制度については、先ほど来申し上げておりますように、社会保障負担率の考え方に基づいて、歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げて、その範囲内で支援金制度を構築する、こういったことでありますので、実質的に負担は生じないと説明をさせていただいております。
宮本 医療や介護の利用料が、国庫負担を削減すれば大きく増えるわけですよ。どのメニューをやるか分からないと言っていますけれども、どのメニューをやっても負担が増えるわけですよ。そのことを隠して、実質的負担が増えない、こういう説明ばかりするのは本当にまやかしですよ。やめていただきたいと思います。


参考資料等

後期高齢者の医療費の窓口負担割合の見直しについて

令和4年10月1日から、75歳以上の方等で、一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が変わります。

・課税所得が28万円以上かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯の場合200万円以上、複数世帯の場合合計320万円以上の方は、窓口負担割合が2割となります。
 ※現役並み所得者の方は、10月1日以降も引き続き3割です。
 ※窓口負担割合が2割となる方は、全国の後期高齢者医療の被保険者全体のうち約20%の方です。

いいなと思ったら応援しよう!

井川夕慈
いつもありがとうございます。賜りましたサポートは、活動継続のために大切に使わせていただきます。