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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#65 報酬改定における賃上げ加算部分は、全体の賃上げによって雇用者報酬が増加することで、全体としては実質的な負担にはならない

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 支援金制度は、「歳出改革と賃上げによって社会保障負担額の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築する」と政府は説明する。
「社会保障負担額の軽減効果」は、どのように計算するのか。


日付:2024年2月13日
会議名:衆議院 本会議
発言者:日本維新の会 伊東信久
厚生労働大臣 武見敬三

伊東 岸田総理は、さきの臨時国会で、子ども・子育て支援金制度について、全体として実質的な追加負担を生じさせないと強弁してきましたが、閉会後に、突如として、医療従事者の賃上げ分は負担に含まないとの新たな解釈を示しました。賃上げによる保険料増加分を負担するのは、医療従事者だけではありません。また、一〇〇%全ての業種で安定的に賃上げが達成できることはありません。
 支援金制度に上乗せして公的賃上げを遂行することで、負担増になる現役世代が一定数発生するのではないでしょうか。厚生労働大臣の見解を伺います。また、医療従事者への賃上げのためであれば、手取りが減少する現役世代が発生することはやむを得ないとお考えですか。併せて伺います。(…)
(…)
武見 伊東信久議員の御質問にお答えいたします。
 医療従事者等の賃上げとそのための負担についてのお尋ねがありました。
 約九百万人が働く医療、介護分野の従事者の物価高に負けない賃上げについて、今般の報酬改定により対応することは、日本経済の消費につなげ、成長と分配の好循環を実現するためにも大変重要であります。
 一方、少子化対策における支援金制度は、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築することにより、全体として実質的な負担が生じないこととしております。
 報酬改定における賃上げ加算部分は、それ自体は社会保険負担の増加要因でありますが、医療従事者等を含む全体の賃上げによって雇用者報酬が増加することで、その実質的な社会保険負担軽減の効果により打ち消されることから、全体としては実質的な負担にはならないものと考えております。
 賃上げによる実質的な社会保険負担軽減の効果が一人一人に与える影響は様々でありますが、政府としては、国民全体に広く賃上げの恩恵が及ぶよう、賃上げに向けてあらゆる手段を尽くしてまいります。


参考資料等

武見大臣会見概要
(令和5年12月22日(金)10:58-11:27 省内会見室)

記者
もう1件別件で、こども未来戦略における実質的な社会保険負担軽減効果についてお伺いします。一昨日の大臣折衝で、今年度と来年度の歳出改革で3300億円の歳出改革による負担軽減効果があるとされた一方で、医療や介護分野での賃上げや全世代型社会保障構築に伴う制度改革で増える3400億円の社会保険の負担増については、追加の負担と考えないとする方針が示されました。実際には増える負担を負担としない考え方というのはなかなか理解が得にくい部分もあると思いますが、どういった考え方でこの整理が行われたのか、また、こういった説明をどう国民に対して説明し理解を求めていかれるのかお伺いします。
大臣
現在策定中の「こども未来戦略」の案においては、「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築する」とされています。「実質的な社会保険負担軽減の効果」については、歳出改革による社会保険負担軽減額から、医療介護の制度改革による追加的な社会保険負担額を控除して算定するという引き算をしています。この点、ご指摘のあった、3,400億円の制度改革分については、まず第1に、国全体で賃金が上昇する中で医療・介護分野でも当然に必要となる、現場従事者の賃上げ分というものがまず見込まれます。それから、2つ目には負担能力が低い方の負担を軽減し、一方で負担能力が高い方に一定の負担をお願いするといった、能力に応じた全世代の支え合いの観点から実施する制度改革などがこれに含まれているわけです。こうしたことから、賃上げによる社会保険負担軽減効果が見込まれることを踏まえ、こうした追加的な社会保険負担額については計算しないという整理の仕方をしました。

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井川夕慈
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