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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#35 再分配効果というのはむしろ社会保険についてもきちんと図られている

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

「医療保険料の四から五%」の負担を新たに求める支援金は、少子化対策の財源としてふさわしいのだろうか。


日付:2024年4月5日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者:日本維新の会 足立康史
財務省大臣官房審議官 中村英正
厚生労働省大臣官房審議官 宮崎敦文
こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長 熊木正人
財務副大臣 赤澤亮正

足立 そこで、もう一回ちょっと財務省に戻りたいんですが、これは事務方でも結構ですが、じゃ、その財源として、再三私から申し上げているように、社会保険料、支援金は所得ベース。そして、先ほど副大臣からあった、消費税は消費ベース。例えば固定資産税とか、いろいろな資産ベースの負担も国民は負ってくださっています。
 国民負担というものを所得、消費、資産にあえて大きく三つに分類したときに、少子化対策の財源として、それぞれ私は特質があると思っているんですよ。端的に言うと、保険料は少子化対策に逆行しているんじゃないかとずっと我々は言ってきた、本会議場でも言ってきた。ちょっとそれは粗っぽい議論なので、もう一回財務省の方から、少子化対策の財源として、所得ベースの社会保険料、消費税、資産ベースの負担の三つの特質を整理して御答弁いただきたいと思います。
中村 お答えいたします。
 少子化財源としてと、その前に、財源としてそれぞれ、所得、消費、資産、特質がございます。それについて申し上げます。
 まず、所得でございますけれども、所得に担税力を見出す、例えば個人所得課税について申し上げますと、累進的に負担を求めることができる一方で、保険料を含めた所得ベースの負担は主に勤労世帯が負うということになるような特質がございます。
 消費課税について申し上げますと、これは消費に担税力を見出すわけでございますので、世代や就労の状況にかかわらず、国民が幅広く負担を分かち合うことは可能である一方、相対的に再分配機能が十分に発揮されにくいという特徴もございます。
 資産課税は、こうした所得や消費で捉え切れないものに担税力を見出すわけでございまして、例えば、相続税等で資産格差の是正等に資するものである一方でございますけれども、様々な形の資産を的確に捕捉しにくいといったところの特徴がございます。
 その上で、先ほど来政府の方で御答弁申し上げていますけれども、今回のパッケージの給付と受益等のバランスから、今回においては、既存の歳出の改革や保険料負担の軽減を図って、その範囲内で支援金制度を構築することが最善という判断をして、そういう趣旨で御説明を申し上げているところでございます。

足立 今あったように、まさに勤労世帯とおっしゃった。社会保険料というのは、当たり前ですよね、それは現役世代に重くかかるんですよ。だからこそ、消費税を上げたときに、財務省は相当それを言っていたわけです。保険料ばかりだと現役世代に寄り過ぎるから消費税をやるんだと再三財務省はそうやって言って、消費税を上げてきたわけですね。私は、そのロジック自体は賛成ですよ。消費増税をあのときやったのは反対でしたけれども、ロジック自体は賛成ですよ。
 加えて、先ほど再分配という話があったけれども、社会保険料というのは、受益と負担の関係の中でこれまでやってきているので、再分配の力というか、効果というか、メリットも余りないですよね、社会保険料は。だって、上限があって、頭打ちでやるわけだから。
 だから、社会保険料というのは、現役世代に負担が集中するという意味でも、それから、いわゆる所得と資産の観点からいっても、再分配効果は大きく期待できないという、そこは間違っていますか。ちょっと教えてください。
宮崎 社会保険制度については、先ほど先生の御指摘の中では上限の話がありましたけれども、それは、先日の厚生労働委員会でも保険局長の方から御答弁させていただいたかと思いますけれども、上限という仕組みそのものはありますけれども、むしろそこに係っている割合というのは極めて割合としては小さくて、負担の部分での基本的には所得に応じた応能負担というものを原則としておりますし、あるいは患者負担等々、給付と負担の両面で応能の形の仕組みを取り入れた上で給付を行っておりますので、そういう意味では、再分配効果というのはむしろ社会保険についてもきちんと図られているというふうには考えております。
 給付と負担の関係がより明確だという社会保険の特徴もございますので、その中で再分配というものはしっかり行っている仕組みだというふうに理解をしております。

足立 厚労委でもこの話は細かくやったので、ちょっとここはもう更にやりませんが、大きな議論にもう一回戻りたいと思います。
 すると、社会保険料は、結論はどうなんですか。社会保険料は少子化対策の財源にふさわしいんですか、ふさわしくないんですか。
熊木 先ほど申し上げましたように、充当事業というものは、幾つか申し上げましたけれども、これは、社会保険でお願いするものとしてあり得る、ふさわしい、適切である、そういう考えの下に充当事業を決め、それで社会保険を活用するということでございます。
 そして、所得に基本的に応じる、あるいは負担能力に応じるという形、これは先生からは再分配機能が弱いとの御指摘ではありましたが、厚生労働省からの答弁もありましたとおり、再分配機能はかなりしっかりとした仕組みであるというふうに考えてございます。
 そういう意味におきまして、今回の充当事業に充てるものとして考えた場合に、この支援金が医療保険制度あるいは社会保険を活用するということは、我々としては合理的あるいは適切なものというふうに考えております。

足立 いや、熊木さん、申し訳ないけれども分からない。なぜかが分からない。今、財務省の方から特徴はおっしゃっていただいた。その特徴を踏まえて、抽象的に捉えませんか。なぜその特徴が少子化対策の財源としてふさわしいのか。
 それはちょっと、熊木さん、かわいそうだけれども、まあ、じゃ、今までの繰り返しはもう要らないですよ。要は、先ほど財務省がおっしゃった三つの特徴を踏まえたときに、なぜその特徴が少子化対策にふさわしいかを、本当に抽象的に、ロジカルに教えてください。
中村 お答え申し上げます。
 先ほど私の方から、税制の観点から、それぞれ所得、消費、資産の特徴について御説明を差し上げました。そこから様々なお考えは出てくるものと思います。
 ただ、その特徴から必然的に一つの方策に対する財源が決まるものではなくて、それはそれである一方で、先ほどこども家庭庁の方から御説明申し上げたように、今回の施策のパッケージの財源としては、支援金も含め、歳出改革を充てるというのがベストであるというのが政府としてのお答えになると考えております。

足立 私たちは、今年それを決めること、あるいはその決めている支援金の内容に余り賛成ではありませんが、大変、現下の経済情勢の中で苦肉の策として編み出された手法としては理解はします。すなわち、分からないじゃありません。なるほど、突き詰めるとそういう案になったんだなということは理解をします。しかし、私たちが心配しているのは、今回はそんな大した、国民の皆様から怒られるけれども、これからの少子高齢化社会のことを考えたら、今回は入口です。スタートです。だって、こども庁の予算、大臣、これからも増やしていくんだから。
 私は、この最初の発射角度が、このまま、今回、さっき熊木さんに言った、例えば新しい事業を全部支援金でやるんです、大体ね、これからも少子化対策を拡充していくときは、もう財源は、じゃ、保険料なのかということを思っちゃいますよ。だから、発射角度はまあ何かもう百歩譲ってしゃあないとしても、このまま行くんですかということで、昨年来、私は総理に、社会保障と税の一体改革、あのときの議論をやったじゃないですか。財務省、やりましたよね、あのときに。保険料だけでは駄目なんだ、税も大事なんだと議論をやったじゃないですか。それは民主党だって賛成した。
 いや、だから消費増税じゃないんですよ。そうじゃなくて、保険料、税、あるいは、所得、消費、資産も含めた税の在り方、保険料の在り方、保険料の取り方、そういうことをもう一回全部見たときに、もう一回、税と社会保障と、私たちは労働市場と言っているんです。税と社会保障と労働市場を三位一体で全部もう一回見て、一体何が少子高齢化社会、何が少子化対策にふさわしい歳出であり、何が少子化対策にふさわしい歳入なのかということをちゃんと議論できていないんじゃないの、苦し紛れじゃないのと。苦し紛れの今回の案は理解しますよ。でも、それで、これからも、五十年、百年の礎になるんですか、今回の法案は。ちょっと違うんじゃないのということを私はずっと、私たちは言っているんです。
 財務省の皆さんは多分同じ意見でしょう。だから、財務省、誰でもいいですよ、賛成の人、手を挙げてください、ちょっと。というわけにいかぬけれども、誰か、いいよ、別にちゃんとした、何かきっちりした答弁じゃなくていいから、まあ足立委員の言っていることも分かると。
 いや、僕は間違っていたら教えてほしいんですよ。僕はいつも、間違っていたら教えてといろんな人に言っているんです。今日私が申し上げたことは、頭の構造として真っ当ですか、それかおかしいですか。ちょっと、誰でも、その辺の。
赤澤 済みません、真っ当かと言われまして、先生がお考えとして今おっしゃったことについては、私もおっしゃっていることは理解をいたしますし、我々の立場とすれば、これは二〇二八年までを視野に入れて、いろいろと厳しい要請がある中で、財源も含めて一通りこれはセットをしたものでありまして、先生がされたような議論については今後も続いていくものだというふうに理解をいたします。
足立 副大臣、今日お越しいただいていてよかったです。ありがとうございます。やはり政治家の御答弁だと思います。
 私、もう時間が来ますので終わりますが、今まさに私が申し上げたことは別に新しいことじゃないですよ。自民党本部の中でかんかんがくがくやってきた議論ですよね、多分。していないかな。これ、していなかったら、もう自民党を辞めた方がいいですよ。でも、こういう議論をやり尽くしてきたと思うんですよね。
 私、自民党の中にもいろんな意見があるが、今回はこれでやったということだと思うんですよ。そうであれば、その議論の痕跡を、全然条文になっていないんですよ、条文に、議論の痕跡が。だって、国民に分からない。
 要は、法律の意味というのは、いろんな権利義務関係を変えるということもあるけれども、国民の皆様に知っていただくという効果がむちゃくちゃ大きいんですよ。だから、私たちは、今回の法案、既存の法律を改める法案になっていますが、ちょっと一条ぐらい残る条文を作りましょうよと。だって、画期的な法案なんだから。その一条に今日議論したようなこと、これから税と社会保障と労働市場を三位一体で改革をしていく、少子高齢化社会のために、少子化対策のためにやっていくということぐらい理念を書いて、それをどおんと、今年の法案は全部溶け込んで消えるんじゃなくて、加藤大臣の下で今回作ったこの子ども法案というのはずっと残る、その理念が。それぐらいの理念を、加藤大臣と、熊木さんと、財務省、赤澤副大臣とみんなで作って、私もそこに入りますから、ちょっと今日、これから会議をしましょう。
 そういう今回の意味というものを条文に残すことを提案して、時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。加藤大臣、質問できずに失礼しました。


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井川夕慈
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